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派遣勇者の進む道
122.ノルド
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■パパスの小屋
ドワーフの長老の名前はノルドと言った。ノルドは大勢のエルフ達が見守る小屋の前でタケルが聖教石を埋めていくのをエルフの長老と並んで黙って見ている。
「コーヘイ以外はここで待っててよ。できれば、エルフの人たちとできるだけ仲良くなって、色々と話を聞いておいてくれると助かる」
ダイスケとマユミは嬉しそうにうなずいている。エルフと話ができるのが楽しみなのだろう。ノルドを聖教石の中に呼び入れてコーヘイと3人で並ぶ。
「ジャンプ」
周囲の景色が一瞬で変わってもノルドは驚かなかった。いや、驚いているのかもしれないのだが、表情や声に出ることは無かった。興味深そうにあたりを見回してからタケルを見上げた。並んで立つとノルドの身長はタケル達の腰より少し高いぐらいだから120㎝ほどのようだ。
「ここはボルケーノ火山の近くにある武具職人の工房になります。鉱石と道具をこの工房で見ていただいて、必要な物を揃えましょう」
「うむ、おぬしの魔法とやらも空を飛べるのかと思ったが違うんじゃな」
「ええ、空は飛んでいないと思いますが。神へ祈れば願いの場所へ連れて行ってくれます」
「なるほど、おぬしたちの神はおぬしを大事にしておるのじゃな」
驚いたことにマリンダ達と同じことを言う。タケルが神に愛されているのは、種族が違っても同じように判るようだ。
工房になっている大きい小屋から金属を叩く音が聞えてくる。今日もパパスは仕事をしているようだ。小屋の扉を開けるといつものように笑顔で迎えてくれた。
「おお、勇者様か。待ってたよ、頼まれた剣は出来てるぜ」
かなとこの前から立ち上がって、大きな作業台に置いてあった刀を取り上げてコーヘイに手渡した。
「注文通りに作ったはずだが、不都合があれば遠慮なく言ってくれ。打ち直すからよ」
「ありがとうございます・・・、これは素晴らしいです。想像以上に・・・」
コーヘイは刀を鞘から抜いて、外から差し込む日の光に当てて刀身の反りと輝きに見入っている。
「パパスさん、いつもありがとうございます。お願いばかりで申し訳ないのですが、別のお願いがあるんです」
「なんだい、改まって。遠慮はいらねえよ、何でも言ってくれ」
「ありがとうございます。実はこちらの方が私に特別な道具を作ってくれるのですが、材料と道具を貸していただきたいのです」
パパスはタケルの話を聞いて難しい顔をして腕を組んだ。
「道具か・・・、材料は構わねぇが、道具は貸すもんじゃあねえからなぁ。それで、何の道具を貸してほしいんだい?」
「ノルドさん、道具はどれが必要になるんでしょうか?」
「ちょ、ちょっと待てよ。この爺さん、い、いやこの人はノルドって名前なのかい!?」
「ええ、そう聞いています」
「・・・、確かに・・・俺たちの神様と同じ姿だな・・・」
パパスはノルドを上から下まで見ているが、ノルドは表情を変えずにパパスを見返している。
「パパスさん、神様と言うのは?」
「あ、ああ、俺たち武具職人で鍛冶をやる者たちの間では、大昔に鍛冶を教えてくれた神様が森の中に住んでたって言い伝えがあるんだ。その神様が作る武具は強く、軽く、そして丈夫だったらしい。だから、俺たちは武具を作るときはその神様に祈りながら、火を起こして槌をふるってるんだよ。その神様の名前がノルド様で、背は低いが長いひげを・・・」
「ノルドさんは神様なんですか?」
「わしは森の民ノルドだ、おぬしたちの神などではない」
「それでも、昔は人に鍛冶師仕事を教えたりもしていたんですか?」
「多くは無いが、森に来たものでしばらく居ついておったものはおるな」
「ところでノルドさんはお幾つなんですか?」
タケルは興味があったことを聞いてみた。エルフは長寿と聞くがこの世界のドワーフはどうなのだろう?
「わし等は人のように年を数えたりはせぬ。じゃが、魔竜の復活は10回ほどあったはずじゃ」
-3000年? 長寿っていうより不死?
「ノルド様、ここにある道具は好きなように持って行っていただいて結構です。足りないものがあれば、何でも言ってくだせぇ」
パパスの中では神様確定となったようだ。
「そうじゃな、鉱石をまずは見せてもらおうか・・・」
ノルドは鉱石と工房にある道具と鉱石を確認しながら、タケルにはわからない話をパパスとしばらく続けていた。
「うむ、この小屋には道具がそろっておるな。ここでお前の腕輪を作ってやろう」
「ここですか? ですけど、何日か掛かるんですよね?」
「うむ、10日ほどは掛かるはずじゃ」
「私がいる間は森から送り迎えができますが、いないときは森で待っておくことで良いでしょうか?」
「いや、わしのことは気にせんでよい。この近くの森で寝泊まりすれば良いでな」
「いえいえ、ノルド様。ここで仕事をされるなら、きたねえ所ですが俺の家にぜひ泊まってくだせえ」
「ふむ、わしはそれでもかまわん」
上手くまとまったようだが、泊まり込みなら差し入れが必要だな。
「じゃあ、ちょっと買い出しに行ってきますね。1時間ぐらいで戻ってきますけど。ノルドさんは何か欲しいものはありますか?」
「うむ、ならば酒を買って来てくれ、久しく外の者が作る酒を飲んでおらん」
「わかりました。たくさん買ってきますよ」
ドワーフが酒飲みという伝説も事実のようだな。概ね俺たちの伝説とこの世界は同じなのだろうか?
