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派遣勇者の進む道
161.新しい神?
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■バーン 南方大教会
~第15次派遣4日目~
「グランドウォール!」
タケルは叫びと共に手のひらから地面にエネルギーが伝わるのを感じた。目の前の地面がいきなり隆起して、タケルがイメージした通りの2メートル四方の土壁が綺麗に立ち上がった。
「な、なんと!? 見ただけでできるのか?」
フィリップは驚いて両ひざを地面に着いてしまった。だが、タケルにとってはいつもの事だった。特に何かをしているわけではない、神がタケルの願いを叶えてくれる。ただそれだけの事だった。
「ガイン様にも私の声は届いたようですね」
「真四角の綺麗な壁だね」
アキラさんが言う通り縦横2メートル厚さ50㎝の壁が地面から垂直に立ち上がっている。
「ええ、角も直線にできるか試してみたんですけど、イメージ通りにできました。氷の壁でもいいですけど、土の方が加工しやすいような気がしています」
「加工って何をするの?」
タケルは土の壁に手を当てて目を瞑り壁の中央に四角い窓のような開口部を作った。
「これなら、ここから弓を撃ったり火炎風を放ったりも出来るでしょう?」
「なるほどね、お城の銃眼みたいなものだね」
「ええ、他にもいくつかアイディアがあるので、やってみましょう」
タケルはもう一度地面に聖教石を置いて作った土壁を地面に戻してから、土の神に祈りを捧げた。
-ガイン様、土の階段をお願いします。
「グランドウォール!」
叫び声に併せてタケルがイメージした土の階段が目の前から一段ずつ立ち上がって行き、10メートル上まで登れる大きな土の階段が出来た。
「何処かに上る時にも便利ですし、上から攻撃することも出来るはずです。だけど・・・」
自分で作った階段を強化するために、もう一度地面に聖教石を置いて階段の一番上に立てる足場と3方向に銃眼のある土壁を追加した。
「この方が良いですね、即席の矢倉の役割が果たせそうです」
「お、お前は一体何をやっているのだ!?」
「土魔法を使って実際に魔竜と戦う方法を考えているんですよ。まずは防御の道具として使う方法が良さそうなので、色々試しています」
フィリップは驚きよりタケルがやっていることに恐怖を感じているようだ。
「し、しかし、どうやればそこまで土を操れるようになるのだ!?」
「それは・・・、神様に聞かないと判らないですね。私はフィリップさんが見せてくれた魔法を応用しているだけです。壁が出来るなら階段も出来るし、他にもいろいろできると思っているんですが・・・、土で動く人形は作れませんか?」
「!? 一体どうして・・・!?」
フィリップが驚いた反応をみせたと言う事は既に作れる人が居るのだろう。現世のアニメやゲームなら土のゴーレムは定番だろうが、この世界では思いつく人間は少ないはずだ。
「ひょっとして誰かの固有魔法ですか? 司教? いや副司教ですね?」
「どうして、そこまでわかるのだ!?」
半分はあてずっぽうだが、確率は高いとタケルは思って副司教の名前を出してみたが、図星だったようだ。
「土人形を作れるとして、どうやって動かすのか? いや、操るのでしょうか?」
「それは私からも説明できない。副司教が自分で考えた魔法だからな」
「副司教はどちらに居るのでしょうか? その魔法を教えてもらう事は出来ますか?」
「それは・・・、難しいだろうな。副司教は外の世界の勇者を認めておらん。お前がどれだけ凄い魔法を使えたとしても、お前に何かを教えることは無いだろう」
副司教はかなり頑なな人物のようだが、会ってみないと確実なことは言えない。
「直接お会いしてお願いしてみたいのですが、今日は教会には戻って来られないのですか?」
「うむ。副司教のビジョンは東の荒野に土魔法の研究をするための塔を建てた。今は其処にこもって新しい魔法の研究を・・・」
「新しい魔法? 土魔法を応用したものでしょうか?」
