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勇者候補たちの想い
96.初湯は最高!
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■スタートス聖教会
~第9次派遣1日目~
林で木を切り倒したタケル達が教会裏の空き地へ戻ると、マリア達が丁度呼びに来てくれた。随分と温かくなったので、湯加減を見て欲しいそうだ。
タケルが一人で湯船まで行って手を入れてみる。
少しぬるいがこのまま釜で炊いていれば、服を脱いで戻って来たころには丁度よさそうだ。
「ありがとう、マリア。このぐらいで良いよ。もう少し釜の中にマキを入れてお湯を混ぜといて」
「わかりました」
空き地で修練中のダイスケとアキラさんを誘って男湯を先に開業する。
「ナカジー、お先に入らせてもらうね。見に来たかったら来てもいいけど、出来れば1人で魔法を練習しといてよ」
「見たくないわよ! そんな汚い物!」
-汚くは無いと思うが。
タケル達は宿舎で服を脱ぎバスタオルを巻いてタオルを持って風呂に向かう。
風呂は宿舎の裏口から50メートルぐらいは離れているので、上半身裸のオッサンとお兄さんが三人で歩いていく光景はなかなか微妙なものがある。
しかも、スティンと美少女の教会士トリオはまだ風呂の周りで待ってくれているのだから。
「じゃあ、タケルさんからどうぞ」
「悪いね、じゃあ記念すべき初湯(?)をいただきますよ」
タケルはバスタオルを腰に巻いたまま、手桶で湯船のお湯を肩からかけた。
丁度良い温度だ、少しぬるく感じるが浸かれば丁度だろう。
かけ湯を終えて湯船のへりを掴んで浴槽へ入り肩まで浸かる。
-ンンー! 天国だ!
「最高だね! 二人も入っておいでよ!」
湯加減は最高だ!
異世界の青空の下で入る始めての風呂!
二人もバスタオルを巻いたまま入ってきた、マナー違反だが今日は未成年女子が見ているから許してもらおう。
「ダイスケ、どうよ?」
「いやぁー、やっぱ良いッスよねぇ」
「ダイスケ君、ありがとう」
アキラさんも満面の笑みでダイスケに礼を言った。
タケルチームがこの世界に来て約72日が経過して念願の風呂が完成だ。
男三人が並んで入れる湯船が別世界に出来たことは感激すべきことだろう。
これがタケル達の派遣目的だったような錯覚を覚えるほどだ。
まだ、洗い場は無いので、20分ほど湯船に入ったり、ヘリに座ったりを繰り返して風呂から上がることにした。
火照った体を通り抜ける風が最高に気持ちよい。
「ダイスケ、屋根は要らないんじゃないかな?」
「そうですね、やっぱ露天は気持ち良いですよね。だったら、洗い場のところだけ屋根付けましょうか?」
「良いねぇ。簡単にできるの?」
「楽勝だと思います、スティンと後で相談しときます」
「スティンは一緒に入らないの?」
「俺も誘ったんですけど、イヤだって言うんスよ」
壁が無いから恥ずかしいのか?
壁が出来たらもう一回誘ってみよう。
「逆に、マリア達は興味があるみたいですよ」
-マジか!? いかんいかん、未成年だ。
「そうなの?じゃあ、壁が出来たらあの子達にも入ってもらおうよ。混浴はNGだよ、ダイスケ君!」
「判ってますよ! 俺はそんな度胸ないし・・・」
-そう、意外とダイスケ君はヘタレなんだよな。
-俺はマリンダと・・・
■スタートス聖教会 宿舎食堂
食堂にはスティンとその仲間達、ノックス司祭や教会の人、もちろんマリンダやブラックモアもいる。
これから皆でお風呂完成パーティーだ!
