いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

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第8章

第438話 味見される悪役令息(下準備)※

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 僕は言われた通り、彼に背を向け、ソファ前のローテーブルに手をついた。

 今までもクライスには恥ずかしい姿をたくさん見せてきたけれど、ローテーブルに手を突き、穴あきパンツを履いたお尻を突き出して立つこのポーズは、その中でもダントツで恥ずかしい気がする。

 それでも自分で言い出した手前、簡単にやめるわけにはいかないし。何より視姦しかんされ高ぶった体は、何をされるのだろうという期待に打ち震えていた。ふわふわした感覚もまだ続いていて、早く早くと触ってもらえる時を待っている。


「久しぶりだから、痛かったら言えよ」

 そう前置きされた後、お尻の穴に、つぷっとぬらついた何かが入ってきた。

「んぅっ」
「痛くないか?」
「ん、だいじょぶ。気持ちよすぎて……びっくりしただけ」
「ならいい。ゆっくりやるから、そのまま感じてろ」
「うん、ふ……ふぁ……」

 ぬくっと、再びその何かが動き始める。見えないけど、細さと熱さから多分これは指先だろうな、と推測する。感覚的に第一関節くらいまで入ってそう。大丈夫だと伝えても、クライスは一気に突き入れることはせず、粘度の高いローションをまとった指を少しずつ、少しずつ潜り込ませてくる。

 くにくにとふちをゆっくりほぐし、時間をかけてようやく指一本を全部収めると、今度はそれを抜かずに維持する時間が続いた。動かされないことで彼の指の形をしっかりと感じ、ひくつく穴のことをより一層意識してしまう。

(なにこれ、指が入ってるだけの状態ってすごく恥ずかしいかも)

 僕の恥ずかしいって気持ちと連動するように、きゅううっとソコが締まった。力を抜こうとしても、抜き方がわからず、余計に締めつけてしまう。

「かなりきついが、大丈夫か?」
「う……ん」

 頷いたものの、実は全然大丈夫じゃなかった。僕は、自分の気持ちがお尻の穴の動きを通してクライスにバレてしまう気がして、さらに恥ずかしくなり、腸壁をうねうねとさせてしまうという謎の悪循環に陥っていた。

 なんだか自分がお尻でおしゃべりする新種の生物になったみたいで居た堪れず、しゅうっと湯気が出そうな顔をうつむける。

「ごめん。ゆるめ方がわからなくて」
「キルナが痛くないならいいんだ」

(これ、僕はともかくクライスは痛いよね、なんとかしなきゃ)

 どうにか平静を保とうと魔法応用学の難しい呪文を思い出していたら、「若干きついが、少し馴染んできたみたいだからそろそろ動かすぞ」と声をかけられた。動かしてもらった方が気が紛れる気がして、僕はこくこくと大きく頷く。

 ところが、

「んひゃあっ」

 動かされたら動かされたでさらに大変なことになった。

 僕の中を知り尽くした長い指は一瞬でイイトコロを探り当て、そこを優しく撫でるように刺激する。敏感なソコを撫でられるたび、甘い快感が広がり、びくびくと腰が跳ねてしまう。

「あっ……んぅ……ああん」

 曲げた指でくいくい押され、丁寧に捏ねられて、いつしかまた僕は甘くふわふわした世界をただよっていた。

 気づけば、力を抜くどころか、自分から彼の指を締めつけて、ほしいほしいとおねだりしている。こんなことしたらはしたない、って気持ちはあるはずなのに止められない。

(一本じゃ足りない。もっといっぱい指を入れて、なんならクライスのを入れてぐちゃぐちゃに掻き回してほしい)

 振り返って求めるように視線を向ければ、わかってるって顔をするクライス。
 わかってるならもっと激しくしてほしいのに。彼の指はあくまでゆっくり慎重な動きを保っている。


 しばらくすると、早く早くという気持ちが(お尻から?)伝わったのか、クライスが「待たせたな。ほら、可愛がってやるからもっと尻上げろ」と言って尻たぶを撫でた。

 へたりかけていた腰をあげ、お尻を持ち上げると、二本に増えた指がさっきよりも激しく動き始めた。ローションが足され、ぐじゅぐじゅという水音が大きくなる。

(あ、いい、そこ!)

