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第5章
第253話 番外編:いちごパーティー①
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※このお話は本編ではありませんのでご注意ください。
「んな!? 何これ!?」
朝、目が覚めたら部屋中に赤い実が生っていた。わさわさわさっと茂る葉っぱの中に艶めく真っ赤な……? 甘く芳しい香り。これって……。
「いちご!?」
隣で寝ていたクライスの方を見ると、彼はもう起きていて、気付いたらこんな風になっていたという。
「不審者が侵入した形跡はないが…一体……」
すると、僕の前に小さな妖精が現れた。ひらひらひらひらひら……5人もいる。
「あのね~」
「きょうはね~」
「プレゼントだよ~」
「きのうのよるいっぱいたべたいな~って」
「いってたでしょ~」
そういえば昨日、フルーツアイスティーの中に赤い果実を見つけ、いちごってこの世界にもあるんだなぁと思い、お母さんの作ってくれたストロベリーパフェのことを思い出していた。(あ、実は苺は前世僕が一番好きだった果物。少食だったけど、これだけは欲張って食べていた)
「いちご……食べたいな……」
と呟きながら眠ったっけ。
(まさかそれを妖精が聞いていたなんて!)
ベッドから身を乗り出して、熟した一粒の実を指差した。
「これ、食べていいの?」
「いいよ~」
「ぜんぶあげる~」
ピカピカツヤツヤ輝いて美味しそう。ぱくりと一つ食べてみると、驚くほど甘くて爽やかな香りが、ふわぁっと口一杯にひろがった。
これこれこれ! このお花のような華やかな香りがなんとも言えない。
「ん~おいしっ!!! じゃあせっかくだし、何か作ってみようかな」
考えていたパフェ作りができそうでワクワクする。ふふふ、と笑っていると、すぐ隣で僕の様子を見ていたクライスが口を開いた。
「キルナ、妖精がいるのか?」
あ、そうだった。妖精は僕にしか見えないのだった。
「そうなの、このいちごは妖精からのプレゼントなのだって。これでパフェでも作ってみようと思うのだけど、クライスも食べる?」
聞いてみると彼は「ああ、もちろん食べたい」と頷いた。
二人でせっせと、部屋中の実を摘むこと30分。部屋の中でイチゴ狩りなんて、変なの!
「よし!」
ってすごい量! 直径30センチほどの籠、二つ分があっという間に山盛りになってしまった。
「どうしよ。さすがに二人じゃ食べきれないよね」
「ああ、保存の魔法があるから傷まないようにはできるが……」
クライスが光魔法で時間を止めて、いつでも新鮮な状態で食べられるようにしてくれた。ほんと、便利な魔法だ。とはいえ、こんなに食べようと思ったら何日かかることか。
(どうやって消費したらいいのだろ……)
思い浮かんだのは、お友達の顔だった。
「リリーやベルト、あとテアと、ロイルたちも呼んでみんなで食べたらどうかしら」
「ああ、それは喜ぶだろう」
僕が作っている間に、クライスが寮のみんなを誘いに行ってくれた。
「ジャジャ~ン」
苺パフェに、苺のタルト、苺大福、ふんわぁり苺のパンケーキ!!!
どうだ、とばかりに僕は自分の作ったデザートを前にドヤ顔をしていた。物覚えはあまり良くない僕だけれど、好きこそなんたらっていうでしょ? 苺を使って作るデザートのレシピはバッチリ覚えていたの。
「ええ? お姫様が作ったの~? すっごぉ~い」
「ふふ。張り切っちゃった!」
どうやらテアは甘いものが好きみたいでキラキラと目を輝かせている。隣にいるリリーも同じ顔だ。(目が苺だ)
「あぁ! このパンケーキは僕の大好きな分厚いやつだ!」
「おい、リリー、なんでそっちへ持っていくんだ。俺様が取りにくいだろ」
リリーが自分の近くにパンケーキのお皿を移動させ、ベルトが注意している。
「へ~、キルナちゃんってお菓子作りが上手なんだね。僕も今度料理してみようかな?」
「やめてくれ。ノエルが作った料理なんて何が入っているかわかったもんじゃない」
「大丈夫、ギアには一番最初に食べさせてあげるから」
「絶対いらん」
ノエルとギアは、仲が…良くないのかな?
