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勇者候補たちの想い
93.ナカジー強化プロジェクト
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■シベル大森林北 ワグナーの作業小屋
~第8次派遣3日目~
タケルは昨晩のうちに自分がやるべきことを確認した。
魔法武器の作成→完了
魔法ロッドの作成→完了
魔法種類の拡大→ほぼ完了
自分がすべきことは概ね終ったような気がする。
後は武器の訓練だが、ここまで魔法を使いこなせると片手間になる。
やっぱり全体の力を引き上げるのが先だ。
ナカジーを強化しよう。
「だから北の森で氷魔獣と実戦訓練しようって、昨日の晩に思ったんだよね」
「だからって、ここ寒いわよ!」
「ああ、うっかりしていた、防寒具が必要だね」
俺はここの寒さを忘れてスタートスから薄い麻の上下だけで転移してきた。
雪は降っていないが、気温は一桁だろう。
うん、失敗だった。
■北方州都 クラウス
シベル大森林から北方大教会まで転移した俺達は防寒着の買出しにクラウスの町へ出た。
クラウスは西方首都ムーアより寂れているが、当然ながらスタートスの何倍、いや10倍ぐらいの大きさはあるだろう。
物を売る店の数もそれなりにある。
皮革製品の店を見つけた、軒先に毛皮の見本がぶら下がっている。
この世界の店では陳列という概念が無いようだ、どの店でも無秩序に棚や箱の中へ売り物が置いてある。
もちろん値札も無い。
3人で防寒に使えそうなものを物色し始めた。
タケルが毛皮のブーツを見つけた。
アキラさんが毛皮のベストを見つけた。
タケルが綿入りのズボンを見つけた。
アキラさんが革の手袋を見つけた。
ナカジーは店員に帽子を被せて遊んでいた。
「ちょっと、ナカジー、頼むよ。ちゃんと探してよ」
「私だって、探してんのよ! 鏡が無いから被せて確認してんじゃないの!」
そうだ、確かに鏡が無いから自分の格好はわからない。
やはり、いくつになっても見た目が気になる女子なのか・・・
「あんた、いい年してって思ったんじゃない!?」
ナカジーが新しい魔法を覚えたのかもしれない。
■シベル大森林北 ワグナーの作業小屋
暖かい装備を手に入れた俺達は、もう一度氷魔獣を倒すために前回放置したシベル大森林北の転移ポイントまで飛んできた。
今回はナカジーにメインで戦ってもらう予定だ。
俺とアキラさんでサポートする。
ナカジーも火炎風ロッドがあれば充分戦えるだろうが、やはり場慣れが必要だ。
「じゃあ、今日は魔獣を見つけたらナカジーが先鋒でお願いします。俺達は近づいてきたのだけ追い払うから安心して、火炎風をエモノにぶつけてよ」
「うん、やってみるけど。できるかなぁ」
「もう、20メートル先ぐらいまで楽勝なんでしょ?」
「うん、そうだけど、動かない木しか狙ってないからさぁ」
「確かにね、だからこそ実戦での練習が必要なんだって、じゃあ行きましょう!」
あまり乗り気でないナカジーを連れて、タケルが先頭で歩き始めた。
ワグナーの住んでいる小屋は南にあるが、反対の北へ向かって渓谷を進むことにした。
日が当たらないこの渓谷にはまだ雪が残っている、この世界では夏が近いのに異常だ。
渓谷は岩場が多く、大きな岩を避けながらジグザグに進んでいく。
岩で見通しが悪く魔獣が隠れていそうだ・・・と思った瞬間に氷獣化したイノシシが出てきた。
タケルは火をつけたままの炎の槍をイノシシの進行方向へ突き出した。
イノシシは火の槍をかわしてタケルの左を走りぬけた。
「ナカジー戻ってくるところをお願い!」
イノシシはナカジーの横も通り過ぎてから、反転しようとしてる。
「ファイアウィンド!」
ナカジーのロッドから火炎風がイノシシへ襲い掛かる!