風呂を上がった俺達三人は皇都まで転移して肉中心に膨大な食材を買い込んできた。
ミレーヌがナカジーと協力して焼きまくった料理がテーブルに並んでいる。
酒もエール、果実酒、焼酎、日本酒とより取り見取り。
「では、僭越ながら私が乾杯の音頭をとらせていただきます。無事にドリーミア初となる『お風呂』が完成したことを祈念し、皆様で乾杯したいと思います、カンパーイ!!」
「「カンパーイ」」
それぞれのテーブルでカップをぶつけてくれた。
「ナカジーも料理作ってくれてありがとう、お風呂は気持ちよかったでしょ」
「うん、サイコーね。壁無いほうが風通って気持ちいいんじゃない?」
肉を口に運びながら大胆な発言をする。
「平気なの? 外から見られても」
「何も無いのじゃなくてさ、ちょっと衝立っぽいのがあればそれで良いわよ」
異世界は人を大胆にさせるのだろう。
「そうか、でもナカジーが良くても、俺達が万一見ると・・・」
-ドンッ!-
強烈なグーパンチが俺の二の腕を襲った。
「まあ、それは冗談だけど、ダイスケ、壁の板に少しスキマ開けるぐらいならできるんでしょ?」
「全然、問題ないですよ。確かに今日の露天は開放的過ぎてヤバイですからね」
どっちのヤバイかが判らないけど、気持ち良いと言う意味のはずだ。
「でも、三人には本当に感謝してる。現世ではまだ10日もたってないけど、こっちでは30日ぐらい一緒に過ごしてくれてるからね。最初に来た時には想像できないぐらい全員強くなったし、こうやって風呂もできた。三人がちゃんと来てくれたからだよ」
「いや、俺もタケルさんにはお礼を言いたいぐらいです。あっちじゃ、こんな経験絶対出来ないですし、それ以外でも色々と教わることがありました」
「そう? それは嬉しいね。確かに俺もあっちでは絶対出来ないことが出来てるのは間違いないからね。アキラさんもでしょ?」
「うん、夢がかなった」
「夢? ってなんでした?」
「思いっきりぶん殴る」
-確かにそういってた、そして今や岩をも破壊する拳。
「確かにそうですね、俺も魔法は使い放題だし、ダイスケも炎の剣があれば向かうところ敵無し。ナカジーも魔法が凄くなってるからね」
「でしょ♪ あのロッドがあれば何でも焼き払えるような気がしてきたの♪」
-それはやりすぎでしょ。
「そうそう、俺は雷出せるようになったから」
「!」
「あんた、いつのまにそんな!」
「うん、雨も降らせるし雷も出せる。全部神様にお願いするだけなんだけどね」
「・・・相変らず無茶苦茶ね・・・」
「そうだね、ちょっと力を持ちすぎた気がする。だから、これからはもっと強い魔獣が出てくると思うよ、それにそろそろ魔竜も・・・」
この世界の仕組みで行けば、タケル達が強くなった分に見合った試練が与えられるはずだ。明日からはシベル大森林の洞窟探索だが決して油断できない。
命がけになって来るだろう。
心を引き締めて頑張ろう!
~第9次派遣1日目~
林で木を切り倒したタケル達が教会裏の空き地へ戻ると、マリア達が丁度呼びに来てくれた。随分と温かくなったので、湯加減を見て欲しいそうだ。
タケルが一人で湯船まで行って手を入れてみる。
少しぬるいがこのまま釜で炊いていれば、服を脱いで戻って来たころには丁度よさそうだ。
「ありがとう、マリア。このぐらいで良いよ。もう少し釜の中にマキを入れてお湯を混ぜといて」
「わかりました」
空き地で修練中のダイスケとアキラさんを誘って男湯を先に開業する。
「ナカジー、お先に入らせてもらうね。見に来たかったら来てもいいけど、出来れば1人で魔法を練習しといてよ」
「見たくないわよ! そんな汚い物!」
-汚くは無いと思うが。
タケル達は宿舎で服を脱ぎバスタオルを巻いてタオルを持って風呂に向かう。
風呂は宿舎の裏口から50メートルぐらいは離れているので、上半身裸のオッサンとお兄さんが三人で歩いていく光景はなかなか微妙なものがある。
しかも、スティンと美少女の教会士トリオはまだ風呂の周りで待ってくれているのだから。
「じゃあ、タケルさんからどうぞ」
「悪いね、じゃあ記念すべき初湯(?)をいただきますよ」
タケルはバスタオルを腰に巻いたまま、手桶で湯船のお湯を肩からかけた。
丁度良い温度だ、少しぬるく感じるが浸かれば丁度だろう。
かけ湯を終えて湯船のへりを掴んで浴槽へ入り肩まで浸かる。
-ンンー! 天国だ!
「最高だね! 二人も入っておいでよ!」
湯加減は最高だ!
異世界の青空の下で入る始めての風呂!
