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18. タヌキだけど第4の殺人事件
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ぬり壁紳士がリナにピアノの指導をしていると、マスター翼の携帯がハイドンのソナタを奏でた。翼の携帯は人によって着信音を変えているが、御大刑事の着信音はハイドンだった。
「はい」
「こちら、御大。事件だって?」
「事件というか、タヌキの死体が落ちていたんです。人間形態でないので殺人ではないんですけど、タヌキの一族である事は間違いないかと。どうしてタヌキになっているのかは、わからないんですけど」
「お~う、またタヌキか! タヌキが狸になっている?」
「タヌキですね。どこからどう見ても動物のタヌキです」
「まったく、困ったもんだ。いい加減、あいつらが何をやったのかわかったら良いんだがなぁ」
「ところで今回、完全に見かけがタヌキになってますけど、殺人事件になりますか?」
「うーん。人間の死体がないのに殺人事件、と言うのは難しいな。とりあえず、鑑識連れて静かにそっちに行くわ」
「では、お待ちしています」
という事で御大が来るまでの間に店員Aとナキンが簡単に付近を捜索して、タヌキの所持品を見つけてきた。後は御大待ちという事でしばらくぬり壁紳士の隠れ家でお茶をしていると、御大がやって来た。
そして、しばらくアチコチ見て回っていたが、ため息をつきながら皆の所へやって来ると、
「所持品からあれは多分、田塗定善で間違いない。しかし、何で今更、先祖返りしているんだ? ありえないだろう。まだ大善がタヌキになるのはわかるが」
「何か、呪いのようなモノを受けているのかもしれませんね」
「まったく、警視庁第9課って普段は暇な部署なんだ。何かあってもああ、これは妖怪が関わっていますね。締めときましょう、で済む話がほとんどだったのに」
「今回みたいな殺人事件は、あまりないのか?」
「今の人外は人に紛れて人の生活を楽しんでいるのが多いから、よっぽどの事がないと目立つことはしない。だのに、なんだこのタヌキたち? タヌキ殺して犯人は何がしたいんだ?」
「リーちゃんが一々巻き込まれているのが、なぁ」
「巻き込まれてはいないです。私の所持品とか写真が勝手に使われているだけで」
「うーん。多分これはその赤い靴から始まっているな。お嬢さんが赤い靴を履けるから、何でもかんでも関わりがあるように見せかけている……あわよくば犯人に仕立て上げようと」
「冤罪です」
「そうだけど、此処まで色々と使われれば何か繋がりがあるのかと思われて、変な奴が担当になったら犯人に仕立て上げられる事もあり得るから」
「良くある冤罪事件だね」
リナは眩暈がしてきた。時々テレビとかで明らかに冤罪なのに担当者のせいで犯人にされてしまった人を取り上げている事があって、気の毒だなぁって思っていたけど、まさか自分がその当事者になるとは思わなかった。担当者が御大で良かったと思う。
「タヌキの件は別にしてもお嬢さんにあの防具が集まっているのが気になるな」
「これ、武器はどこにあるんだっけ?」
「いや、随分昔の事だから、後は刀と……」
「あの、刀っていわゆる武士とかが持っているあの刀ですか?」
「ああ、なんか、凄い大大刀だったって話だが、普通の人間や妖怪では持てなかったらしい。重さもだけど、妖力が凄くて」
「じゃぁ、誰が持っているんだ?」
「刀はどこかに祠を作って封印するからって雪、そう雪山に祠を作って祀っているはずだ」
「年中、雪山?」
「日本で1年中、雪が解けない所ってありましたっけ?」
「いや、氷室だ、氷室に封印されているんだ、確か人の来ない雪山の奥だったかな。雪女がひっそりと住んでいる所? 雪女は人嫌いだから人を避けている」
「じゃぁ、きっと関わる事はありませんね。良かった」
リナはホッとして安心した。流石に刀だと銃刀法違反になるし、変身するにしても何になるか分からないから心配になっていたのだった。
「でも、結局バラバラに封印されていたはずの防具がリーちゃんに集まっている」
「何故だ? ひょっとして生まれ変わりか?」
「あれの?」
「まさか」
「あれの想い人は人だったような……」
「どっかのお姫様で不思議な力を持っていた、何故か清浄な気配を纏っていたと聞いた事がある」
「彼の想いが生まれ変わりである彼女の身を守ろうとしているのかもしれませんね」
「生まれ変わり……」
「ああ、別に気にする事はないよ。よくある事だ。防具たちが守りたいって気持ちで何となく集まってくるなら守ってもらえばいいさ。この羽衣も多分、何にでも変化するんだろうから、いろんな服に変わってもらえば便利だよ」
リナにとって思いがけず集まって来てしまった不思議なモノたちは、何となく身に付けているだけで嬉しいという感情が流れてきて、もう既に思い入れができてしまっているし、実は一人で部屋に入ってから靴や帽子、アクセサリーもスマホの画像を参考にして変化してもらって楽しんでいる。
だから、羽衣も色んな洋服に変化できるかも、と思うとちょっと楽しみでもある。銃刀法違反の刃物さえ来なければ防具は会っても良いモノかなと思い始めていた。
(それに防具という事は守ってもらえるのだから、それは助かるかもしれない。生まれ変わりとか、この前の持ち主の事も昔の事だから、もう時効だよね)
結局、タヌキの死体は田塗家で何とかするだろう、と言う事で丁寧に箱詰めして田塗家に帰された。所持品にも特に変わったものはなかったが、念のために保管する事になった。
