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勇者候補たちの想い
77.バトラー司教
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■東方大教会 転移の間
昨日の会食でイースタンとすっかり打ち解けたダイスケは白パンと小麦粉作りを熱心に説明していた。
イースタンも乗り気になってくれたので、次回-と言っても、ダイスケの試験終了後だからこっちでは約1ヵ月後に-来た時に改めて細かい話をすることにして屋敷を後にした。
イースタンは単に大富豪というだけでけなく、発明家(?)の気性があるのだろう。
常に知識に貪欲で、新しい取り組みに躊躇しない性格だった。
屋敷でのご馳走にすっかり満足した俺たち4人は宿へ戻ったのだが、部屋へ入るときのマリンダからの視線が・・・、
だが、タケルはちゃんと一人で寝た。
今朝はスタートスにダイスケとアキラさんを戻してから、マリンダと二人でリーブス司教を訪問した。
二人には東方大教会で聖教石の話を聞いてもらうよりは、武術の修練の方が良いはずだ。
教会に着いたのは7時過ぎぐらいだったが、皆が日の出と共に動き出すこの世界では失礼に当たる時間でもない。
リーブスは笑顔で我々を東方大教会まで連れてきてくれた。
■東方大教会 司教執務室
執務室へ入ったリーブス達をソファーでくつろいでいた妖艶な美女が見上げた。
「あれ? リーブス殿? どうしたの、珍しいじゃない。面白い話かな?」
「バトラー殿。久しぶりだな、こちらはスタートスの勇者殿だ。今日は貴方に聴きたいことがあるそうで、ここへお連れしたのだ」
「バトラーさん、はじめまして、スタートスの勇者でタケルと言います」
「勇者様ねぇ。 私はバトラーよ。ヨロシクね」
(ボルク枢機卿とは違うノリの軽さがあるな)
「じゃぁ、私はこれで失礼する。後は頼んだぞ、バトラー殿」
「?」
「?」
不思議そうな顔をするバトラーと、怪訝な顔をしたタケルを残して、リーブスは一人で帰ってしまった。
「ふーん、リーブスが帰ったってことは、あなた転移魔法が使えるのね!?」
「ええ、使えます」
「ずるいわぁー、うちの勇者と換えてくんないかしらね。うちの勇者たちは魔法に全然興味が無いらしくて、つまんないのよ。それで、他には何が出来るの?」
「魔法は土魔法以外が一通りできます」
「!!!・・・、一通りって・・・、炎、水、風、それと光魔法ってことよね!?」
「そうですね、でも全部神様のおかげなんですけど」
(俺はいつもお願いするだけだからね)
「それは、みんなそうよ。神の恩恵無く使えるもんじゃないわ・・・。まあいいわ、ところで私に会いに来てくれたんでしょ? 噂の美人司教に会いたかったの?」
噂など聞いていなかったが、確かにバトラーは美人だ。
年齢のつかみどころが無いが、司教という役職から見て40歳±5歳ぐらいだろうか?
少しふっくらとした顔つきだが、目が大きくてイタズラっぽく笑う口元には少女のような愛嬌もある。
赤毛のロングヘアが白い肌に垂れていて、体つきもかなりグラマラスな・・・
少し長く見つめすぎたようだ、隣のマリンダの目つきが鋭くなった気がする。
「いえ、変わった石を見つけたので、バトラーさんが詳しいと聞いて、見ていただこうと思いまして」
タケルはテーブルの上に、ボルケーノで見つけた赤い石を二つ並べた。
石を見たバトラーの表情が急に引き締まった。
「これ! どうしたの!」
「ボルケーノ火山で、鉱石を採集すると気に見つけました」
「ボルケーノか・・・、それなら間違いないわね。これは神鉱石、いや、魔法鉱石と言うほうがいいのかもね」
「神鉱石? 魔法鉱石? やはり、聖教石とは違うのですか?」
「ええ、聖教石は神への祈りを伝えやすくする石。いわば私達の声を大きくする石よね。でも、この石は石自体に力が宿っているの。そうねぇ、この石の中に小さな神様がいるようなものよ」
(小さな神様?)
「どう使えばいいのですか? 聖教石よりも強い炎を実現できるのでしょうか?」
「強い炎は間違いなく出るわ。だけど、大きな違いは・・・、まだ使ってみたこと無いのよね?」
「はい、何もしていません」
「じゃあ、やってみましょうよ」
バトラーは火がついていない暖炉の中に赤い石を置いた。
「あの石から小さめの炎が出るようにしてみて」
タケルは頷いて、右手を石に向けた。
「ファイア!」
暖炉の中に輝くような赤い炎が生まれた!
「確かに力強い炎ですね」
「ええ、だけどそれだけじゃないわ。石自体から火が出ているのが判る?この石はそれ自体が燃えるのよ。だから手で持ったり、ロッドにはめて使ったりはできないわ」
聖教石で出す炎は術者のイメージした場所に出せるから、術者や武具を燃やすことは無い。
だが、石自体が燃えるとなると・・・どうやって使う?
「あまり使い道が無い石なんでしょうか?」
「バカなことを! この石一つでも無限の価値があるわよ!」
「?」
「いい? この石なら術者の魔法力はほとんど使わずに炎を出し続けてくれるのよ。聖教石なんか使わなくても、誰でも強い魔法力を持てるっていう事。凄いじゃない!」
(それはそうだけど、何に使うんだろ?)
「・・・、そうかごめんなさい。肝心なことを言って無かったわね。この石は聖教石とは違って鉱石なのよ。だから、聖教石と違って加工が出来るってことなの」
「!・・・、じゃあ武器なんかに!」
「その通り、永遠に強い炎が出る刀! 凄いでしょう!」
(確かに凄い! だが、パパスの万能魔法武具は無駄だったのか?)