-ブグォー、グィィー!!-
火を避けようと動くが動く方向へナカジーのロッドが向いて、イノシシ全体が炎に包まれた。
「もういいと思うよ」
動かなくなったイノシシは消し炭のように真っ黒だった。
「やりすぎかな? なんか可哀そうな気がする」
「動かなくなるまでやったほうがいいよ、こいつらは魔獣だから気にしなくていいよ。既に動物じゃあないって思わないとね」
ナカジーは頷いていたが、女性だけに殺すことに抵抗が大きいのかもしれない。
タケルやダイスケはゲーム感覚でやっているが、意識の違いは埋まらないだろう。
だが、魔竜を倒すためには容赦なく殺す覚悟が必要だ。
もっと、頑張ってもらおう。
「ナカジー、今日は帰れま10だから、10匹しとめるまでは帰さないからね」
「そんな脅しなんて怖くないわ、今日は16時あがりだから、時間がくればすぐに消えるんだからね!」
そうだった、今日は派遣3日目でナカジーが帰る日だった。
「じゃあ、5匹やっつけるまでお昼抜きってことで」
「マジィ!」
「マジッす」
お気楽なやり取りをして進むと、今度は20メートルぐらい先に氷鹿を見つけた。
こっちをじっと見てるから逃げるかと思ったが、さすがに魔獣だ、頭を下げて角をむけて突っ込んでくる。
「ナカジー、ヨロシク!」
まだ、距離があったので俺は左に避けてナカジーを前に出した。
「ファイアウィンド!」
-キャゥーンン!!-
カウンターで火炎風を受けた鹿は横倒しになった。
火に包まれてのた打ち回っていたが、そのうち動かなくなった。
「動かなくなるまで15秒から20秒ぐらいだね。良い感じだと思うよ」
「本当♪ 私も強くなってるよね?」
「うん、確実に強くなった。もう一人でも大丈夫でしょ」
「ひ、一人はイヤよ! なんかあったらどうすんのよ!」
「そのロッドがあれば、マジで無敵だと思うけどな」
「それでも、一人はイヤ!なんか捨てられた子みたいじゃない。せっかく仲良くなったのに!」
冗談なのにプンプン怒っている。
確かにみんな仲良くなった。
現世では10日ほどだが、既にこっちで20日以上寝食を共にする仲間だ。
ナカジーにはお昼に沢山食べさせることで許してもらうことにしよう。
~第8次派遣3日目~
タケルは昨晩のうちに自分がやるべきことを確認した。
魔法武器の作成→完了
魔法ロッドの作成→完了
魔法種類の拡大→ほぼ完了
自分がすべきことは概ね終ったような気がする。
後は武器の訓練だが、ここまで魔法を使いこなせると片手間になる。
やっぱり全体の力を引き上げるのが先だ。
ナカジーを強化しよう。
「だから北の森で氷魔獣と実戦訓練しようって、昨日の晩に思ったんだよね」
「だからって、ここ寒いわよ!」
「ああ、うっかりしていた、防寒具が必要だね」
俺はここの寒さを忘れてスタートスから薄い麻の上下だけで転移してきた。
雪は降っていないが、気温は一桁だろう。
うん、失敗だった。
■北方州都 クラウス
シベル大森林から北方大教会まで転移した俺達は防寒着の買出しにクラウスの町へ出た。
クラウスは西方首都ムーアより寂れているが、当然ながらスタートスの何倍、いや10倍ぐらいの大きさはあるだろう。
物を売る店の数もそれなりにある。
皮革製品の店を見つけた、軒先に毛皮の見本がぶら下がっている。
この世界の店では陳列という概念が無いようだ、どの店でも無秩序に棚や箱の中へ売り物が置いてある。
もちろん値札も無い。
3人で防寒に使えそうなものを物色し始めた。
タケルが毛皮のブーツを見つけた。
アキラさんが毛皮のベストを見つけた。
タケルが綿入りのズボンを見つけた。
アキラさんが革の手袋を見つけた。
ナカジーは店員に帽子を被せて遊んでいた。
「ちょっと、ナカジー、頼むよ。ちゃんと探してよ」
「私だって、探してんのよ! 鏡が無いから被せて確認してんじゃないの!」
そうだ、確かに鏡が無いから自分の格好はわからない。
やはり、いくつになっても見た目が気になる女子なのか・・・
