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派遣勇者の進む道
112.石板の文字
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■スタートス近郊 聖教石の洞窟
~第10次派遣3日目~
洞窟の奥に立てられていた聖教石は三重の五角形を描いている。高さは内側が50cmぐらいで一番外は1メートルぐらいの大きな物だった。それに石の色が教会にある聖教石は加工されていないものだが、ここにあるのは綺麗な黄金色になっている。タケルが光聖教石に加工したときと同じ色だった。
「ここも教会が作った部屋なんですかね?」
「違うよ。この洞窟は来るたびに形を変える神の試練だから、この部屋は神が用意したものだ」
コーヘイの疑問に対して自分に言い聞かせるようにタケルは返事をしたが、神の試練だとしたら何なのだろうか?
「ほんなら、ここからも教会に飛んでいけるんですかね?」
マユミと同じことをタケルも考えていたが、何か違うような気がする。それにさっきの石板のこともあるから、転移魔法を試すのは少し不安だ。何処に行くかの保証が出来ない。
「教会に行けるかも知れないけど少し心配だね。石板に書いてあった文字を確認してからどうするかを決めよう。今日は俺の転移ポイントを使って、一旦スタートスに戻ろう」
■スタートス聖教会 司祭執務室
転移魔法でスタートスに戻ったタケルは気になる石板の写しを持って、マリンダの所に向かった。読んでもらうと、言い回しが古い表現だが訓話のようなことが書いてあると言う。
『自らを鍛え強き力を』
『力あるものは正しき心を』
『異なる智は大いなる恵みを』
『異なる種に慈しみを』
『精霊の加護は再び得られん』
何となく精神論みたいな話に聞こえたが、最後の精霊の加護が気になる。魔竜討伐に役に立つ物なら、なんとか手に入れておきたい。
「ノックスさんは精霊の加護って何のことだかわかりますか?」
「いえ、私もわかりかねます。精霊・・・、この世界では聞きなれない言葉ですが、石板の文字は古語で書かれていましたので、古の伝承にあるのかもしれません」
-古の伝承・・・、誰に聞くのが良いのだろうか?
戻ってから西條に聞いても良いが、気になるので早く情報が欲しい。まだ、日が落ちていないし、皇都に行って枢機卿に聞いてみることにしよう。知っている中では一番偉い人だし、知識も豊富な筈だ。
「ノックスさん、今からマリンダさんを2時間ほど借りても良いですか?」
「ええ、もちろん構いませんが、どうされるのですか?」
「はい、石板の内容について枢機卿に教えて貰いに行こうかと」
「「!」」
「お約束のお手紙などは出されてないのですよね?」
「ええ、でも大丈夫なはずですよ」
ノックスはノンアポで枢機卿を訪問するのが信じられないようだった。マリンダもあまり嬉しそうな顔はしなかった。やはり国の№2に会うのは緊張するのかもしれない。
■首都セントレア 皇都大教会
皇都の大教会は日が沈む前だったが、ホールの人影はいつもより少ないようだ。この時間から尋ねてくる人はあまりいないのだろう。いつものようにマリンダに事務室へ行って枢機卿が居るかを聞いてきてもらう。あまり待たされること無くマリンダは教会士と一緒に戻ってきて、そのまま枢機卿の部屋へ連れて行ってもらえることになった。
ボルク枢機卿は大きな部屋の奥から立ち上がり、前回と同じ愛想のよさでタケル達を迎えてくれた。
「タケル殿、お越しいただけて嬉しくおもいます。お元気にされていますか?」
「はい、おかげさまで。教会の皆さんには大変良くしていただいています」
「そうですか、それは何よりです。それで今日はどのようなご用件ですか?」
「ええ、じつは・・・」
タケルは聖教石の洞窟とそこにあった石板の話をしてから、文字を写し取った紙をボルク枢機卿に見せた。
『自らを鍛え強き力を』
『力あるものは正しき心を』
『異なる智は大いなる恵みを』
『異なる種に慈しみを』
『精霊の加護は再び得られる』
「なるほど、これは神託の一つでしょうな。ですが・・・、具体的な意味は私にも判りません。多少の心当たりはありますが、神託を読み解くのは教皇の役割ですので、私が口を挟むわけにも参りませんので」
なるほど、神のお告げは教皇が読み解かないと、異なった解釈が広がってマズイことになるのかもしれないな。
「じゃあ、教皇様に内容を聞いておいてもらえますか?」
「・・・いえ、せっかくですから今から聞きに行きましょう。今なら午後のお祈りと夕食の間で、お時間が空いていると思いますので」
「良いんですか?私達が教皇様に突然会いに行っても?」
横のマリンダは緊張しすぎて顔が痙攣し始めていた。
「ええ、教皇はタケル殿が来ることを知っているはずですから、大丈夫です」
「どう言う意味なんでしょう!?」
「文字通りの意味ですよ。教皇はアシーネ神の代理を務めるお方です、この国で起こる多くのことを神の目を通じてご存知ですから、勇者様が何をされているかも当然ご存知です。ですので、石板の意味を聞きに来るのをお待ちになっているはずです」
全部知っている?
