【完結】空の青と海の碧

榊咲

文字の大きさ
10 / 65
《湖の章》

ある湖畔の森の処罰【商人】

しおりを挟む
 森の調査が終わり、神からの罰が決まりました。碧は水鏡で妹の湖の聖霊の和泉に連絡をとりました。

「和泉、聞こえますか?」
「はい、姉様」
「神から処罰の許可を頂きました。…青と梓さんはそこにみえますか?」

「はい、みえます。代わりますね」
「碧、決まったのね」「碧様、決まりましたか」
「ええ、決まりました。狩人達達は無罪放免とはいきませんが、神からは寛大な処置を頂きました。そして、商人には森の動物達に処罰を下して貰う事になりました」

「そう、それで狩人達の処罰は?…碧」
「それですが、考えていなくて。一緒に考えて欲しいのです。お願い出来ますか?」

「珍しいですね。碧様」
「そうですね。姉様が考え付かないなんて」
「本当ね。なのも思いつかなかったの?碧」

「それが本当に思い付かなかったの。困ったわ」
「そんな困ってない様な顔をして困ったと言っても信憑性しんぴょうせいに欠けるわよ、碧」
「でも本当な事よ」

「はいはい、わかったわ。それで狩人達の処罰はどうします?…梓、何かない?」
「姉さん、突然言われても考え付かないよ」
「はいはい!私は薬草栽培をしたらどうかと思います。どうですか?…姉様」

「あら、それが良さそうね!…どうかしら青、梓さん」
「まあ、この森は和泉さんの領域だから和泉さんが提案したのでいいんじゃないの」
「そうですね。和泉様が決めたのならよいのではないですか」

「和泉はどうして思いついたの?」
「はい姉様。…私が薬草を復活させても良いですが、狩人達だけが知っている森の奥で栽培すれば、今回の様な商人に付け入る隙を与えないで済むと思って…」

「そうね。商人がわからない場所に栽培すれば狩人達だけ採取出来るわね。では、この案でいきましょう」
「この案が無難ね、碧」
「そうですね。碧様、和泉様、姉さん」

 狩人達への処罰も決まり、碧は人里にある神殿に商人達と狩人達への神託を授けました。神託を受け取った神殿の神官は、商人達と狩人達に知らせに走りました。

「すみません。こちらに毛皮商人の方はみえますか?」

 ある宿屋に神殿の神官が駆け込んで来ました。宿屋の女将は滅多に神殿から外に出ない神官が駆け込んできたのでビックリしました。

「どうしたんだい、神官様」
「どうしたもこうしたもありません!毛皮商人に神託が降りたんです!」
「えー、し、神託!」

「そうです。神託です。……それで、毛皮商人はいるのですか?」
「…毛皮商人だね!い、いま呼んで来るよ。待ってな…」

 宿屋の女将は神託と聞いて、一目散に毛皮商人の部屋をめざしました。そして商人の部屋に入り、神官が呼んでいると伝えました。

「す、すみません。宿の玄関に神殿の神官が来てるよ!早く行っておくれよ!」
「なんだい、そんなに慌てて」
「なんでもいいから、行っとくれ!神官様がお待ちだよ!」
「わかった、わかったから、そんな形相で追い立てないでくれ」

 毛皮商人は宿の女将に追い立てる様に部屋から神官がいる玄関に向かいました。そこには慌ててきたと思われる神官が息を整えながら待っていました。

「すみませんね。貴方が毛皮商人ですか?」
「はい、私どもが毛皮で商いをしている商人です」
「では、神託を授けます。よく聞いて下さい。……『狩人達に過剰に動物を狩らせた罪は許し難し。よって、森の動物達による制裁を罰とする』との事ですが、何か心当たりはありますか」

「いえ、私どもには、心当たりはありません。…何かの間違いでは…」
「そうなのですか?もし嘘を付いているなら、その心根を改めなさい。神は嘘付きを嫌いますからより#酷__ひど__#い事になりますよ。いいですね。…」では私はこれで」

 神官は毛皮商人に神託を告げましたが、商人は神託の内容を否定しました。もし商人が嘘を付いていた場合の事を商人に告げて神殿に戻りました。

 神官が神殿に帰った後には顔を真っ青にした毛皮商人が残りました。毛皮商人は本当は神託の内容が当たっているにも関わらずウソを付いて“心当たりはない”と答えたのです。それで、神官が最後に口にした“神は嘘付きを嫌いますからより酷い事になりますよ”との言葉に震え上がってしまったのです。

「商人様、大丈夫かい。顔が真っ青だけど」

 顔の青い商人を心配して女将が聞きました。それに「ああ、大丈夫」と言って商人は泊まっている部屋に戻って行きました。部屋に戻って毛皮商人は頭を抱えてしまいました。それをみた部下がどうしたのか聞きました。

「旦那様、どうされたのですか?」
「ああ、俺はもうお終いだ」
「どうしたのです。昨日まで順調だと言っていたではないですか。…神官が何か言って来たのですか?」

「……神託が降りたそうだ」
「え……」
“俺達がやっていた狩人を使った動物の狩りの事を神は怒っているそうだ。…し、神罰が……来る……逃げなければ…」
「ま、待って下さいー、旦那様。…置いて行かないで下さい」

「は、早く準備しろ!置いて行くぞ!!」
「は、はい。すぐ準備します」

 毛皮商人は部下を怒鳴りながら準備させ、すぐに宿を出ました。そして街道を通り帰ろうとしました。しかし、街道を通るにしても一度森に入らなくてはなりません。迂回路もないので仕方なく森に入って行きました。
 森に入った瞬間、動物達が襲ってきました。最初は小さな兎や鹿等の草食動物が、その内、猪や狼等が襲って来る様になりました。

 商人は馬車を使っていたのですが、馬車を引いていた馬まで襲って来る様になり、慌てて荷物はそのままにして、走って逃げました。命は助かりましたが、荷物は捨てて逃げた為、売り上げが無くなり、次第に没落して行きました。

 それを空の上から見ていた青と梓は和泉と碧に報告する為に湖の神殿に向かいました。






しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...