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勇者候補たちの想い
83.氷魔法
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■シベル大森林
~第7次派遣2日目~
ロブが倒した熊は全長4メートルぐらいの大きさだった。
前足の爪はタケルの指よりも太い、かすっただけで大ケガをしていただろう。
全身を覆う氷も狼より厚く、そして硬かった。
通常の剣技ではダメージが通らないレベルだ。
熊を倒してから30分ほど進むとロブは馬車を道から外して止めた。
ここからは歩きになるそうだ。
馬車から外した馬に荷物を載せて4人で歩き出した。
ところどころで人が歩いた跡がわかるが、よほど注意しないと迷ってしまいそうだ。
ロブがいなければたどり着けないだろう。
しばらく歩くと見えてきた小屋からは煙が立ち上っている。
ワグナーは在宅のようだ。
-ドン、ドン、ドン-
「誰だ!」
ロブが頑丈な木造の扉を叩くと中から誰何された。
「ワグナー殿、北方大教会からきたロブと申します」
「教会には用はない! 帰れ!」
「今日は勇者様をお連れしています。アイオミー司教からの紹介状もお持ちしていますので、一度開けてください」
中からかんぬきが外される音がして、ようやく扉が開いた。
「勇者? 勇者が何しに来た? まあいいか、寒いからさっさと入れ」
扉を開けた男は怪訝な顔をしながらも、タケル達を小屋の中へ入れてくれた。
小屋の中は入り口近くの暖炉兼かまどのようなもので暖められていた。
部屋は作業場と居間をかねているようだ、奥にもう一部屋あるので、そちらが寝室なのだろうか。
明るい部屋の中で見たワグナーはタケルと同じぐらいの年恰好だった。
「それで、何の用なんだ?」
「はじめまして、ワグナーさん、私はスタートスの勇者タケルといいます」
「スタートス? それは何処にあるんだ?」
「ムーアから馬車で3日ほどのところです」
「そいつは、遠くから。こんなところまで良く来られたな。外は魔獣で一杯だったろ?」
「ええ、狼、熊色々いましたが、ロブさんのおかげで無事にたどり着きました。今日は二つお願いがあって来ました。一つは魔法ロッドを作っていただきたいのです、もう一つは氷魔法について、教えて・・・」
「その魔法はどこで聞いたんだ! アイオミー司教か!?」
「いえ、私がある筈だと思って、教えてくれる人をアイオミーさんに聞いたんですよ」
「ある筈? どう言う意味だ?」
「私達は別の世界から来ていますので、そもそもどんな魔法があるかは知らないのですが、水魔法なら氷の魔法が存在してもおかしくないと思ったので、『ある筈』だと」
「・・・なるほど。お前達は、魔法は自分で考えるものだと思っているのか?」
「この国の人たちはあまり考えないようですけど、神の恩恵はもっと色々あると思っています。それと『固有魔法』と言って、他の人には教えない魔法も多いようですね」
「そうか、判った。それなら氷魔法を教えてやらんでもない。だが、お前達が本当に勇者といわれるだけの魔法力があるかを俺に見せてからだな」
「どうすれば良いですか?」
「得意な魔法は何だ?」
「土魔法以外は何でも出来ますけど、良く使うのは火と風でしょうか?」
「? 何だそりゃ? じゃあ、外で炎魔法を出してみろよ」
(このパターン、少し前にもあったな)
ワグナーと一緒に5人で外に出た。
「せっかくだから、ナカジーとコンビ芸で行こうか?」
「どうするの?」
「50cmぐらいの炎を、俺とあの木の間に出してよ。10秒ぐらいで」
「OK♪」
ナカジーは気軽に右手を上げた。
「ファイア」
「ウィンド!」
タケルの伸ばした右手から風がほとばしる!
ナカジーの炎と交じり合って火炎風が木の幹へ叩きつけられる!
-ミシ、ミシィ、バキィッ-
タケルの風が少し強すぎたようだ、表面が焼けた木はその部分から斜めに倒れてしまった。
「!」
「!」
ワグナーもロブも目を見開いている。
「これが、コンビ芸『火炎風』です、氷魔獣を追い払うには便利ですよ」
「凄いな! 今のはお前が自分で考えたのか?」
「ええ、色々試している途中ですが、炎を飛ばしたくて今のやり方になりました。一人でも出来るのですが、時間が掛るので二人でやっています」
「じゃあ、お前なら氷魔法も簡単なはずだ。最初は水を出す練習をしろ、出来たら今度はそれを氷にする。単純な話だろ」
(確かに単純だ。水を氷にする。ワテル様が実現するだけか)
「ウォーター!」
眼前に30cmぐらいの水球を浮かべる。
(ワテル様、『フリーズ』と言いますので、水を氷に変えて下さい)
目を瞑り、左手を水球に向けた。
「フリーズ!」
水球の見た目は変わっていない。
だが、近づいてみると球の中に気泡が入っている。
触ると冷たく固い氷になっていた。
(これなら、聞きに来なくてもできたな)
(でも、ワテル様ありがとうございました)
「まさか、いきなりやるとはな・・・・。出来ると言ったが、直ぐにっていう意味じゃぁ無かったんだよな」
ワグナーは面白く無いようだ。
「ワグナーさん、水の手順を飛ばして、いきなり氷は出来ないんですか?」
「いきなりってのは俺には出来ない。だが、出した水を一瞬で氷に変えれば同じだろう?」
(水を出して直ぐに氷か・・・、感単に出来そうな気がする)
「ありがとうございます、自分で練習してみます」
「自分で・・・か。そろそろ中に入ろうぜ、寒いだろ」
ワグナーは気を悪くしたかもしれない。