「おいギア、ゆっくり食べろよ」
「すみません、あまりに美味しいので」
「ふふふ、クライス様。こんなにあるのですから大丈夫ですよ。でもギア、消化に良くないのでゆっくり食べてくださいね」
すごいスピードで平らげていくギアにクライスが焦っている。
そんな二人をいいかんじに宥めるリオン。ふふっ、リオンって大人っぽいな。
人間関係を観察していると、隣に座っていたテアがトントンと僕の肩を叩いた。
「ねえ、お姫さまぁ、あ~んして」
「え?」
「テアのお口に一番おいしいの入れて~」
「「「……」」」
なんとなく空気が変わった気がしたけど、魔法生物的おねだりを断ることはできない。
可愛らしい彼にどれを食べさせよう? 僕は真剣に選んだ。
どれがいいかな? あ、このパフェの天辺に載ってるやつ、宝石みたいにキラキラしてるし生クリームもたっぷりついてて一番おいしそう。これをあげよう!
「テアったら。仕方ないな、ほら、お口を開けて。あ~んっ!?」
パクリッ!
あッ!!
苺を刺したフォークはなぜか方向転換し、クライスの口に入った。
「ふぇ? なんで!?」
食べられなかったテアは、クスクスと笑っている。王子様が食べたかったのなら仕方ないね~、なんて言って。
クライスはというとモグモグしながら……あれ? なんか怒ってる? 部屋が氷のように冷たくなってきているような……。
ゴクリと口の中のものを飲みこんだ彼が、僕の耳元でボソリと囁いた。
「キルナ、部屋に戻って、少し話をしようか」
「え?」
みんなが可哀想なものを見る目で、僕を見ている?
「んな!? 何これ!?」
朝、目が覚めたら部屋中に赤い実が生っていた。わさわさわさっと茂る葉っぱの中に艶めく真っ赤な……? 甘く芳しい香り。これって……。
「いちご!?」
隣で寝ていたクライスの方を見ると、彼はもう起きていて、気付いたらこんな風になっていたという。
「不審者が侵入した形跡はないが…一体……」
すると、僕の前に小さな妖精が現れた。ひらひらひらひらひら……5人もいる。
「あのね~」
「きょうはね~」
「プレゼントだよ~」
「きのうのよるいっぱいたべたいな~って」
「いってたでしょ~」
そういえば昨日、フルーツアイスティーの中に赤い果実を見つけ、いちごってこの世界にもあるんだなぁと思い、お母さんの作ってくれたストロベリーパフェのことを思い出していた。(あ、実は苺は前世僕が一番好きだった果物。少食だったけど、これだけは欲張って食べていた)
「いちご……食べたいな……」
と呟きながら眠ったっけ。
(まさかそれを妖精が聞いていたなんて!)
ベッドから身を乗り出して、熟した一粒の実を指差した。
「これ、食べていいの?」
「いいよ~」
「ぜんぶあげる~」
ピカピカツヤツヤ輝いて美味しそう。ぱくりと一つ食べてみると、驚くほど甘くて爽やかな香りが、ふわぁっと口一杯にひろがった。
これこれこれ! このお花のような華やかな香りがなんとも言えない。
「ん~おいしっ!!! じゃあせっかくだし、何か作ってみようかな」
考えていたパフェ作りができそうでワクワクする。ふふふ、と笑っていると、すぐ隣で僕の様子を見ていたクライスが口を開いた。
「キルナ、妖精がいるのか?」
あ、そうだった。妖精は僕にしか見えないのだった。
「そうなの、このいちごは妖精からのプレゼントなのだって。これでパフェでも作ってみようと思うのだけど、クライスも食べる?」
聞いてみると彼は「ああ、もちろん食べたい」と頷いた。
二人でせっせと、部屋中の実を摘むこと30分。部屋の中でイチゴ狩りなんて、変なの!