「やれやれ、タヌキの連中はダンマリだが、皆殺しになってからでは遅いと思うのだが」
「以外と何も知らないのかもしれませんよ」
「そうかもしれないな~」
御大は深くため息をついていた。
「はい」
「こちら、御大。事件だって?」
「事件というか、タヌキの死体が落ちていたんです。人間形態でないので殺人ではないんですけど、タヌキの一族である事は間違いないかと。どうしてタヌキになっているのかは、わからないんですけど」
「お~う、またタヌキか! タヌキが狸になっている?」
「タヌキですね。どこからどう見ても動物のタヌキです」
「まったく、困ったもんだ。いい加減、あいつらが何をやったのかわかったら良いんだがなぁ」
「ところで今回、完全に見かけがタヌキになってますけど、殺人事件になりますか?」
「うーん。人間の死体がないのに殺人事件、と言うのは難しいな。とりあえず、鑑識連れて静かにそっちに行くわ」
「では、お待ちしています」
という事で御大が来るまでの間に店員Aとナキンが簡単に付近を捜索して、タヌキの所持品を見つけてきた。後は御大待ちという事でしばらくぬり壁紳士の隠れ家でお茶をしていると、御大がやって来た。
そして、しばらくアチコチ見て回っていたが、ため息をつきながら皆の所へやって来ると、
「所持品からあれは多分、田塗定善で間違いない。しかし、何で今更、先祖返りしているんだ? ありえないだろう。まだ大善がタヌキになるのはわかるが」
「何か、呪いのようなモノを受けているのかもしれませんね」
「まったく、警視庁第9課って普段は暇な部署なんだ。何かあってもああ、これは妖怪が関わっていますね。締めときましょう、で済む話がほとんどだったのに」
「今回みたいな殺人事件は、あまりないのか?」
「今の人外は人に紛れて人の生活を楽しんでいるのが多いから、よっぽどの事がないと目立つことはしない。だのに、なんだこのタヌキたち? タヌキ殺して犯人は何がしたいんだ?」
「リーちゃんが一々巻き込まれているのが、なぁ」
「巻き込まれてはいないです。私の所持品とか写真が勝手に使われているだけで」
「うーん。多分これはその赤い靴から始まっているな。お嬢さんが赤い靴を履けるから、何でもかんでも関わりがあるように見せかけている……あわよくば犯人に仕立て上げようと」
「冤罪です」
「そうだけど、此処まで色々と使われれば何か繋がりがあるのかと思われて、変な奴が担当になったら犯人に仕立て上げられる事もあり得るから」
「良くある冤罪事件だね」
リナは眩暈がしてきた。時々テレビとかで明らかに冤罪なのに担当者のせいで犯人にされてしまった人を取り上げている事があって、気の毒だなぁって思っていたけど、まさか自分がその当事者になるとは思わなかった。担当者が御大で良かったと思う。
「タヌキの件は別にしてもお嬢さんにあの防具が集まっているのが気になるな」
「これ、武器はどこにあるんだっけ?」
「いや、随分昔の事だから、後は刀と……」
「あの、刀っていわゆる武士とかが持っているあの刀ですか?」
「ああ、なんか、凄い大大刀だったって話だが、普通の人間や妖怪では持てなかったらしい。重さもだけど、妖力が凄くて」
「じゃぁ、誰が持っているんだ?」
「刀はどこかに祠を作って封印するからって雪、そう雪山に祠を作って祀っているはずだ」
「年中、雪山?」
「日本で1年中、雪が解けない所ってありましたっけ?」
「いや、氷室だ、氷室に封印されているんだ、確か人の来ない雪山の奥だったかな。雪女がひっそりと住んでいる所? 雪女は人嫌いだから人を避けている」
「じゃぁ、きっと関わる事はありませんね。良かった」
リナはホッとして安心した。流石に刀だと銃刀法違反になるし、変身するにしても何になるか分からないから心配になっていたのだった。
「でも、結局バラバラに封印されていたはずの防具がリーちゃんに集まっている」
「何故だ? ひょっとして生まれ変わりか?」
「あれの?」
「まさか」
「あれの想い人は人だったような……」
「どっかのお姫様で不思議な力を持っていた、何故か清浄な気配を纏っていたと聞いた事がある」
「彼の想いが生まれ変わりである彼女の身を守ろうとしているのかもしれませんね」
「生まれ変わり……」
「ああ、別に気にする事はないよ。よくある事だ。防具たちが守りたいって気持ちで何となく集まってくるなら守ってもらえばいいさ。この羽衣も多分、何にでも変化するんだろうから、いろんな服に変わってもらえば便利だよ」
リナにとって思いがけず集まって来てしまった不思議なモノたちは、何となく身に付けているだけで嬉しいという感情が流れてきて、もう既に思い入れができてしまっているし、実は一人で部屋に入ってから靴や帽子、アクセサリーもスマホの画像を参考にして変化してもらって楽しんでいる。
だから、羽衣も色んな洋服に変化できるかも、と思うとちょっと楽しみでもある。銃刀法違反の刃物さえ来なければ防具は会っても良いモノかなと思い始めていた。
(それに防具という事は守ってもらえるのだから、それは助かるかもしれない。生まれ変わりとか、この前の持ち主の事も昔の事だから、もう時効だよね)
結局、タヌキの死体は田塗家で何とかするだろう、と言う事で丁寧に箱詰めして田塗家に帰された。所持品にも特に変わったものはなかったが、念のために保管する事になった。
「やれやれ、タヌキの連中はダンマリだが、皆殺しになってからでは遅いと思うのだが」
「以外と何も知らないのかもしれませんよ」
「そうかもしれないな~」
御大は深くため息をついていた。
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