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第5章
第181話 異世界の性教育※
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(あ…れ……? なんだか正気に戻ってみるととんでもないことをしていたような……。)
いや、ような…とかいうレベルじゃない。
どう考えても僕がやったことって……酷すぎる! 最後なんて彼の上に乗って、腰を振って…一緒にゴシゴシして……。
僕なんてことをしちゃったの!? あんなふうに動けないクライスに迫って。最低だ。
彼は信じられないという目をしていた。幻滅したかもしれない。こんなインランな婚約者はいらないって思われたかも……。
そしてあのギラギラした目。
もしかしてものすごく怒ってたんじゃ!? だから僕のお尻の穴なんかを、な、舐めたり、ゆ、指を入れちゃったり。あれって嫌がらせ!? 「もう早く婚約破棄して!」って僕に言わせるために?
なんてこと……。
全てを思い出し呆然としていると、いつのまにか戻ってきていたセントラが言った。
「……。キルナ様、動揺し過ぎてお気持ちが全部声に出ていますよ。食事の後、私と少しお勉強をしましょう」
(へ? また勉強だって? こんなタイミングで?)
「今はさすがにそんな気分じゃ……」
「いいですね?」
「は…ィ」
有無を言わせない彼の笑顔が、怖い。
相変わらずベンスの作ったキッシュはコクのあるチーズと生クリームの味がマッチして最高においしい。でも今は、おなかがちくちくして半分しか食べられなかった。残したものは部屋に持って帰って後で食べよう。
食後の紅茶をぐびりと飲むと、セントラがいつものように声優ばりによく通る艶のある声で、お勉強を開始した。
「私としたことが、あなたに閨事の教育を施すのをすっかり忘れていました。ですので今からきっちりとお教えしましょう」
閨事の教育? ああ、保健体育のことかな。前世ではたしか小学四年生くらいで習った気がする。
「先ほど、王子があなたのお尻を弄っていたのを嫌がらせかも、と仰っていましたが、それは違います。キルナ様、性交をどうやってやるか、ご存じですか?」
「ん、知ってるよ。女の人の膣に男の人のペニスを挿入するんだよね」
実践経験はないけれど、前世で習ったから知識はちゃんとある。
「そうですね。男女の場合は。しかし、男同士の場合は膣ではなく、ここを使います」
そう言いながらセントラが指し示したのは、僕の……。
「えっ、お尻の穴!?」
「はい、ここにペニスを挿入して性交すると、子ができます」
「子どもが、できるの? 男同士で?」
「はい」
「ほんとに?」
「はい。男と女でも男同士でも子はできます。女同士では無理ですが」
「そう…なんだ」
さすがBLゲームの世界! 男同士で子どもができるんだ! 王妃様を見たあたりからそうかも…とはうすうす思っていたけれど、まさか、セックスにお尻の穴を使うなんて!(びっくりするけど、考えてみれば男にはそこしか穴がないものね)
「ですから、王子がやろうとしたことは、決して嫌がらせではなくあなたとの子作り、ということです。ここまでは理解できましたか?」
ふむふむ、といちいちびっくりしながら説明を聞く。理解はできるけど、子作り……なんて全然ピンとこない。
「えと、ちなみに男女と男同士、どっちのカップルが多いの?」
どっちでもいいなら、やっぱり男女がくっつくのでは? でもここはBLゲームの世界だからやっぱり男同士の方が人気なの? どっち? と僕はドキドキしながら質問した。
「まぁ、半々、といったところでしょうか。しかしあなたもご存じの通り、魔力持ちの男の精液には多量の魔力が含まれています。精液のやりとりは魔力のやりとりと同義。そこで一番厄介なのが、魔力酔いです。適正な量を超えた魔力が体を巡ると倦怠感や眠気、発熱などの症状が出たり、最悪の場合は命を落とすこともあります。ですから、魔力の多い男の結婚相手は男が好まれます」
(んん。なんで?)
わかんない、と目をパチパチさせていると、さすが長いこと僕の専属家庭教師をしている彼は、ささっと僕でもわかるよう補足説明をしてくれる。
「男なら余分な魔力を精液と一緒に放出することが出来るので、その分リスクが少なくて済むのです」
「ん~なるほど……」
たしかに射精して魔力酔いを治すのは女性では無理だもんね。(……って、本当に生々しい理由すぎて冷や汗が出る。)
前世の記憶がある僕からしたら、今教えてもらった内容はどれもこれも「ええ!?」と驚くことだらけで、まだ実感は湧かない。でも他の誰かが言ったのならともかく、セントラが僕に嘘を教えるはずがない。
(そうかぁ。この学園でめくるめくBLの物語が繰り広げられていく背景にはそういう事情があったんだね……。)
戸惑いながらも僕は自分の常識を越える異世界の性の仕組みを理解した。
いや、ような…とかいうレベルじゃない。
どう考えても僕がやったことって……酷すぎる! 最後なんて彼の上に乗って、腰を振って…一緒にゴシゴシして……。
僕なんてことをしちゃったの!? あんなふうに動けないクライスに迫って。最低だ。
彼は信じられないという目をしていた。幻滅したかもしれない。こんなインランな婚約者はいらないって思われたかも……。
そしてあのギラギラした目。
もしかしてものすごく怒ってたんじゃ!? だから僕のお尻の穴なんかを、な、舐めたり、ゆ、指を入れちゃったり。あれって嫌がらせ!? 「もう早く婚約破棄して!」って僕に言わせるために?
