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4. 殺人容疑
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ドアから入って来たのは、1万円を置いて出ていったあのガタイの良い男性だった。
「おお、まだいたか。良かった」
「何だ、何か忘れものか?」
「ああ、ちょっと、な。お嬢さん、この写真の人物に見覚えはないか?」
そうして、その男性はリナの前に1枚の写真を差し出した。その写真は目をつぶった初老の男性だった。リナは首を傾げると
「さぁ、見たことはありませんが、何故目をつぶっているのですか?」
「そりゃぁ、その写真は死体の写真だからさ」
「ええっ、」
リナが思わず写真から後退さると、喫茶店にいた他の人達も皆がその写真をのぞき込んできた。
「おい、これはあの狸ジジイじゃないか。死んだのか」
「殺しても死なないような奴だが、まさか殺されたのか?」
「お前が持っているという事は殺人事件か?」
「ええっ!? 殺人事件?」
ガタイの良い男性は、驚くリナに黒い手帳を差し出してきた。
「あーっ、警視庁第9課の御大という。一応、刑事だ。お嬢さんにまぁ、参考人として話を聞きたい」
「参考人? まさか、容疑者か?」
「お前が担当するのか?」
「一応な、重要参考人。お嬢さんの学生証が死体の中から出て来たから」
「ええっ、何ですか!? それ。私の学生証ならバッグの中に」
そう言ってリナがお財布を出して、なかから学生証を出そうとすると
「えっ、ない。どうして!」
慌ててバッグをひっくり返し、内ポケットのアチコチを探してみるが学生証は見つからなかった。刑事の御大は気の毒そうに
「まぁ、さっきの反応を見てもこの店に駆け込んできた時の様子を見ても犯人ではないと思うけど、学生証の他にもいわゆる証拠というのがあって」
「どこから、どう見てもこのお嬢さんが犯人とは見えないですね」
「特に、あの狸ジジイからこのお嬢さんが殺されるのならわかるけど、逆はないな」
「大体、あの狸が殺されるか!? 死因はなんだ?」
「多分、何かで体の自由を奪って、ナイフで心臓から魔石をくりだしている。あの狸を相手にそんな事が出来るなんて、よほどの手練れだ。わざとらしく中にお嬢さんの学生証を置いているというのが気になるが」
喫茶店にいるお客と刑事の御大、お店の人も合わせて色々と話しているが、リナは混乱していた。(殺人事件なのに、そんなに情報を一般人にペラペラと話していいの? 殺された人、知り合いみたいだけど、ここは人外の集まるところって事は殺された人も妖怪?)
「おい、お嬢さんが混乱しているぞ。大丈夫か?」
「ああ、ハイ。あの、殺された人も妖怪なんですか?」
「ああ、あれは化け狸と人間のハーフだ。本当の化け狸に比べると、そこまで強くはないが、人間相手にやられる奴じゃない。ましてや、覚醒もしてない女の子に殺されるなんてありえない」
「でも、アイツ結構恨みを買っているぞ」
「かなりアコギな真似をしているからな。妖怪相手にしても。何かまずい事したんじゃないか」
刑事の御大によると、表には出ないがいわゆる『怪しい事件』というのは時々起こり、超常現象とかオカルトじみた事件については『警視庁9課』が担当する事になっている。
表向きには『警視庁9課』というのは存在していない事になっているので、彼らの籍は書籍管理室にあり、他の事件で『怪し』が関わっていると疑われると専門官として赴くことになる。
そして、一応警視庁に籍はあるが、全国対応なので各地の県警に連絡員はいる。
その『警視庁9課』には人に変化した『怪し』が刑事として勤めているし、上は『怪し』『妖怪』の存在を認識し、その能力も認めている。
今回の事件については、以前から違法行為が疑われていた被害者『田塗大善』が人外ではないかと思われた為と、その殺害方法が変わっていたため、『警視庁9課』が担当する事になった。
「俺はさっき、ここでお嬢さん、三毛リナさんに会ったからって担当にしてもらった。さっきの話も気になったしな」
「なんだ、さっきの話って?」
「そういえば、コックリさん、してたみたいだな。何か関係あるのか?」
50音を書いた模造紙を片付けている時にちょうどきた常連客が興味深そうに尋ねてきた。それに店員Aがこれまでの事を説明すると、
「おお、嬢ちゃん、いい迷惑だったな。でも、ここに来たのは正解だ。ここはある意味『妖の駆け込み寺』みたいなものだから」
「マスターとナキン様が何とかしてくれる」
「そうそう、ナキン様は最強のケルベロスだから妖怪も誰もかなわない」
「おい! ふざけるな」
「そうなんだよな。偶然とはいえ、ここに来たのは良かったと思うが、三毛リナさんは結局、まだ覚醒はしてないんだよな」
「あの、私は人間です。三毛リナと言います。今回は突然、ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません」
「いえいえ、どういたしまして。ところで、三毛さん、独り暮らし?」
「ええ、そうですけど、何か?」
「被害者の殺害方法が残忍なんだ。まるで、魚の開きのように上から下まで切り裂いているし、その中に三毛さんの学生証を入れ込んでいるのがチョット引っかかる」
「バイト先はコールセンターでしたね」
「あっ、ハイ」
「そこのバイトを止めて、この喫茶店で働きませんか?」
「えっ?」
「基本的にここでバイトをして、送り迎えをAにさせましょう。それと、自宅には結界を張っておいたほうが良いですね。今の貴女はまだ生まれたばかりの赤ん坊のような状態ですから」
「赤ん坊!?」
「お嬢さんを片付けるのは赤子の手をひねるようなものだ」