「そうとも言えるが、まったく違う魔法ともいえる。ビジョンは自らの手で勇者を復活させてようとしておるのだ」
-勇者の復活!? まさか・・・
「復活と言うと、死んだ勇者を生き返らせるつもりなんですか!?」
「うむ、生き返らせると言うべきか、むしろ魔法でもう一度同じ勇者を生み出すと言うべきだろうな」
「それには土魔法と土人形が関係していると?」
「そうだ。勇者の亡骸と土人形を使って不死の勇者を作ろうとしているのだ」
-なんだかとんでもない話をさらっと言ったな。
「それはアシーネ様やガイン様の力で実現できるのでしょうか?」
「いや、アシーネ様の力では難しい。だが、ビジョンは新たな神の神託を受けたのだ。その神の力を使えば死者の魂を土魔法によって、死んだ勇者をもう一度生み出すことが出来る・・・、ビジョンはそう信じた。そして、わしもそれを信じたいと思って、ビジョンに研究を任せたのだ」
-新たな神! 以前、西條が冗談っぽく言っていたが・・・、神にも始まりがあるはずと・・
「しかし・・・、本当にそんなことが出来るのでしょうか? 死んだ人間は生き返りませんし、土人形で勇者を作ることも出来ないでしょう」
「土が動くなら亡骸も動くはずだと・・・、そしてそこに勇者の魂が戻れば・・・」
-死体に魂を戻そうと!? だけど、そんな大昔の死体って・・・白骨化してるんじゃないか!?
フィリップが語る話は荒唐無稽に聞えたが、嘘や冗談でこんな話をするはずが無い。ビジョンと言う副司教は真剣に考えているのだろう。
タケルはどうすれば良いのか判らなくなった。タケル達には直接関係ない話のような気もするが、死者を動かすと言う人間の理に反する事を見過ごして良いのだろうか?
やはり、一度会って話をする方が良いはずだ。
「フィリップ司教、副司教とも私が会って話をした方が良いと思います。今日は時間の関係でお会いできないでしょうが、5日後にまた来ますので、副司教のいる塔まで案内してもらえますか?」
「それは・・・、わかった。だが、塔はここから馬車で三日はかかるぞ」
また、長時間の馬車移動か・・・、良し! 次回の派遣は空飛ぶ船を何とか完成させてから行くことにしよう!
~第15次派遣4日目~
「グランドウォール!」
タケルは叫びと共に手のひらから地面にエネルギーが伝わるのを感じた。目の前の地面がいきなり隆起して、タケルがイメージした通りの2メートル四方の土壁が綺麗に立ち上がった。
「な、なんと!? 見ただけでできるのか?」
フィリップは驚いて両ひざを地面に着いてしまった。だが、タケルにとってはいつもの事だった。特に何かをしているわけではない、神がタケルの願いを叶えてくれる。ただそれだけの事だった。
「ガイン様にも私の声は届いたようですね」
「真四角の綺麗な壁だね」
アキラさんが言う通り縦横2メートル厚さ50㎝の壁が地面から垂直に立ち上がっている。
「ええ、角も直線にできるか試してみたんですけど、イメージ通りにできました。氷の壁でもいいですけど、土の方が加工しやすいような気がしています」
「加工って何をするの?」
タケルは土の壁に手を当てて目を瞑り壁の中央に四角い窓のような開口部を作った。
「これなら、ここから弓を撃ったり火炎風を放ったりも出来るでしょう?」
「なるほどね、お城の銃眼みたいなものだね」
「ええ、他にもいくつかアイディアがあるので、やってみましょう」
タケルはもう一度地面に聖教石を置いて作った土壁を地面に戻してから、土の神に祈りを捧げた。
-ガイン様、土の階段をお願いします。
「グランドウォール!」
叫び声に併せてタケルがイメージした土の階段が目の前から一段ずつ立ち上がって行き、10メートル上まで登れる大きな土の階段が出来た。
「何処かに上る時にも便利ですし、上から攻撃することも出来るはずです。だけど・・・」
自分で作った階段を強化するために、もう一度地面に聖教石を置いて階段の一番上に立てる足場と3方向に銃眼のある土壁を追加した。
「この方が良いですね、即席の矢倉の役割が果たせそうです」
「お、お前は一体何をやっているのだ!?」
