それ行け!! 派遣勇者(候補)。33歳フリーターは魔法も恋も超一流?

初老の妄想

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勇者候補たちの想い

95.炎の刀の実力

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■スタートス聖教会 
~第9次派遣1日目~

今回の派遣は久しぶりに4人のフルメンバーだ。
現世では火水木の3日間だが派遣では24日もダイスケと会っていなかったことになる。
恐るべき8倍効果だ。

ダイスケの復活を祝うように風呂が! 厳密には浴槽が完成した!
俺達4人、スティン、教会士トリオの前には予想図(?)どおりの浴槽がある。
まだ囲いが無いので、空き地に置かれた変な状態だが、浴槽と洗い場-石の上に木板をはったもの-、そして浴槽の横には煙突のついた釜があった。

「スティンさん、ダイスケ、ありがとう! 俺は感動しているよ!」

「いや、まだ水も入ってませんから。一度水をお願いします」

ダイスケは冷静にタケルへ指示をした。

「了解! じゃあ、やってみますか!」

タケルはいつもより丁寧にワテル様へ祈りを捧げる。

-いつものようにお力を貸してください。
-この浴槽を水で満たしてください。

「ウォーター!」

何の音もせずに浴槽が水で満たされた。
水面は風でさざなみが立っている。

「!」 「!」

スティンと教会士トリオは初めてみたので驚いているが、メンバーは既に見慣れていて感動が無い。

「タケルさん、ありがとうございます。では、続いて釜に火を入れましょう。これはナカジー様お願いします」

なんだか火入れ式みたいな乗りでダイスケがナカジーを釜の前に連れて行った。

釜の中には、既にマキがたくさん入っていた。
ナカジー様は右手を釜に向けて・・・

「ファイア!」

強い火で釜の中のマキに着火させる。
釜の中は炎で満たされ、マキから煙が上がり出すまで火を送り続けた。

「もう大丈夫でしょう。皆様、お疲れ様です。水漏れも無いようですから、後は・・・待つだけですね」

「ダイスケ、どのぐらいかかるのよ?」

「えーと、判りません」

「判らないってなによ! せっかく出来たのに!」
ナカジーがお怒りです。

「いや、こればっかりはテストして無いので、この釜の火力だと1時間~2時間だと思いますけど・・・」

「ナカジー仕方ないよ、ガスや電気で沸かすんじゃないし、お湯の量と釜の火力はテストしてないんだからさ」

「じゃあ、どうすんの?」

「悪いけど、マリア達に見といてもらって、俺達は修行だね。汗かいたら風呂も気持ちいいでしょ? それよりも、ナカジーは外から丸見えでも風呂に入る覚悟はできてるの?」

「・・・それなのよね。入るけど、あんたたちで誰も来ないように見張っといてよ」

「いいけど、俺達は見ていいの?」

「ダメに決まってるでしょ! 向こう向いてなさいよ!」

-そうか、それはこっちも助かる。

湯加減のイメージを教会士トリオに教えて、お湯をかき混ぜながら温かくなったら呼んでもらうようにお願いした。

タケル達はいつもの協会裏空き地で修練を開始する。
タケルはダイスケに休みの間に完成していた炎の刀を渡す。

「ダイスケ、こいつは凄い刀だからね、はっきり言って『誰でも魔法剣』って感じ」

「なんすか? それ?」

「いやぁ、教会武術士の人には申し訳無いけどね、まあ、とりあえず使ってみようか」

「どうするんですか?」

「その刀から炎を出してみてよ」

ダイスケは頷いて刀を腰に差して鞘から抜いた。

「凄い! 黒光りした刀身がキラキラしてます」

日の光で刀身の輝きを堪能した後に刀を正眼に構えた。

「ファイアブレイド!」

ダイスケの声と共に刀身が炎に包まれる。

「ウワッ! スゲェ・・・、・・・これって火が消えないんですか?」

「そう、意識的に炎を出し続けなくても、刀自体が燃えてると思えば良いよ、だから魔法力は殆ど使わない」

「!」

「威力を試すのは、もうちょっと人目につかないところに移ろうか」

タケルはダイスケを連れて、泉がある林の奥に向かった。
周りに誰も居ないことを確認して、ダイスケにもう一度構えさせる。

「じゃあ、この木を切ってみてよ」

タケルが示したのは、直径が1メートルぐらいある木だ。

「さすがにこれは! 太すぎるでしょ!」

「大丈夫、バッサリいけるから。思い切りやってみてよ、怪我しても治療するし」

ダイスケは首を捻りながらも、刀を抜いて木の前に立った。
右上段から木まで振り下ろす距離を刀で計ってから1歩下がった。

「ファイアブレイド!」

右上段に構えた刀身が炎に包まれる!

「ハァッ!」

-シュパン!-

掛け声と共に斜めに振り下ろされた炎の刃が、一気に木の幹を断ち切った!

-メキ、メキ、- ズッシーン-

太い木が周りの木にあたりながら倒れていった。

「スゲェ! 手応え無いのに完璧に切れてます!」

「炎の力で刀自体の威力が驚異的に引き上げられているから、その刀なら何でも切れると思うよ」
「確かにこれは誰でも魔法剣って言うレベルですね・・・。今までの修練は何だったんでしょうかね」

「当然役立ってるよ、刀や剣自体を使ったことが無かったんだから。その下地があるからこの刀の力が引き出せているんでしょ。だけど、こいつはこんなもんじゃないからね」

「これ以上あるんですか!?」

「うん、火を消してからこの刀で風魔法剣をやってみてよ」

「あんまり得意じゃないんですよね・・・風は」

乗り気じゃ無いようだが、5メートルぐらい離れた木を的にして正眼に構えなおした。
刀身からは炎がでていないが刃から鈍い光が放たれている。

「ハァッ!」

上段に振り上げた刀を前へ踏み込みながら真っ直ぐ振り下ろす!

-ブンッ!- -バーッン!-

刀から走った風が離れた木を直撃して幹の皮を弾き飛ばした!

「やっぱり、威力が足りないですよね」

直径50cm位の木の表面が浅く抉れた程度だが、人や獣レベルなら致命傷になるかもしれない。

「いや、これでもいいんだよ。今度は炎を出してから、風魔法剣をやってみて」

「!」

ダイスケもイメージが沸いたようだ。
タケル達の想像通りなら凄いことになるはずだ。

ダイスケは同じ木を目標に右上段に構えなおした。
右足を半歩引いて集中する。

「ファイアブレイド」

刀身が炎に包まれた。

一呼吸置いてから、掛け声と共に刀を振りぬく!

「ハァァッ!」

-ブォワッ!- -シュパーン!-

刀身の炎が炎風の刃と化して木に叩きつけられる!
木の幹は音も無く斜めに断たれて倒れていった!

-メキ、メキ、- ズッシーン-

「これは、凄すぎ!!」

確かに凄すぎる、離れた相手でもこれなら一撃だろう。
問題は・・・

「ダイスケ、今の技に名前付けないとね」

「名前ですか?」

「うん、命名権をあげるから格好良いのを後で教えてよ」

自分のものにしてもらうには、好きな名前をつけたほうがいいだろう。
これで魔竜を倒せるイメージがだいぶ沸いてきた。
もう一息だ。
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