昨日の会食でイースタンとすっかり打ち解けたダイスケは白パンと小麦粉作りを熱心に説明していた。
イースタンも乗り気になってくれたので、次回-と言っても、ダイスケの試験終了後だからこっちでは約1ヵ月後に-来た時に改めて細かい話をすることにして屋敷を後にした。
イースタンは単に大富豪というだけでけなく、発明家(?)の気性があるのだろう。
常に知識に貪欲で、新しい取り組みに躊躇しない性格だった。
屋敷でのご馳走にすっかり満足した俺たち4人は宿へ戻ったのだが、部屋へ入るときのマリンダからの視線が・・・、
だが、タケルはちゃんと一人で寝た。
今朝はスタートスにダイスケとアキラさんを戻してから、マリンダと二人でリーブス司教を訪問した。
二人には東方大教会で聖教石の話を聞いてもらうよりは、武術の修練の方が良いはずだ。
教会に着いたのは7時過ぎぐらいだったが、皆が日の出と共に動き出すこの世界では失礼に当たる時間でもない。
リーブスは笑顔で我々を東方大教会まで連れてきてくれた。
■東方大教会 司教執務室
執務室へ入ったリーブス達をソファーでくつろいでいた妖艶な美女が見上げた。
「あれ? リーブス殿? どうしたの、珍しいじゃない。面白い話かな?」
「バトラー殿。久しぶりだな、こちらはスタートスの勇者殿だ。今日は貴方に聴きたいことがあるそうで、ここへお連れしたのだ」
「バトラーさん、はじめまして、スタートスの勇者でタケルと言います」
「勇者様ねぇ。 私はバトラーよ。ヨロシクね」
(ボルク枢機卿とは違うノリの軽さがあるな)
「じゃぁ、私はこれで失礼する。後は頼んだぞ、バトラー殿」
「?」
「?」
不思議そうな顔をするバトラーと、怪訝な顔をしたタケルを残して、リーブスは一人で帰ってしまった。
「ふーん、リーブスが帰ったってことは、あなた転移魔法が使えるのね!?」
「ええ、使えます」
「ずるいわぁー、うちの勇者と換えてくんないかしらね。うちの勇者たちは魔法に全然興味が無いらしくて、つまんないのよ。それで、他には何が出来るの?」
「魔法は土魔法以外が一通りできます」
「!!!・・・、一通りって・・・、炎、水、風、それと光魔法ってことよね!?」
「そうですね、でも全部神様のおかげなんですけど」
(俺はいつもお願いするだけだからね)
「それは、みんなそうよ。神の恩恵無く使えるもんじゃないわ・・・。まあいいわ、ところで私に会いに来てくれたんでしょ? 噂の美人司教に会いたかったの?」
噂など聞いていなかったが、確かにバトラーは美人だ。
年齢のつかみどころが無いが、司教という役職から見て40歳±5歳ぐらいだろうか?
少しふっくらとした顔つきだが、目が大きくてイタズラっぽく笑う口元には少女のような愛嬌もある。
赤毛のロングヘアが白い肌に垂れていて、体つきもかなりグラマラスな・・・
少し長く見つめすぎたようだ、隣のマリンダの目つきが鋭くなった気がする。
「いえ、変わった石を見つけたので、バトラーさんが詳しいと聞いて、見ていただこうと思いまして」
タケルはテーブルの上に、ボルケーノで見つけた赤い石を二つ並べた。
石を見たバトラーの表情が急に引き締まった。
「これ! どうしたの!」
「ボルケーノ火山で、鉱石を採集すると気に見つけました」
「ボルケーノか・・・、それなら間違いないわね。これは神鉱石、いや、魔法鉱石と言うほうがいいのかもね」
「神鉱石? 魔法鉱石? やはり、聖教石とは違うのですか?」
「ええ、聖教石は神への祈りを伝えやすくする石。いわば私達の声を大きくする石よね。でも、この石は石自体に力が宿っているの。そうねぇ、この石の中に小さな神様がいるようなものよ」
(小さな神様?)
「どう使えばいいのですか? 聖教石よりも強い炎を実現できるのでしょうか?」
「強い炎は間違いなく出るわ。だけど、大きな違いは・・・、まだ使ってみたこと無いのよね?」
「はい、何もしていません」
「じゃあ、やってみましょうよ」
バトラーは火がついていない暖炉の中に赤い石を置いた。
「あの石から小さめの炎が出るようにしてみて」
タケルは頷いて、右手を石に向けた。
「ファイア!」
暖炉の中に輝くような赤い炎が生まれた!
「確かに力強い炎ですね」
「ええ、だけどそれだけじゃないわ。石自体から火が出ているのが判る?この石はそれ自体が燃えるのよ。だから手で持ったり、ロッドにはめて使ったりはできないわ」
聖教石で出す炎は術者のイメージした場所に出せるから、術者や武具を燃やすことは無い。
だが、石自体が燃えるとなると・・・どうやって使う?
「あまり使い道が無い石なんでしょうか?」
「バカなことを! この石一つでも無限の価値があるわよ!」
「?」
「いい? この石なら術者の魔法力はほとんど使わずに炎を出し続けてくれるのよ。聖教石なんか使わなくても、誰でも強い魔法力を持てるっていう事。凄いじゃない!」
(それはそうだけど、何に使うんだろ?)
「・・・、そうかごめんなさい。肝心なことを言って無かったわね。この石は聖教石とは違って鉱石なのよ。だから、聖教石と違って加工が出来るってことなの」
「!・・・、じゃあ武器なんかに!」
「その通り、永遠に強い炎が出る刀! 凄いでしょう!」
(確かに凄い! だが、パパスの万能魔法武具は無駄だったのか?)
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