「土魔法を使って実際に魔竜と戦う方法を考えているんですよ。まずは防御の道具として使う方法が良さそうなので、色々試しています」
フィリップは驚きよりタケルがやっていることに恐怖を感じているようだ。
「し、しかし、どうやればそこまで土を操れるようになるのだ!?」
「それは・・・、神様に聞かないと判らないですね。私はフィリップさんが見せてくれた魔法を応用しているだけです。壁が出来るなら階段も出来るし、他にもいろいろできると思っているんですが・・・、土で動く人形は作れませんか?」
「!? 一体どうして・・・!?」
フィリップが驚いた反応をみせたと言う事は既に作れる人が居るのだろう。現世のアニメやゲームなら土のゴーレムは定番だろうが、この世界では思いつく人間は少ないはずだ。
「ひょっとして誰かの固有魔法ですか? 司教? いや副司教ですね?」
「どうして、そこまでわかるのだ!?」
半分はあてずっぽうだが、確率は高いとタケルは思って副司教の名前を出してみたが、図星だったようだ。
「土人形を作れるとして、どうやって動かすのか? いや、操るのでしょうか?」
「それは私からも説明できない。副司教が自分で考えた魔法だからな」
「副司教はどちらに居るのでしょうか? その魔法を教えてもらう事は出来ますか?」
「それは・・・、難しいだろうな。副司教は外の世界の勇者を認めておらん。お前がどれだけ凄い魔法を使えたとしても、お前に何かを教えることは無いだろう」
副司教はかなり頑なな人物のようだが、会ってみないと確実なことは言えない。
「直接お会いしてお願いしてみたいのですが、今日は教会には戻って来られないのですか?」
「うむ。副司教のビジョンは東の荒野に土魔法の研究をするための塔を建てた。今は其処にこもって新しい魔法の研究を・・・」
「新しい魔法? 土魔法を応用したものでしょうか?」
「そうとも言えるが、まったく違う魔法ともいえる。ビジョンは自らの手で勇者を復活させてようとしておるのだ」
-勇者の復活!? まさか・・・
「復活と言うと、死んだ勇者を生き返らせるつもりなんですか!?」
「うむ、生き返らせると言うべきか、むしろ魔法でもう一度同じ勇者を生み出すと言うべきだろうな」
「それには土魔法と土人形が関係していると?」
「そうだ。勇者の亡骸と土人形を使って不死の勇者を作ろうとしているのだ」
-なんだかとんでもない話をさらっと言ったな。
「それはアシーネ様やガイン様の力で実現できるのでしょうか?」
「いや、アシーネ様の力では難しい。だが、ビジョンは新たな神の神託を受けたのだ。その神の力を使えば死者の魂を土魔法によって、死んだ勇者をもう一度生み出すことが出来る・・・、ビジョンはそう信じた。そして、わしもそれを信じたいと思って、ビジョンに研究を任せたのだ」
-新たな神! 以前、西條が冗談っぽく言っていたが・・・、神にも始まりがあるはずと・・
「しかし・・・、本当にそんなことが出来るのでしょうか? 死んだ人間は生き返りませんし、土人形で勇者を作ることも出来ないでしょう」
「土が動くなら亡骸も動くはずだと・・・、そしてそこに勇者の魂が戻れば・・・」
-死体に魂を戻そうと!? だけど、そんな大昔の死体って・・・白骨化してるんじゃないか!?
フィリップが語る話は荒唐無稽に聞えたが、嘘や冗談でこんな話をするはずが無い。ビジョンと言う副司教は真剣に考えているのだろう。
タケルはどうすれば良いのか判らなくなった。タケル達には直接関係ない話のような気もするが、死者を動かすと言う人間の理に反する事を見過ごして良いのだろうか?
やはり、一度会って話をする方が良いはずだ。
「フィリップ司教、副司教とも私が会って話をした方が良いと思います。今日は時間の関係でお会いできないでしょうが、5日後にまた来ますので、副司教のいる塔まで案内してもらえますか?」
「それは・・・、わかった。だが、塔はここから馬車で三日はかかるぞ」
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