恐らく、色々な工夫と時間を費やして、氷の魔法を生みだしたのだろう。
それに対して、タケルは・・・
~第7次派遣2日目~
ロブが倒した熊は全長4メートルぐらいの大きさだった。
前足の爪はタケルの指よりも太い、かすっただけで大ケガをしていただろう。
全身を覆う氷も狼より厚く、そして硬かった。
通常の剣技ではダメージが通らないレベルだ。
熊を倒してから30分ほど進むとロブは馬車を道から外して止めた。
ここからは歩きになるそうだ。
馬車から外した馬に荷物を載せて4人で歩き出した。
ところどころで人が歩いた跡がわかるが、よほど注意しないと迷ってしまいそうだ。
ロブがいなければたどり着けないだろう。
しばらく歩くと見えてきた小屋からは煙が立ち上っている。
ワグナーは在宅のようだ。
-ドン、ドン、ドン-
「誰だ!」
ロブが頑丈な木造の扉を叩くと中から誰何された。
「ワグナー殿、北方大教会からきたロブと申します」
「教会には用はない! 帰れ!」
「今日は勇者様をお連れしています。アイオミー司教からの紹介状もお持ちしていますので、一度開けてください」
中からかんぬきが外される音がして、ようやく扉が開いた。
「勇者? 勇者が何しに来た? まあいいか、寒いからさっさと入れ」
扉を開けた男は怪訝な顔をしながらも、タケル達を小屋の中へ入れてくれた。
小屋の中は入り口近くの暖炉兼かまどのようなもので暖められていた。
部屋は作業場と居間をかねているようだ、奥にもう一部屋あるので、そちらが寝室なのだろうか。
明るい部屋の中で見たワグナーはタケルと同じぐらいの年恰好だった。
「それで、何の用なんだ?」
「はじめまして、ワグナーさん、私はスタートスの勇者タケルといいます」
「スタートス? それは何処にあるんだ?」
「ムーアから馬車で3日ほどのところです」
「そいつは、遠くから。こんなところまで良く来られたな。外は魔獣で一杯だったろ?」
「ええ、狼、熊色々いましたが、ロブさんのおかげで無事にたどり着きました。今日は二つお願いがあって来ました。一つは魔法ロッドを作っていただきたいのです、もう一つは氷魔法について、教えて・・・」
「その魔法はどこで聞いたんだ! アイオミー司教か!?」
「いえ、私がある筈だと思って、教えてくれる人をアイオミーさんに聞いたんですよ」
「ある筈? どう言う意味だ?」
「私達は別の世界から来ていますので、そもそもどんな魔法があるかは知らないのですが、水魔法なら氷の魔法が存在してもおかしくないと思ったので、『ある筈』だと」
「・・・なるほど。お前達は、魔法は自分で考えるものだと思っているのか?」
「この国の人たちはあまり考えないようですけど、神の恩恵はもっと色々あると思っています。それと『固有魔法』と言って、他の人には教えない魔法も多いようですね」
「そうか、判った。それなら氷魔法を教えてやらんでもない。だが、お前達が本当に勇者といわれるだけの魔法力があるかを俺に見せてからだな」
「どうすれば良いですか?」
「得意な魔法は何だ?」
「土魔法以外は何でも出来ますけど、良く使うのは火と風でしょうか?」
「? 何だそりゃ? じゃあ、外で炎魔法を出してみろよ」
(このパターン、少し前にもあったな)
ワグナーと一緒に5人で外に出た。
「せっかくだから、ナカジーとコンビ芸で行こうか?」
「どうするの?」
「50cmぐらいの炎を、俺とあの木の間に出してよ。10秒ぐらいで」
「OK♪」
ナカジーは気軽に右手を上げた。
「ファイア」
「ウィンド!」
タケルの伸ばした右手から風がほとばしる!
ナカジーの炎と交じり合って火炎風が木の幹へ叩きつけられる!
-ミシ、ミシィ、バキィッ-
タケルの風が少し強すぎたようだ、表面が焼けた木はその部分から斜めに倒れてしまった。
「!」
「!」
ワグナーもロブも目を見開いている。
「これが、コンビ芸『火炎風』です、氷魔獣を追い払うには便利ですよ」
「凄いな! 今のはお前が自分で考えたのか?」
「ええ、色々試している途中ですが、炎を飛ばしたくて今のやり方になりました。一人でも出来るのですが、時間が掛るので二人でやっています」
「じゃあ、お前なら氷魔法も簡単なはずだ。最初は水を出す練習をしろ、出来たら今度はそれを氷にする。単純な話だろ」
(確かに単純だ。水を氷にする。ワテル様が実現するだけか)
「ウォーター!」
眼前に30cmぐらいの水球を浮かべる。
(ワテル様、『フリーズ』と言いますので、水を氷に変えて下さい)
目を瞑り、左手を水球に向けた。
「フリーズ!」
水球の見た目は変わっていない。
だが、近づいてみると球の中に気泡が入っている。
触ると冷たく固い氷になっていた。
(これなら、聞きに来なくてもできたな)
(でも、ワテル様ありがとうございました)
「まさか、いきなりやるとはな・・・・。出来ると言ったが、直ぐにっていう意味じゃぁ無かったんだよな」
ワグナーは面白く無いようだ。
「ワグナーさん、水の手順を飛ばして、いきなり氷は出来ないんですか?」
「いきなりってのは俺には出来ない。だが、出した水を一瞬で氷に変えれば同じだろう?」
(水を出して直ぐに氷か・・・、感単に出来そうな気がする)
「ありがとうございます、自分で練習してみます」
「自分で・・・か。そろそろ中に入ろうぜ、寒いだろ」
ワグナーは気を悪くしたかもしれない。
恐らく、色々な工夫と時間を費やして、氷の魔法を生みだしたのだろう。
それに対して、タケルは・・・
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