それ行け!! 派遣勇者(候補)。33歳フリーターは魔法も恋も超一流?

初老の妄想

文字の大きさ
79 / 183
勇者候補たちの想い

77.バトラー司教

しおりを挟む
■東方大教会 転移の間

昨日の会食でイースタンとすっかり打ち解けたダイスケは白パンと小麦粉作りを熱心に説明していた。

イースタンも乗り気になってくれたので、次回-と言っても、ダイスケの試験終了後だからこっちでは約1ヵ月後に-来た時に改めて細かい話をすることにして屋敷を後にした。

イースタンは単に大富豪というだけでけなく、発明家(?)の気性があるのだろう。
常に知識に貪欲で、新しい取り組みに躊躇しない性格だった。

屋敷でのご馳走にすっかり満足した俺たち4人は宿へ戻ったのだが、部屋へ入るときのマリンダからの視線が・・・、

だが、タケルはちゃんと一人で寝た。

今朝はスタートスにダイスケとアキラさんを戻してから、マリンダと二人でリーブス司教を訪問した。

二人には東方大教会で聖教石の話を聞いてもらうよりは、武術の修練の方が良いはずだ。

教会に着いたのは7時過ぎぐらいだったが、皆が日の出と共に動き出すこの世界では失礼に当たる時間でもない。

リーブスは笑顔で我々を東方大教会まで連れてきてくれた。


■東方大教会 司教執務室

執務室へ入ったリーブス達をソファーでくつろいでいた妖艶な美女が見上げた。

「あれ? リーブス殿? どうしたの、珍しいじゃない。面白い話かな?」

「バトラー殿。久しぶりだな、こちらはスタートスの勇者殿だ。今日は貴方に聴きたいことがあるそうで、ここへお連れしたのだ」

「バトラーさん、はじめまして、スタートスの勇者でタケルと言います」

「勇者様ねぇ。 私はバトラーよ。ヨロシクね」

(ボルク枢機卿とは違うノリの軽さがあるな)

「じゃぁ、私はこれで失礼する。後は頼んだぞ、バトラー殿」

「?」
「?」

不思議そうな顔をするバトラーと、怪訝な顔をしたタケルを残して、リーブスは一人で帰ってしまった。

「ふーん、リーブスが帰ったってことは、あなた転移魔法が使えるのね!?」

「ええ、使えます」

「ずるいわぁー、うちの勇者と換えてくんないかしらね。うちの勇者たちは魔法に全然興味が無いらしくて、つまんないのよ。それで、他には何が出来るの?」

「魔法は土魔法以外が一通りできます」

「!!!・・・、一通りって・・・、炎、水、風、それと光魔法ってことよね!?」

「そうですね、でも全部神様のおかげなんですけど」

(俺はいつもお願いするだけだからね)

「それは、みんなそうよ。神の恩恵無く使えるもんじゃないわ・・・。まあいいわ、ところで私に会いに来てくれたんでしょ? 噂の美人司教に会いたかったの?」

噂など聞いていなかったが、確かにバトラーは美人だ。
年齢のつかみどころが無いが、司教という役職から見て40歳±5歳ぐらいだろうか?
少しふっくらとした顔つきだが、目が大きくてイタズラっぽく笑う口元には少女のような愛嬌もある。
赤毛のロングヘアが白い肌に垂れていて、体つきもかなりグラマラスな・・・
少し長く見つめすぎたようだ、隣のマリンダの目つきが鋭くなった気がする。

「いえ、変わった石を見つけたので、バトラーさんが詳しいと聞いて、見ていただこうと思いまして」

タケルはテーブルの上に、ボルケーノで見つけた赤い石を二つ並べた。
石を見たバトラーの表情が急に引き締まった。

「これ! どうしたの!」

「ボルケーノ火山で、鉱石を採集すると気に見つけました」

「ボルケーノか・・・、それなら間違いないわね。これは神鉱石、いや、魔法鉱石と言うほうがいいのかもね」

「神鉱石? 魔法鉱石? やはり、聖教石とは違うのですか?」

「ええ、聖教石は神への祈りを伝えやすくする石。いわば私達の声を大きくする石よね。でも、この石は石自体に力が宿っているの。そうねぇ、この石の中に小さな神様がいるようなものよ」

(小さな神様?)

「どう使えばいいのですか? 聖教石よりも強い炎を実現できるのでしょうか?」

「強い炎は間違いなく出るわ。だけど、大きな違いは・・・、まだ使ってみたこと無いのよね?」

「はい、何もしていません」

「じゃあ、やってみましょうよ」

バトラーは火がついていない暖炉の中に赤い石を置いた。

「あの石から小さめの炎が出るようにしてみて」

タケルは頷いて、右手を石に向けた。

「ファイア!」

暖炉の中に輝くような赤い炎が生まれた!

「確かに力強い炎ですね」

「ええ、だけどそれだけじゃないわ。石自体から火が出ているのが判る?この石はそれ自体が燃えるのよ。だから手で持ったり、ロッドにはめて使ったりはできないわ」

聖教石で出す炎は術者のイメージした場所に出せるから、術者や武具を燃やすことは無い。
だが、石自体が燃えるとなると・・・どうやって使う?

「あまり使い道が無い石なんでしょうか?」

「バカなことを! この石一つでも無限の価値があるわよ!」

「?」

「いい? この石なら術者の魔法力はほとんど使わずに炎を出し続けてくれるのよ。聖教石なんか使わなくても、誰でも強い魔法力を持てるっていう事。凄いじゃない!」

(それはそうだけど、何に使うんだろ?)

「・・・、そうかごめんなさい。肝心なことを言って無かったわね。この石は聖教石とは違って鉱石なのよ。だから、聖教石と違って加工が出来るってことなの」

「!・・・、じゃあ武器なんかに!」

「その通り、永遠に強い炎が出る刀! 凄いでしょう!」

(確かに凄い! だが、パパスの万能魔法武具は無駄だったのか?)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...