じゃあ、俺とマリンダのあんなこととかも!?
~第10次派遣3日目~
洞窟の奥に立てられていた聖教石は三重の五角形を描いている。高さは内側が50cmぐらいで一番外は1メートルぐらいの大きな物だった。それに石の色が教会にある聖教石は加工されていないものだが、ここにあるのは綺麗な黄金色になっている。タケルが光聖教石に加工したときと同じ色だった。
「ここも教会が作った部屋なんですかね?」
「違うよ。この洞窟は来るたびに形を変える神の試練だから、この部屋は神が用意したものだ」
コーヘイの疑問に対して自分に言い聞かせるようにタケルは返事をしたが、神の試練だとしたら何なのだろうか?
「ほんなら、ここからも教会に飛んでいけるんですかね?」
マユミと同じことをタケルも考えていたが、何か違うような気がする。それにさっきの石板のこともあるから、転移魔法を試すのは少し不安だ。何処に行くかの保証が出来ない。
「教会に行けるかも知れないけど少し心配だね。石板に書いてあった文字を確認してからどうするかを決めよう。今日は俺の転移ポイントを使って、一旦スタートスに戻ろう」
■スタートス聖教会 司祭執務室
転移魔法でスタートスに戻ったタケルは気になる石板の写しを持って、マリンダの所に向かった。読んでもらうと、言い回しが古い表現だが訓話のようなことが書いてあると言う。
『自らを鍛え強き力を』
『力あるものは正しき心を』
『異なる智は大いなる恵みを』
『異なる種に慈しみを』
『精霊の加護は再び得られん』
何となく精神論みたいな話に聞こえたが、最後の精霊の加護が気になる。魔竜討伐に役に立つ物なら、なんとか手に入れておきたい。
「ノックスさんは精霊の加護って何のことだかわかりますか?」
「いえ、私もわかりかねます。精霊・・・、この世界では聞きなれない言葉ですが、石板の文字は古語で書かれていましたので、古の伝承にあるのかもしれません」
-古の伝承・・・、誰に聞くのが良いのだろうか?
戻ってから西條に聞いても良いが、気になるので早く情報が欲しい。まだ、日が落ちていないし、皇都に行って枢機卿に聞いてみることにしよう。知っている中では一番偉い人だし、知識も豊富な筈だ。
「ノックスさん、今からマリンダさんを2時間ほど借りても良いですか?」
「ええ、もちろん構いませんが、どうされるのですか?」
「はい、石板の内容について枢機卿に教えて貰いに行こうかと」
「「!」」
「お約束のお手紙などは出されてないのですよね?」
「ええ、でも大丈夫なはずですよ」
ノックスはノンアポで枢機卿を訪問するのが信じられないようだった。マリンダもあまり嬉しそうな顔はしなかった。やはり国の№2に会うのは緊張するのかもしれない。
■首都セントレア 皇都大教会
皇都の大教会は日が沈む前だったが、ホールの人影はいつもより少ないようだ。この時間から尋ねてくる人はあまりいないのだろう。いつものようにマリンダに事務室へ行って枢機卿が居るかを聞いてきてもらう。あまり待たされること無くマリンダは教会士と一緒に戻ってきて、そのまま枢機卿の部屋へ連れて行ってもらえることになった。
ボルク枢機卿は大きな部屋の奥から立ち上がり、前回と同じ愛想のよさでタケル達を迎えてくれた。
「タケル殿、お越しいただけて嬉しくおもいます。お元気にされていますか?」
「はい、おかげさまで。教会の皆さんには大変良くしていただいています」
「そうですか、それは何よりです。それで今日はどのようなご用件ですか?」
「ええ、じつは・・・」
タケルは聖教石の洞窟とそこにあった石板の話をしてから、文字を写し取った紙をボルク枢機卿に見せた。
『自らを鍛え強き力を』
『力あるものは正しき心を』
『異なる智は大いなる恵みを』
『異なる種に慈しみを』
『精霊の加護は再び得られる』
「なるほど、これは神託の一つでしょうな。ですが・・・、具体的な意味は私にも判りません。多少の心当たりはありますが、神託を読み解くのは教皇の役割ですので、私が口を挟むわけにも参りませんので」
なるほど、神のお告げは教皇が読み解かないと、異なった解釈が広がってマズイことになるのかもしれないな。
「じゃあ、教皇様に内容を聞いておいてもらえますか?」
「・・・いえ、せっかくですから今から聞きに行きましょう。今なら午後のお祈りと夕食の間で、お時間が空いていると思いますので」
「良いんですか?私達が教皇様に突然会いに行っても?」
横のマリンダは緊張しすぎて顔が痙攣し始めていた。
「ええ、教皇はタケル殿が来ることを知っているはずですから、大丈夫です」
「どう言う意味なんでしょう!?」
「文字通りの意味ですよ。教皇はアシーネ神の代理を務めるお方です、この国で起こる多くのことを神の目を通じてご存知ですから、勇者様が何をされているかも当然ご存知です。ですので、石板の意味を聞きに来るのをお待ちになっているはずです」
全部知っている?
じゃあ、俺とマリンダのあんなこととかも!?
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