赤い靴から始まるAYAKASHI殺人事件

サラ

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14. 第三の殺人事件

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「ここは田舎ですけどそれなりに色々ありますね」
「交通の便がいいせいだろうな」
「駅もありますしね」
「観光名所もあるし」
「後から見に行きますか」

『喫茶AYASHI』のメンバーとナキンはオオカミ少年Kの田舎に車で来ていた。少年Kの母は実家の田舎に行く事にあまりいい顔をしなかったが、バイト先の大人が一緒に行くという事で実家にお土産を託けてくれた。
 そして、少年Kの実家で伯父さんはオロオロしていた。

「あ、あの申し訳ない」
「何がですか?」
「勝手にあんなものを送ってしまって」
「あんなもの?」
「いや、そのあの小箱は君善が気持ち悪いから、送ってしまえと言うんで」
「気持ち悪い?」
「金庫を開けたら貴金属と一緒にあったんだが、君善があの小箱を見たとたんに気味が悪い、と後退りをしてしまって。おかげで敬君名義の通帳と印鑑もこっそり取り出せたので、一緒に送ったんだ。急いでいたもので何も事情を書けずに申し訳なかった」
「その君善というのが、無理やり養女になったという伯母さんですか?」
「ああ、アイツはすぐヒステリーを起こすし、物は投げつけるし泣きわめくんだ」

 少年Kの伯父さんの話によると、君善は家事もせずに偉そうに家で大きな顔をしていたらしい。

「名前に善と付いているくせにアイツは善とはほど遠い」
「善?」
「君が、とかの君に良い悪いの善でキミコと呼ぶんだ。あいつの元の実家では親兄弟も善の字を付けている。善とはほど遠い連中なのに」

 リナは思わず、ナキンの顔を見た。マスターの翼も店員Aも驚いた顔をしている。

「その君善の実家はひょっとして田塗家で父親は田塗大善ですか?」
「何で、知っているんだ? 根性の悪い連中だ」
「田塗大善は殺されたんですよ。そして、息子の田塗広善もその後に殺されています。知らなかったんですか?」
「いや、知らなかった。すごく遠い親戚だから普段の付き合いとかは全くないんだ。君善は実家だから付き合いはあったはず。あー、だからここんとこ、よく姿を見ないのか。実家に帰っているんだな」

 伯父さんの話によると田塗大善は遠い親戚にあたるらしいがお祖父さんが騙されて借金を負わされ、その代わりに田塗君善を養女に迎える事となったが、その借金も良く分からないままにできてしまったものらしい。

「俺はあいつ、嫌いなんだが、なんか逆らえなくて」
「今、彼女はどこにいるんですか?」
「ここ、2日ほど帰って来てない」

 リナは帰って来てないという話をきいて何だか嫌な予感がした。名前からして何かが起こっても不思議がない気がする。
 しかし、伯父さんも一緒に山の社に行く事になった。リナは行きたくないと思ったが仕方がないので皆と同道することにした。そして、山道に差し掛かると同時にリナの茶色のローファーは茶色の登山靴に変身した。

 それを店員Aは横眼で見て
「ホント、便利だね」

 と囁いてきたが、少年Kは驚いた顔でリナと靴を見比べていた。店員Aは少年Kの肩を抱き込むようにすると耳元で「見たことは内緒、な」と囁くと、少年Kは無言でコクコクと頷いていた。
 
 さて、山のお社は綺麗に掃除がされて花も生けてあった。伯父さんが時々来て清掃をしているそうだ。しかし、お社の下に不自然な穴があいている。しかもその穴から何かが出て来たような跡が木々の間に続いていた。リナにはその跡がまるで蛇が通ったように見える。

「この穴は?」
「いえ、一昨日来た時にはこんな穴は開いていなかった……」
「何か、蛇とか出ていったような跡に見えますね。この跡をたどると蛇女が出て来たりして」

 リナは思わず後退りをした。やはり、この大きさの蛇が出てきたら怖い。でも、ナキンや店員Aは平気なようで跡を辿っていく。仕方なしに少年Kと伯父さん、その後ろからリナが恐る恐るついて行った。跡はズルズルと大きな岩の所まで続いていた。そしてその岩の所を先に行った店員Aが

「あーっ、リーちゃんはそこでストップ。少年Kもそこに居て。えーと、K君の伯父さんだけこちらに来てくれるかな」
「えっ、えっ何でしょう?」

 そう言いながらオズオズと近づいて行った伯父さんは「うわーっ」と大声をあげた。大岩の陰から足が二本、見えているがその先には死体があおむけに倒れていた。

「この人、知っていますか?」
「ああ、はい。君善です。なんで、こんな所で」

 大岩の陰からひょいと顔をのぞかせた店員Aがリナと少年Aに

「伯母さんの君善が殺されている。前のタヌキと同じ殺され方。今、警察呼んでいるから」
「えっ、ええっ、伯母さん死んで! 殺された?」
「そう、父親と実の兄と同じように殺されている。一応、魔石もあったんだな。取り出した痕があるから」
「いったい、タヌキの一族は何をしたんでしょう? こんなに続けて殺されるだなんて」
「しかも、まったく別々の場所で、アイツらなにを目的にしてたんだ?」

 首をひねる喫茶『AYASHI』の皆の後ろでリナは何かが近づいてくる気配を感じていた。

「あ、あの、り、リー、リーリナ! さん!」
 少年Kが引きつった声を上げた。

「えっ、何、どうしたの?」

 リナの側にいつの間にか赤色の籠手が浮かんでいた。

「今度は籠手か」

 ナキンが呆れたように声をかけた。赤い籠手が二つ、リナに向かって頭を下げた。いや、頭はないが籠手からの気持ちが伝わってくる。

「いえ、でも籠手なんて」

 と言ったとたんにリナの手に籠手が装着された。普通の女の子の手に籠手がついているのは可笑しい。リナは困ってしまった。

「籠手と呼んだのが呼ばれたと誤解されたんだな」
「良いように解釈されたというか」
「しかし、籠手を付けて歩くのはお勧めできない」
「なんで、籠手が?」

「はい。これでどう? 変化できるよね。できないと捨てられるよ。二つで一つに纏まってね」

 店員Aが籠手にスマホを見せるとピカッと光ったかと思うとリナの腕に可愛いハートのチャームの付いたブレスレットが装着された。ハートは二つなので籠手二つという事なのだろう。

 また、一つ新しい防具が増えたリナは(わたし、いずれ何かと戦え! とか言われたらどうしよう)と内心ウンザリとしていた。
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