 なんでわかるのか、クライスは物足りなかった場所を狙って的確に腸壁を擦ってくれるから、何もかもお任せモードで快感にひたっていられる。

『痒いところはないですか?』
『ないです』

 僕がとびきり上手な美容師さんにシャンプーしてもらってる時のような安心感に身をゆだねているとーー


「きゃああっん」

(なにこれ!?)

 突然人差し指と中指でしこりを挟んで揺さぶられた。一本の時の緩い触り方とは違う強い刺激に眩暈めまいがするほど強烈な快感が溢れて、思わず甲高い声を上げてしまう。

(気持ちいい、気持ちいい! どうにかなっちゃいそう)

「ここを触ると大分力が緩むな。気持ちいいか?」
「ああん、いいよぉ。も、らめ……イくっ! うっ……?」

 もう出そう! ってなったところでぴたりと動きを止められて、放出できなかった熱がずくずくと腰のあたりに渦巻いた。

 なんで止めちゃうの? と恨みがましい目で背後を見れば、

「思ったよりきついから、後のためにしっかり解しておきたいんだ。それに、せっかくだから熟したキルナを味わいたい。もっと気持ちよくしてやるから、出すのはもう少し我慢できるか?」

 とすまなさそうな顔で訊かれる。彼の言葉にそうか、このままじゃ繋がれないんだ。と気づいてハッとする。やけにゆっくりゆっくりやっていると思ったら、傷つけないように拡げてくれてたのか。

「っん、わかった。ぼく、がまんできるから……いっぱいほぐして」

 こんなことならクライスに会えない間も道具を使って後ろを解しておくんだったと反省しつつ、僕はきつくなってしまったお尻の力を緩めるために、快感を拾うことに集中することした。



 しかし、数分後。そのというのがなかなかのものだということを知り、我慢できると言ってしまったことに対して僕は早くも後悔していた。

「ん……ん……んん゛っ……んああああっ。は、らめ、ソコよしよししたらでちゃうからぁ」

 拡げられるのはいい。でも、よしよしされるのは困る。困るのにぃ。

「ダメか? 本当に? 中はうねってるし、本当は気持ちいいんだろ?」
「き、きもち……いい、けど」
「もっとやってほしいんだろ?」
「……うん、もっとしてほしぃ」
「いい子だ。ドライでなら何度イッてもいいからな」

(どらいって?)

 あまいきといい、どらいといい、こんだけセックスしてるのに、まだまだ知らない用語がいっぱいあるらしい。

 二本の指で容赦なくイイトコロをねられて、はぐらかされて、またくいっくいっと押されると、ペニスからぽたぽたと透明な雫が垂れた。
 綺麗に磨いたローテーブルが、自分の先走りと、口から溢れた涎で汚れていく。
 
 ずぶずぶと指で拡げながら何度もソコをいじられて、僕の僕は硬く張り詰め、もうとっくに限界を通り越していた。

(イ、イく!! ーーッ……イく……はっ……あ゛……イ……く……)

 絶妙な力加減で膨らみをよしよしされて、出してないのに中だけでイきっぱなしのような状態になっている。これがどらい? なら知ってるやつかも、と金のリングをつけられた時のことを思い出しながらまた出さずにイく。

「んう……きもち……いいよお」
「自分から前立腺に擦りつけるように腰を揺らして、可愛いな。いくらでも撫でてやるから好きなだけ気持ちよくなれ」

 よしよしよし……
 とろとろとろ……

 よしよしされると先走りがとろとろ溢れる。

「あ……あ゛……ああ……っ」

 “きもちいい”、が僕の中にあふれて、溢れて、溢れすぎて、入りきらなくなった分が少しずつ押し出されて先走りになって出ている、みたいな状態になった頃。

 お尻の穴を埋めていた指が抜けた。
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