「か、片付ける!?」
リナはようやく、自分が危うい立場に立っている事を自覚した。
「おお、まだいたか。良かった」
「何だ、何か忘れものか?」
「ああ、ちょっと、な。お嬢さん、この写真の人物に見覚えはないか?」
そうして、その男性はリナの前に1枚の写真を差し出した。その写真は目をつぶった初老の男性だった。リナは首を傾げると
「さぁ、見たことはありませんが、何故目をつぶっているのですか?」
「そりゃぁ、その写真は死体の写真だからさ」
「ええっ、」
リナが思わず写真から後退さると、喫茶店にいた他の人達も皆がその写真をのぞき込んできた。
「おい、これはあの狸ジジイじゃないか。死んだのか」
「殺しても死なないような奴だが、まさか殺されたのか?」
「お前が持っているという事は殺人事件か?」
「ええっ!? 殺人事件?」
ガタイの良い男性は、驚くリナに黒い手帳を差し出してきた。
「あーっ、警視庁第9課の御大という。一応、刑事だ。お嬢さんにまぁ、参考人として話を聞きたい」
「参考人? まさか、容疑者か?」
「お前が担当するのか?」
「一応な、重要参考人。お嬢さんの学生証が死体の中から出て来たから」
「ええっ、何ですか!? それ。私の学生証ならバッグの中に」
そう言ってリナがお財布を出して、なかから学生証を出そうとすると
「えっ、ない。どうして!」
慌ててバッグをひっくり返し、内ポケットのアチコチを探してみるが学生証は見つからなかった。刑事の御大は気の毒そうに
「まぁ、さっきの反応を見てもこの店に駆け込んできた時の様子を見ても犯人ではないと思うけど、学生証の他にもいわゆる証拠というのがあって」
「どこから、どう見てもこのお嬢さんが犯人とは見えないですね」
「特に、あの狸ジジイからこのお嬢さんが殺されるのならわかるけど、逆はないな」
「大体、あの狸が殺されるか!? 死因はなんだ?」
「多分、何かで体の自由を奪って、ナイフで心臓から魔石をくりだしている。あの狸を相手にそんな事が出来るなんて、よほどの手練れだ。わざとらしく中にお嬢さんの学生証を置いているというのが気になるが」
喫茶店にいるお客と刑事の御大、お店の人も合わせて色々と話しているが、リナは混乱していた。(殺人事件なのに、そんなに情報を一般人にペラペラと話していいの? 殺された人、知り合いみたいだけど、ここは人外の集まるところって事は殺された人も妖怪?)
「おい、お嬢さんが混乱しているぞ。大丈夫か?」
「ああ、ハイ。あの、殺された人も妖怪なんですか?」
「ああ、あれは化け狸と人間のハーフだ。本当の化け狸に比べると、そこまで強くはないが、人間相手にやられる奴じゃない。ましてや、覚醒もしてない女の子に殺されるなんてありえない」
「でも、アイツ結構恨みを買っているぞ」
「かなりアコギな真似をしているからな。妖怪相手にしても。何かまずい事したんじゃないか」
刑事の御大によると、表には出ないがいわゆる『怪しい事件』というのは時々起こり、超常現象とかオカルトじみた事件については『警視庁9課』が担当する事になっている。
表向きには『警視庁9課』というのは存在していない事になっているので、彼らの籍は書籍管理室にあり、他の事件で『怪し』が関わっていると疑われると専門官として赴くことになる。
そして、一応警視庁に籍はあるが、全国対応なので各地の県警に連絡員はいる。
その『警視庁9課』には人に変化した『怪し』が刑事として勤めているし、上は『怪し』『妖怪』の存在を認識し、その能力も認めている。
今回の事件については、以前から違法行為が疑われていた被害者『田塗大善』が人外ではないかと思われた為と、その殺害方法が変わっていたため、『警視庁9課』が担当する事になった。
「俺はさっき、ここでお嬢さん、三毛リナさんに会ったからって担当にしてもらった。さっきの話も気になったしな」
「なんだ、さっきの話って?」
「そういえば、コックリさん、してたみたいだな。何か関係あるのか?」
50音を書いた模造紙を片付けている時にちょうどきた常連客が興味深そうに尋ねてきた。それに店員Aがこれまでの事を説明すると、
「おお、嬢ちゃん、いい迷惑だったな。でも、ここに来たのは正解だ。ここはある意味『妖の駆け込み寺』みたいなものだから」
「マスターとナキン様が何とかしてくれる」
「そうそう、ナキン様は最強のケルベロスだから妖怪も誰もかなわない」
「おい! ふざけるな」
「そうなんだよな。偶然とはいえ、ここに来たのは良かったと思うが、三毛リナさんは結局、まだ覚醒はしてないんだよな」
「あの、私は人間です。三毛リナと言います。今回は突然、ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません」
「いえいえ、どういたしまして。ところで、三毛さん、独り暮らし?」
「ええ、そうですけど、何か?」
「被害者の殺害方法が残忍なんだ。まるで、魚の開きのように上から下まで切り裂いているし、その中に三毛さんの学生証を入れ込んでいるのがチョット引っかかる」
「バイト先はコールセンターでしたね」
「あっ、ハイ」
「そこのバイトを止めて、この喫茶店で働きませんか?」
「えっ?」
「基本的にここでバイトをして、送り迎えをAにさせましょう。それと、自宅には結界を張っておいたほうが良いですね。今の貴女はまだ生まれたばかりの赤ん坊のような状態ですから」
「赤ん坊!?」
「お嬢さんを片付けるのは赤子の手をひねるようなものだ」
「か、片付ける!?」
リナはようやく、自分が危うい立場に立っている事を自覚した。
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