「あんた、いい年してって思ったんじゃない!?」
ナカジーが新しい魔法を覚えたのかもしれない。
■シベル大森林北 ワグナーの作業小屋
暖かい装備を手に入れた俺達は、もう一度氷魔獣を倒すために前回放置したシベル大森林北の転移ポイントまで飛んできた。
今回はナカジーにメインで戦ってもらう予定だ。
俺とアキラさんでサポートする。
ナカジーも火炎風ロッドがあれば充分戦えるだろうが、やはり場慣れが必要だ。
「じゃあ、今日は魔獣を見つけたらナカジーが先鋒でお願いします。俺達は近づいてきたのだけ追い払うから安心して、火炎風をエモノにぶつけてよ」
「うん、やってみるけど。できるかなぁ」
「もう、20メートル先ぐらいまで楽勝なんでしょ?」
「うん、そうだけど、動かない木しか狙ってないからさぁ」
「確かにね、だからこそ実戦での練習が必要なんだって、じゃあ行きましょう!」
あまり乗り気でないナカジーを連れて、タケルが先頭で歩き始めた。
ワグナーの住んでいる小屋は南にあるが、反対の北へ向かって渓谷を進むことにした。
日が当たらないこの渓谷にはまだ雪が残っている、この世界では夏が近いのに異常だ。
渓谷は岩場が多く、大きな岩を避けながらジグザグに進んでいく。
岩で見通しが悪く魔獣が隠れていそうだ・・・と思った瞬間に氷獣化したイノシシが出てきた。
タケルは火をつけたままの炎の槍をイノシシの進行方向へ突き出した。
イノシシは火の槍をかわしてタケルの左を走りぬけた。
「ナカジー戻ってくるところをお願い!」
イノシシはナカジーの横も通り過ぎてから、反転しようとしてる。
「ファイアウィンド!」
ナカジーのロッドから火炎風がイノシシへ襲い掛かる!
-ブグォー、グィィー!!-
火を避けようと動くが動く方向へナカジーのロッドが向いて、イノシシ全体が炎に包まれた。
「もういいと思うよ」
動かなくなったイノシシは消し炭のように真っ黒だった。
「やりすぎかな? なんか可哀そうな気がする」
「動かなくなるまでやったほうがいいよ、こいつらは魔獣だから気にしなくていいよ。既に動物じゃあないって思わないとね」
ナカジーは頷いていたが、女性だけに殺すことに抵抗が大きいのかもしれない。
タケルやダイスケはゲーム感覚でやっているが、意識の違いは埋まらないだろう。
だが、魔竜を倒すためには容赦なく殺す覚悟が必要だ。
もっと、頑張ってもらおう。
「ナカジー、今日は帰れま10だから、10匹しとめるまでは帰さないからね」
「そんな脅しなんて怖くないわ、今日は16時あがりだから、時間がくればすぐに消えるんだからね!」
そうだった、今日は派遣3日目でナカジーが帰る日だった。
「じゃあ、5匹やっつけるまでお昼抜きってことで」
「マジィ!」
「マジッす」
お気楽なやり取りをして進むと、今度は20メートルぐらい先に氷鹿を見つけた。
こっちをじっと見てるから逃げるかと思ったが、さすがに魔獣だ、頭を下げて角をむけて突っ込んでくる。
「ナカジー、ヨロシク!」
まだ、距離があったので俺は左に避けてナカジーを前に出した。
「ファイアウィンド!」
-キャゥーンン!!-
カウンターで火炎風を受けた鹿は横倒しになった。
火に包まれてのた打ち回っていたが、そのうち動かなくなった。
「動かなくなるまで15秒から20秒ぐらいだね。良い感じだと思うよ」
「本当♪ 私も強くなってるよね?」
「うん、確実に強くなった。もう一人でも大丈夫でしょ」
「ひ、一人はイヤよ! なんかあったらどうすんのよ!」
「そのロッドがあれば、マジで無敵だと思うけどな」
「それでも、一人はイヤ!なんか捨てられた子みたいじゃない。せっかく仲良くなったのに!」
冗談なのにプンプン怒っている。
確かにみんな仲良くなった。
現世では10日ほどだが、既にこっちで20日以上寝食を共にする仲間だ。
ナカジーにはお昼に沢山食べさせることで許してもらうことにしよう。
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