いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

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第5章

第228話 15歳の誕生日

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「誕生日おめでとう、七海ななみ。はいこれ。お父さんとお母さんからのプレゼントよ」
「おめでとう、七海。もう15歳か大きくなったな!」
「やった! 欲しかった靴だ。うれしい。ありがとう」

「七海、ハイッ。これは俺から」
優斗ゆうとから? 金欠って言ってたのに?」
「ちゃーんと誕プレ用に貯金してたんだぜ。えらいだろ?」
「ふふ、ありがと。何かな?」

小さな箱。何が入っているのだろう。開けてみると

「……へ? 嘘……」
「欲しがってただろ?」
「いや、でも高いよね。こんなの……」

ずっと前から欲しいと思っていたーーだ。まさか誕生日プレゼントに用意してくれるなんて。
こんなのもったいないなと思ってしまう。だって、僕はもうすぐ……

――死ぬのに

「「「ハッピバースデートゥーユー~!」」」 

母お手製の大きなホールケーキに蝋燭が15本。ふう~っと息を吹きかけてうまいこと火を消すと、「おめでと~」という声と共にパチパチと拍手が鳴る。

これからケーキを切り分けるんだ。うちでは誕生日の人がチョコプレートを食べられる決まりになってる。だからHappy Birthday 七海 と書かれたホワイトチョコは僕のものってこと!(と言っても全部食べるのは無理なんだけど。でも嬉しい。)切り分けたケーキは苺がたくさん載っているやつをもらおう。

わくわくわく

雰囲気を出すためにわざわざ消されていた蛍光灯のスイッチを、お母さんが付けた。


パチッ

眩しい光が目に染みる。


(ん? あれ? 目の前には、ケーキ……じゃない。)

キョロキョロ見回しボッコボコと泡を立てるフラスコやビーカーを確認し、この場所を特定する。

どうやらここは……理事長室。どうしてここに? う~ん、と考え、そういえばバルコニーで粗相をしてしまった、というところまで思い出した。そしてその後は。

そうだそうだ、そうだった。今日の自分を振り返る。

僕はパーティーの主役をゲロまみれにして、クリーンの魔法で掃除までさせ、転移魔法で移動して王宮の侍医に診察してもらった後、それでも心配だというクライスに理事長室まで連れてこられたのだった。僕はふわふわする転移魔法の浮遊感の中、いつの間にか眠りこけちゃって……起きた。←イマココ、というかんじ。

いや、我ながら、ひどい。ひどすぎる! かなりの悪役っぷりを発揮してしまった。さすがにやばいよ、絶対嫌われたよと反省していると、世のメガネ男子好きにあがめられているに違いない美しい微笑みを浮かべながらも実はドSで鬼畜な男(前回大人の魔道具をもらって気づいた)がやってきた。

「目が覚めましたか? キルナ様」
「セントラ。クライスは…どこ?」
「王子なら王宮に帰りましたよ」

彼は答えながら僕に水の入ったコップをくれる。いつもならセントラがくれた飲み物は口にしないようにしてるのだけど、水なら大丈夫だろうとごくごく飲み干した。(なんか、ちょっと苦いような……。気のせいかな?)

「大量の贈り物の開封やお礼状の送付など、すぐに片付けなければならない仕事が山積みですからね。あなたが目覚めるまでここに居たいと仰っていましたが、私が預かるので大丈夫だと言って返しました」
「そか、たくさんプレゼントをもらってたものね」

あれを全部開けて、お礼を書いて、とするのはすごく大変そうだ。もうプレゼントはお腹いっぱいかもしれない。

だけど、さっき過去の夢を見たことで、アレじゃダメだと思った。誕生日プレゼントは心のこもったものじゃないといけない。あんな最低なキスじゃなくて、僕もちゃんとしたのを贈りたい。やり直しさせて欲しい。

「あのね、僕、クライスに贈りたいものがあるの。ココットタウンに行ってはいけない?」
「今からですか?」
「ダメかな、お父様の許可を取っていないし。さらわれたとこだし……」

誘拐されたすぐ後にまたお出かけというのは難しい気がする。

「ふむ。今すぐは難しいかもしれません。ですが、どうしてもというなら方法を考えましょう。まずは贈りたいものが何かお聞きしても?」
「それはねーー」

教えるとセントラは頷いた。

「なるほど。それならば、こうしてはいかがですか?」

セントラの案に僕の胸は高鳴る。ああ、なんて素敵なんだろ。それって、すごく良さそう!

「ん、そうする。じゃあさ、明日から放課後毎日ここに来るね」
「はい、お待ちしております。王子はしばらくパーティーの後処理のため放課後の訓練はしばらくお休みですし、丁度良いでしょう」
「喜んでくれるかな……?」
「ええ、きっと」


カチカチカチ

僕が死ぬまでずっと身に付け時を刻んだそれを思い出す。結局一年も使うことができなかったけれど、とても大事なものだった。


だから、彼にもそれを贈ろうと思うの。
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