なんてこと……。
全てを思い出し呆然としていると、いつのまにか戻ってきていたセントラが言った。
「……。キルナ様、動揺し過ぎてお気持ちが全部声に出ていますよ。食事の後、私と少しお勉強をしましょう」
(へ? また勉強だって? こんなタイミングで?)
「今はさすがにそんな気分じゃ……」
「いいですね?」
「は…ィ」
有無を言わせない彼の笑顔が、怖い。
相変わらずベンスの作ったキッシュはコクのあるチーズと生クリームの味がマッチして最高においしい。でも今は、おなかがちくちくして半分しか食べられなかった。残したものは部屋に持って帰って後で食べよう。
食後の紅茶をぐびりと飲むと、セントラがいつものように声優ばりによく通る艶のある声で、お勉強を開始した。
「私としたことが、あなたに閨事の教育を施すのをすっかり忘れていました。ですので今からきっちりとお教えしましょう」
閨事の教育? ああ、保健体育のことかな。前世ではたしか小学四年生くらいで習った気がする。
「先ほど、王子があなたのお尻を弄っていたのを嫌がらせかも、と仰っていましたが、それは違います。キルナ様、性交をどうやってやるか、ご存じですか?」
「ん、知ってるよ。女の人の膣に男の人のペニスを挿入するんだよね」
実践経験はないけれど、前世で習ったから知識はちゃんとある。
「そうですね。男女の場合は。しかし、男同士の場合は膣ではなく、ここを使います」
そう言いながらセントラが指し示したのは、僕の……。
「えっ、お尻の穴!?」
「はい、ここにペニスを挿入して性交すると、子ができます」
「子どもが、できるの? 男同士で?」
「はい」
「ほんとに?」
「はい。男と女でも男同士でも子はできます。女同士では無理ですが」
「そう…なんだ」
さすがBLゲームの世界! 男同士で子どもができるんだ! 王妃様を見たあたりからそうかも…とはうすうす思っていたけれど、まさか、セックスにお尻の穴を使うなんて!(びっくりするけど、考えてみれば男にはそこしか穴がないものね)
「ですから、王子がやろうとしたことは、決して嫌がらせではなくあなたとの子作り、ということです。ここまでは理解できましたか?」
ふむふむ、といちいちびっくりしながら説明を聞く。理解はできるけど、子作り……なんて全然ピンとこない。
「えと、ちなみに男女と男同士、どっちのカップルが多いの?」
どっちでもいいなら、やっぱり男女がくっつくのでは? でもここはBLゲームの世界だからやっぱり男同士の方が人気なの? どっち? と僕はドキドキしながら質問した。
「まぁ、半々、といったところでしょうか。しかしあなたもご存じの通り、魔力持ちの男の精液には多量の魔力が含まれています。精液のやりとりは魔力のやりとりと同義。そこで一番厄介なのが、魔力酔いです。適正な量を超えた魔力が体を巡ると倦怠感や眠気、発熱などの症状が出たり、最悪の場合は命を落とすこともあります。ですから、魔力の多い男の結婚相手は男が好まれます」
(んん。なんで?)
わかんない、と目をパチパチさせていると、さすが長いこと僕の専属家庭教師をしている彼は、ささっと僕でもわかるよう補足説明をしてくれる。
「男なら余分な魔力を精液と一緒に放出することが出来るので、その分リスクが少なくて済むのです」
「ん~なるほど……」
たしかに射精して魔力酔いを治すのは女性では無理だもんね。(……って、本当に生々しい理由すぎて冷や汗が出る。)
前世の記憶がある僕からしたら、今教えてもらった内容はどれもこれも「ええ!?」と驚くことだらけで、まだ実感は湧かない。でも他の誰かが言ったのならともかく、セントラが僕に嘘を教えるはずがない。
(そうかぁ。この学園でめくるめくBLの物語が繰り広げられていく背景にはそういう事情があったんだね……。)
戸惑いながらも僕は自分の常識を越える異世界の性の仕組みを理解した。
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