ドワーフの長老の名前はノルドと言った。ノルドは大勢のエルフ達が見守る小屋の前でタケルが聖教石を埋めていくのをエルフの長老と並んで黙って見ている。
「コーヘイ以外はここで待っててよ。できれば、エルフの人たちとできるだけ仲良くなって、色々と話を聞いておいてくれると助かる」
ダイスケとマユミは嬉しそうにうなずいている。エルフと話ができるのが楽しみなのだろう。ノルドを聖教石の中に呼び入れてコーヘイと3人で並ぶ。
「ジャンプ」
周囲の景色が一瞬で変わってもノルドは驚かなかった。いや、驚いているのかもしれないのだが、表情や声に出ることは無かった。興味深そうにあたりを見回してからタケルを見上げた。並んで立つとノルドの身長はタケル達の腰より少し高いぐらいだから120㎝ほどのようだ。
「ここはボルケーノ火山の近くにある武具職人の工房になります。鉱石と道具をこの工房で見ていただいて、必要な物を揃えましょう」
「うむ、おぬしの魔法とやらも空を飛べるのかと思ったが違うんじゃな」
「ええ、空は飛んでいないと思いますが。神へ祈れば願いの場所へ連れて行ってくれます」
「なるほど、おぬしたちの神はおぬしを大事にしておるのじゃな」
驚いたことにマリンダ達と同じことを言う。タケルが神に愛されているのは、種族が違っても同じように判るようだ。
工房になっている大きい小屋から金属を叩く音が聞えてくる。今日もパパスは仕事をしているようだ。小屋の扉を開けるといつものように笑顔で迎えてくれた。
「おお、勇者様か。待ってたよ、頼まれた剣は出来てるぜ」
かなとこの前から立ち上がって、大きな作業台に置いてあった刀を取り上げてコーヘイに手渡した。
「注文通りに作ったはずだが、不都合があれば遠慮なく言ってくれ。打ち直すからよ」
「ありがとうございます・・・、これは素晴らしいです。想像以上に・・・」
コーヘイは刀を鞘から抜いて、外から差し込む日の光に当てて刀身の反りと輝きに見入っている。
「パパスさん、いつもありがとうございます。お願いばかりで申し訳ないのですが、別のお願いがあるんです」
「なんだい、改まって。遠慮はいらねえよ、何でも言ってくれ」
「ありがとうございます。実はこちらの方が私に特別な道具を作ってくれるのですが、材料と道具を貸していただきたいのです」
パパスはタケルの話を聞いて難しい顔をして腕を組んだ。
「道具か・・・、材料は構わねぇが、道具は貸すもんじゃあねえからなぁ。それで、何の道具を貸してほしいんだい?」
「ノルドさん、道具はどれが必要になるんでしょうか?」
「ちょ、ちょっと待てよ。この爺さん、い、いやこの人はノルドって名前なのかい!?」
「ええ、そう聞いています」
「・・・、確かに・・・俺たちの神様と同じ姿だな・・・」
パパスはノルドを上から下まで見ているが、ノルドは表情を変えずにパパスを見返している。
「パパスさん、神様と言うのは?」
「あ、ああ、俺たち武具職人で鍛冶をやる者たちの間では、大昔に鍛冶を教えてくれた神様が森の中に住んでたって言い伝えがあるんだ。その神様が作る武具は強く、軽く、そして丈夫だったらしい。だから、俺たちは武具を作るときはその神様に祈りながら、火を起こして槌をふるってるんだよ。その神様の名前がノルド様で、背は低いが長いひげを・・・」
「ノルドさんは神様なんですか?」
「わしは森の民ノルドだ、おぬしたちの神などではない」
「それでも、昔は人に鍛冶師仕事を教えたりもしていたんですか?」
「多くは無いが、森に来たものでしばらく居ついておったものはおるな」
「ところでノルドさんはお幾つなんですか?」
タケルは興味があったことを聞いてみた。エルフは長寿と聞くがこの世界のドワーフはどうなのだろう?
「わし等は人のように年を数えたりはせぬ。じゃが、魔竜の復活は10回ほどあったはずじゃ」
-3000年? 長寿っていうより不死?
「ノルド様、ここにある道具は好きなように持って行っていただいて結構です。足りないものがあれば、何でも言ってくだせぇ」
パパスの中では神様確定となったようだ。
「そうじゃな、鉱石をまずは見せてもらおうか・・・」
ノルドは鉱石と工房にある道具と鉱石を確認しながら、タケルにはわからない話をパパスとしばらく続けていた。
「うむ、この小屋には道具がそろっておるな。ここでお前の腕輪を作ってやろう」
「ここですか? ですけど、何日か掛かるんですよね?」
「うむ、10日ほどは掛かるはずじゃ」
「私がいる間は森から送り迎えができますが、いないときは森で待っておくことで良いでしょうか?」
「いや、わしのことは気にせんでよい。この近くの森で寝泊まりすれば良いでな」
「いえいえ、ノルド様。ここで仕事をされるなら、きたねえ所ですが俺の家にぜひ泊まってくだせえ」
「ふむ、わしはそれでもかまわん」
上手くまとまったようだが、泊まり込みなら差し入れが必要だな。
「じゃあ、ちょっと買い出しに行ってきますね。1時間ぐらいで戻ってきますけど。ノルドさんは何か欲しいものはありますか?」
「うむ、ならば酒を買って来てくれ、久しく外の者が作る酒を飲んでおらん」
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