「よし!」
ってすごい量! 直径30センチほどの籠、二つ分があっという間に山盛りになってしまった。
「どうしよ。さすがに二人じゃ食べきれないよね」
「ああ、保存の魔法があるから傷まないようにはできるが……」
クライスが光魔法で時間を止めて、いつでも新鮮な状態で食べられるようにしてくれた。ほんと、便利な魔法だ。とはいえ、こんなに食べようと思ったら何日かかることか。
(どうやって消費したらいいのだろ……)
思い浮かんだのは、お友達の顔だった。
「リリーやベルト、あとテアと、ロイルたちも呼んでみんなで食べたらどうかしら」
「ああ、それは喜ぶだろう」
僕が作っている間に、クライスが寮のみんなを誘いに行ってくれた。
「ジャジャ~ン」
苺パフェに、苺のタルト、苺大福、ふんわぁり苺のパンケーキ!!!
どうだ、とばかりに僕は自分の作ったデザートを前にドヤ顔をしていた。物覚えはあまり良くない僕だけれど、好きこそなんたらっていうでしょ? 苺を使って作るデザートのレシピはバッチリ覚えていたの。
「ええ? お姫様が作ったの~? すっごぉ~い」
「ふふ。張り切っちゃった!」
どうやらテアは甘いものが好きみたいでキラキラと目を輝かせている。隣にいるリリーも同じ顔だ。(目が苺だ)
「あぁ! このパンケーキは僕の大好きな分厚いやつだ!」
「おい、リリー、なんでそっちへ持っていくんだ。俺様が取りにくいだろ」
リリーが自分の近くにパンケーキのお皿を移動させ、ベルトが注意している。
「へ~、キルナちゃんってお菓子作りが上手なんだね。僕も今度料理してみようかな?」
「やめてくれ。ノエルが作った料理なんて何が入っているかわかったもんじゃない」
「大丈夫、ギアには一番最初に食べさせてあげるから」
「絶対いらん」
ノエルとギアは、仲が…良くないのかな?
「おいギア、ゆっくり食べろよ」
「すみません、あまりに美味しいので」
「ふふふ、クライス様。こんなにあるのですから大丈夫ですよ。でもギア、消化に良くないのでゆっくり食べてくださいね」
すごいスピードで平らげていくギアにクライスが焦っている。
そんな二人をいいかんじに宥めるリオン。ふふっ、リオンって大人っぽいな。
人間関係を観察していると、隣に座っていたテアがトントンと僕の肩を叩いた。
「ねえ、お姫さまぁ、あ~んして」
「え?」
「テアのお口に一番おいしいの入れて~」
「「「……」」」
なんとなく空気が変わった気がしたけど、魔法生物的おねだりを断ることはできない。
可愛らしい彼にどれを食べさせよう? 僕は真剣に選んだ。
どれがいいかな? あ、このパフェの天辺に載ってるやつ、宝石みたいにキラキラしてるし生クリームもたっぷりついてて一番おいしそう。これをあげよう!
「テアったら。仕方ないな、ほら、お口を開けて。あ~んっ!?」
パクリッ!
あッ!!
苺を刺したフォークはなぜか方向転換し、クライスの口に入った。
「ふぇ? なんで!?」
食べられなかったテアは、クスクスと笑っている。王子様が食べたかったのなら仕方ないね~、なんて言って。
クライスはというとモグモグしながら……あれ? なんか怒ってる? 部屋が氷のように冷たくなってきているような……。
ゴクリと口の中のものを飲みこんだ彼が、僕の耳元でボソリと囁いた。
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「え?」
みんなが可哀想なものを見る目で、僕を見ている?
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