にゃんこの居場所【完結】

榊咲

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【チィの章】

僕と飼い犬

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 僕が貰われた家には先住民がいたんだ。それは大きな体のワンコで番犬なんだって。名前は《ゴン》って言われてた。貰われて来た時は夕方で薄暗くなっていたから気が付かなかったけど、そういえば『クーンクーン』って鳴き声が聞こえてた様に思う。さよちゃんは《ゴンちゃん》って言ってたから僕も『ゴンちゃん』って言う事にした。

 翌日の早朝、おばあちゃんが外に出るときに僕も外に出てゴンちゃんに朝のあいさつをしに犬小屋に行ってみた。そしたら『クオーンクオーン(おい新入り、早いな)』とゴンちゃんの方から声をかけて来てくれた。
 だから透かさず『ニャアンニャアンニャアン(おはようございます。チロです)』とあいさつをしたんだ。

 そしたらね、ゴンちゃんも『ワオンワオンワオン(チロって言うのか。よろしくな)』って言ってくれたの。凄く嬉しかった。仲良くしてくれるって事だから。もう直ぐに返事をしたよ。【ニャンニャンニャン(僕もよろしく)』ってね。

 そんな風にゴンちゃんとあいさつをしてたら、おばあちゃんが畑から野菜を摂って来たみたい。お芋に白菜にニンジンを外の手洗い場で洗ってたんだ。ゴンちゃんに聞いたらいつもおばあちゃんが一番早く起きて来て、野菜を摂って来たらここで洗ってるんだってさ。

『ニャアンニャアンニャン(ゴンちゃん、おばあちゃんいつもなの?)』と聞いたら『ワオンワオンくうん(そうだぞ。チロ)』って教えてくれた。『ニャーンニャンニャアン(お散歩は行くの?)』と疑問を聞くと『クオンクオーンワウン(行くけど、さよちゃんが連れて行ってくれる)』と教えてくれた。よかった、おばあちゃんでなくて。おばあちゃんが家に入る様だったので僕も家に入る事にした。『ニャンニャアンニャンニャーン(ゴンちゃん、また後で)』って言っておばあちゃんについて行った。『クオンクオーン(おお、またな)』と言ってくれた。

 こんな事の繰り返しで、ゴンちゃんとはお友達になった。ゴンちゃんは身体が大きいから最初は怖かったけど、話してみると全然怖く無かった。よくおばあちゃんの事も話してくれるし、今はゴンちゃんも大好きになったんだよ。ゴンちゃんは番犬としてこの家に貰われて来たんだって。

 この頃はゴンちゃん自身の事も話してくれるんだ!貰われて来たときにお兄ちゃんに笑われた事とかね。ちょっと笑い話なんだけどお兄ちゃんが笑った理由をゴンちゃんに聞いたら、凄い怖い顔をして教えてくれたんだ。それはね『俺が兄ちゃんに笑われた理由はな、俺には俺には尻尾が無かったからだ。わーん』と言って泣いちゃったの。よっぽどトラウマになってるみたい!

 あと名前についても聞いてみた。そしたら、今度は凄く悲しそうな顔になって教えてくれたんだけどね。『俺の名前か。俺の名前はさよちゃんが思いつかなくってな、悠にどんな名前がいいか聞いてたよ。……なんかテレビのコマーシャルを悠が見てやらしくてよー。“タンスにゴン、タンスにゴン、~~”て言うコマーシャルから来てるんだよ』って凄く項垂れた、哀れにさえ思う様な感じで教えてくれて、聞くんじゃあ無かったって、思っちゃった。

 とりあえずは、昼間はおばあちゃんとゴンちゃんと僕の三人で家にいるんだよ。夕方になるとみんなが仕事から帰ってくるから華やかになって、楽しい気分になるんだ。こんな日がいつまでも続く様にと思った。
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