それ行け!! 派遣勇者(候補)。33歳フリーターは魔法も恋も超一流?

初老の妄想

文字の大きさ
89 / 183
勇者候補たちの想い

87.オリジナル魔法ロッド

しおりを挟む
■シベル大森林  
~第7次派遣3日目~

ワグナーのロッド材料が置いてある北の小屋には昼過ぎに着いた。
道中でタケルはもっと戦いたかったが、残念ながら魔獣に襲われることは無かった。

小屋は切り立った崖に挟まれた小さな谷に建っている。
ワグナーが言うには、風が吹き抜けるので乾燥させるのに最適との事だ。

小屋の中のロッド材料は50本ぐらいある。
少し種類が違うようだが、タケルが見てもその違いは判らなかった。

全てをワグナーの用意した袋に詰めて、転移でワグナーの小屋まで戻った。
光聖教石(転移用)が使い捨てになるが、あきらめるしかないだろう。

ワグナーには、全部で4本のオリジナルロッドを作ってもらうことにした。

ナカジー用に
炎聖教石+風聖教石+楓の木=火炎風ロッド(風重視)
光聖教石+ニワトコの木=治療魔法用ロッド

タケル用に
水聖教石+光聖教石+ニワトコの木=雷魔法用ロッド(雷重視) 
水聖教石+風聖教石+モミの木=氷魔法用ロッド(氷重視)

二つの魔法のうち、術者の力が弱いと思う魔法に適した素材を使うことにしてある。
雷と氷はまだ使ったことが無いがタケルはできると確信していた。

次回の派遣で受け取りに来る約束をしてワグナーの小屋を後にした。
複合魔法をロッドで使うのが今から楽しみだ。
もう武術の訓練は必要ないかもしれない。

馬を馬車につないで途中の村を目指した。
14時過ぎなので日暮れ前には村へ着く事ができるだろう。

だが、タケルの考えは甘かった。

馬車が進み出すとすぐに左右から氷獣化した熊が現れた。

「ロブさん、右をお願いします。アキラさん、私と左へ。ナカジー馬車を守っといて!」

全員馬車を飛び降りた。

タケルは炎と風の聖教石を右手に握り締め、左手には炎の槍を持っている。
熊に気づくのが遅かったせいで距離が10メートルも離れていない。

すぐに右手を挙げてイメージを描く。

「ファイアウィンド!」

火炎風が熊の顔面を襲い炎に包まれる!

-グゥオーッオ!!-

後ろ足で立ち上がり、顔の炎を前足で払おうとしたがその足ごと炎が包む。

アキラさんが火炎風ををくぐって立ち上がった熊に走りこんだ。

熊の腹に向けて右拳を真っ直ぐ突き出す!

-バキャッ!-グェゴェー!-

氷が割れる音と、熊の断末魔が重なって聞こえる。

熊の腹部が弾け飛んで大きな穴が開いている

ロブの方向へ振り向くと、馬車の向こうで熊が倒れているのが見えた。

炎の刀で一撃だったようだ。

(やはり武器の方が素早く致命傷を与えられる)

ナカジーは馬車をしっかり守ってくれていた。

「これからも沢山出てくるかもしれないので、アキラさんとナカジーも後ろと左右に目配りをお願いします」

二人からは真剣な表情で頷きが帰って来た。

(これも神の試練だろう、どんどん相手が強くなるはずだ)

タケルの予想通り、複数の獣が組み合わせで何度も襲って来た。

熊とイノシシ、そして狼のコンボだ。

タケルは馬車を守るため、魔獣を見つけるとまずは炎魔法で離れた場所に相手を釘付けにすることにした。
その間にロブとアキラさんが大物をカバーしに行ってくれる。
その後でタケルは数が多そうなほうへ行って焼き払った。
パーティーが役割分担でしっかり機能していた。

ナカジーが帰還した16時までに5回襲われた。

最後に村の周りで50匹ぐらいの狼が待っていた。
遠巻きにしていた輪を段々絞って来ていたようだ。
辺りはすっかり日が落ちている。

だが、狼だけならロブもアキラさんも全く意に介していない。
前後に分かれて進んで行き、片っ端から切って、殴って、やっつけている。
左右から近寄る狼は火炎風で焼き払うと馬車には近づかなくなった。

20匹ぐらい倒したところで狼達があきらめたようだ。

ロブは刀を鞘に戻して、笑顔で戻ってくる。

「狼では、この剣がもったいないですな。手応えがありません」

(その刀はダイスケ用ですから、ちゃんと返してくださいよ)

タケルの心配をよそに、ロブは笑顔のまま馬車を走らせ始めた。
村はすぐそこに見えている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...