それ行け!! 派遣勇者(候補)。33歳フリーターは魔法も恋も超一流?

初老の妄想

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勇者候補たちの想い

89.オリジナルロッドの威力

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■ワグナーの小屋   
~第8次派遣1日目~

タケルはスタートスに到着すると、ナカジーとアキラさんを置いてそのままワグナーの小屋まで転移した。

前回頼んでおいたオリジナルロッドを受け取るためだ。
ワグナーは約束どおり4本のロッドを仕上げてくれていた。

炎聖教石+風聖教石+楓の木=火炎風ロッド(風重視)
光聖教石+ニワトコの木=治療魔法用ロッド
水聖教石+光聖教石+ニワトコの木=雷魔法用ロッド(雷重視) 
水聖教石+風聖教石+モミの木=氷魔法用ロッド(氷重視)

タケルはワグナーが欲しがった4種類の聖教石を引き換えに渡した。
せっかくなのでワグナーと一緒に氷魔法を試してみることにする。

だが、実際に構えて頭の中で氷の槍をイメージしたがしっくり来なかった。
細い槍先のような氷だと飛んでいく最中に向きが変るような気がする。
だったらいっそ・・・

(ワテル様 小さな水球を50粒ほど氷にしてください)
(ウィン様 できた氷の玉を強い風で叩きつけてください)
(命名は・・・)

頭の中で1cmぐらいの水球をイメージして目を閉じた。
目を開いて氷魔法ロッドを的にした木へ向けた。

「アイスショット!」

目の前に浮かんだ氷の玉がはじかれたように木へ叩きつけられた!

-バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!-

氷が当たった木の皮が広い範囲で弾け飛んだ。

よし、これで氷ショットガンのイメージが出来た。

次ぎは・・・
タケルは頭の中で1メートルぐらいの正八面体の氷をイメージした。

(では、ワテル様、ウィン様同じ要領でお願いしますね)

もう一度氷魔法ロッドを木に向けた。

「アイスキャノン!」

浮かんだ巨大な氷の塊が木に激突する!

-バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!-

(しまった、やりすぎた!)

氷の塊は的の木から4本ほど向こうの木までを叩き折っている。
ナカジーがいれば怒られていただろう。

「しかし、やっぱり無茶苦茶だな。ロッドがあるからって自由自在に氷が出来るもんだとは思わなかったよ。本当はロッドなんて要らないんじゃないか?」

「いえ、やはりロッドがあるとイメージが伝わりやすいです、疲れも全然違うと思いますし」

「そうなのか? 役に立ってるならいいんだけどな」

「間違いなく役立ってますよ。また違うものが欲しくなったら来ますからよろしくお願いします」

「こっちこそ、また聖教石を頼むよ。気が向いたら小屋まで飛んできてくれ、そっちからは簡単なんだろ?」

「はい、じゃあまた遊びに来ます」

タケルはムーアのハリスにも武具ができたら見せに行く約束をしていたことを思い出した。
魔法の練習が終っていたら、明日二人を連れて行ってみよう。

■スタートス聖教会

タケルが戻るとナカジーは空き地で風魔法の練習をしていたようだ。

「どう、風の調子は?」

「うん、石を使うと出るんだけどタケルみたいに強いのは出ないんだよね」

「風の強さは具体的な映像でイメージした方がいいよ、木が折れるとか車が飛んでいくとか・・・、こっちなら馬車が一気に飛ぶイメージかな」

「あんた、そんな無茶苦茶なイメージなの?」

「だって、強い風だからさ。葉っぱが飛ぶぐらいじゃ意味ないでしょ? 今度はこのロッドで同じようにやってみてよ」

ナカジーは渡された火炎風ロッド(風重視)を持って麻袋の的へ立った。
右手で持ったロッドを的に向けて叫ぶ。

「ウィンド!」

-ブォン!- バーン!!-

ナカジーのロッドから風が吹きぬける音と的が弾け飛ぶ音が重なった!

「スッゴーイ! 全然威力が違うわ!!」

これなら充分戦いで使えるだろう、だがこのロッドは火炎風用だ。
本番はこれからという事になる。

「いい感じだね。じゃあ次ぎは本番行って見ようか?」

「あれ?いまので出来上がりじゃないの?」

「うん、まだ褒めてあげられないね。今度は二つ同時に発動させてよ。30cmぐらいの炎を出した後に10秒間強い風を送る。これをグレン様とウィン様にあらかじめお願いしといて。合言葉は『ファイアウィンド!』、これでヨロシク!」

ナカジーは首をかしげながらも、タケルが既にやった火炎風を頭でイメージしているようだ。
小声でぶつぶつ言いながら、神への対話をしている。
ようやく神への祈りが終ったようだ、ロッドを的の木に向けた。

「ファイアウィンド!」

ロッドの前に浮かんだ炎が縦に伸びてゆく!

火炎放射器のような炎が10秒ほど続いた。

「ヤッター! すごい! 出来たわ!」

ナカジーは自画自賛で喜んでいるがタケルには物足りなかった。
やはり風の力が弱いので焼く力も弱くなっている。

「ちょっとロッド貸してよ、それで横から見てて」

「何? 今のじゃダメなの?」

「ダメじゃないけど、パワー不足だね」

タケルは炎と同時に細い突風が突き抜ける画をイメージした。

「ファイアウィンド!」

叫びと同時に赤い炎が杖の先から一気に伸びていく!

-バーン!!-

的の木が当たった箇所で後ろに折れた。

(しまった、風が強すぎたか)

「ターケールー! あんたは加減が判らないの!」

「まあ、あのぐらいのスピードで炎が出ないとナカジーが熊に食べられちゃうからね」

「まったく!」

タケルは冗談で言っているわけでは無かった、そろそろ命がけの場面が出てくるような気がしていたのだ。
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