二人もバスタオルを巻いたまま入ってきた、マナー違反だが今日は未成年女子が見ているから許してもらおう。
「ダイスケ、どうよ?」
「いやぁー、やっぱ良いッスよねぇ」
「ダイスケ君、ありがとう」
アキラさんも満面の笑みでダイスケに礼を言った。
タケルチームがこの世界に来て約72日が経過して念願の風呂が完成だ。
男三人が並んで入れる湯船が別世界に出来たことは感激すべきことだろう。
これがタケル達の派遣目的だったような錯覚を覚えるほどだ。
まだ、洗い場は無いので、20分ほど湯船に入ったり、ヘリに座ったりを繰り返して風呂から上がることにした。
火照った体を通り抜ける風が最高に気持ちよい。
「ダイスケ、屋根は要らないんじゃないかな?」
「そうですね、やっぱ露天は気持ち良いですよね。だったら、洗い場のところだけ屋根付けましょうか?」
「良いねぇ。簡単にできるの?」
「楽勝だと思います、スティンと後で相談しときます」
「スティンは一緒に入らないの?」
「俺も誘ったんですけど、イヤだって言うんスよ」
壁が無いから恥ずかしいのか?
壁が出来たらもう一回誘ってみよう。
「逆に、マリア達は興味があるみたいですよ」
-マジか!? いかんいかん、未成年だ。
「そうなの?じゃあ、壁が出来たらあの子達にも入ってもらおうよ。混浴はNGだよ、ダイスケ君!」
「判ってますよ! 俺はそんな度胸ないし・・・」
-そう、意外とダイスケ君はヘタレなんだよな。
-俺はマリンダと・・・
■スタートス聖教会 宿舎食堂
食堂にはスティンとその仲間達、ノックス司祭や教会の人、もちろんマリンダやブラックモアもいる。
これから皆でお風呂完成パーティーだ!
風呂を上がった俺達三人は皇都まで転移して肉中心に膨大な食材を買い込んできた。
ミレーヌがナカジーと協力して焼きまくった料理がテーブルに並んでいる。
酒もエール、果実酒、焼酎、日本酒とより取り見取り。
「では、僭越ながら私が乾杯の音頭をとらせていただきます。無事にドリーミア初となる『お風呂』が完成したことを祈念し、皆様で乾杯したいと思います、カンパーイ!!」
「「カンパーイ」」
それぞれのテーブルでカップをぶつけてくれた。
「ナカジーも料理作ってくれてありがとう、お風呂は気持ちよかったでしょ」
「うん、サイコーね。壁無いほうが風通って気持ちいいんじゃない?」
肉を口に運びながら大胆な発言をする。
「平気なの? 外から見られても」
「何も無いのじゃなくてさ、ちょっと衝立っぽいのがあればそれで良いわよ」
異世界は人を大胆にさせるのだろう。
「そうか、でもナカジーが良くても、俺達が万一見ると・・・」
-ドンッ!-
強烈なグーパンチが俺の二の腕を襲った。
「まあ、それは冗談だけど、ダイスケ、壁の板に少しスキマ開けるぐらいならできるんでしょ?」
「全然、問題ないですよ。確かに今日の露天は開放的過ぎてヤバイですからね」
どっちのヤバイかが判らないけど、気持ち良いと言う意味のはずだ。
「でも、三人には本当に感謝してる。現世ではまだ10日もたってないけど、こっちでは30日ぐらい一緒に過ごしてくれてるからね。最初に来た時には想像できないぐらい全員強くなったし、こうやって風呂もできた。三人がちゃんと来てくれたからだよ」
「いや、俺もタケルさんにはお礼を言いたいぐらいです。あっちじゃ、こんな経験絶対出来ないですし、それ以外でも色々と教わることがありました」
「そう? それは嬉しいね。確かに俺もあっちでは絶対出来ないことが出来てるのは間違いないからね。アキラさんもでしょ?」
「うん、夢がかなった」
「夢? ってなんでした?」
「思いっきりぶん殴る」
-確かにそういってた、そして今や岩をも破壊する拳。
「確かにそうですね、俺も魔法は使い放題だし、ダイスケも炎の剣があれば向かうところ敵無し。ナカジーも魔法が凄くなってるからね」
「でしょ♪ あのロッドがあれば何でも焼き払えるような気がしてきたの♪」
-それはやりすぎでしょ。
「そうそう、俺は雷出せるようになったから」
「!」
「あんた、いつのまにそんな!」
「うん、雨も降らせるし雷も出せる。全部神様にお願いするだけなんだけどね」
「・・・相変らず無茶苦茶ね・・・」
「そうだね、ちょっと力を持ちすぎた気がする。だから、これからはもっと強い魔獣が出てくると思うよ、それにそろそろ魔竜も・・・」
この世界の仕組みで行けば、タケル達が強くなった分に見合った試練が与えられるはずだ。明日からはシベル大森林の洞窟探索だが決して油断できない。
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