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第7章
第320話 クライスSIDE 魔力風邪① ※
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キルナが魔力風邪にかかった。とくに珍しい病気ではないのだが、魔力が極端に少ないキルナにとってはかなり厄介な病だった。
魔力が減ったり増えたりするこの病気。魔力の絶対量が多い人間にとって多少魔力量が上下することは、それほど問題ではない。
しかし元々魔力が少ない人間にとって魔力量の増減は体に大きな影響を与える。減るとすぐに魔力は枯渇し、増えるとすぐに過多になって魔力酔いを起こしてしまう。魔力が20しかない彼は常に魔力枯渇と魔力酔いの脅威に晒され、不安定な状態が続いていた。
さらに、魔力を安定させるための薬が飲めない、というのも問題だった。魔力を放出するのも吸収するのも薬以外の手段に頼らざるを得ない。
ーーそれは想像以上に大変な闘病生活の始まりを意味していた。
学園を2週間休むことに決め、つきっきりで看病をはじめて3日目。あまりの大変さに開始早々身体は悲鳴を上げていた。
今日も朝からロイルとギアが様子を見にきてくれたが、二人は俺を見るなりギョッとした顔をして恐る恐る尋ねてくる。
「クライス様。大丈夫ですか?」
「何がだ」
「いえ、目の下にかなり濃いクマが」
「ああ、大丈夫だ……」
「キルナ様の看病、我々が代りましょうか?」
「いや、いい……」
ずっとついて看病している自分に、彼らのように交代を申し出てくれる者もいたが、全て断った。交代できるはずがない。
(今のキルナは、誰にも見せられない……)
昼休みに部屋のベルが鳴った。出てみれば、ピンクゴールドの派手な髪色に負けないくらい整った顔立ちの男が、大きな花束と、うさぎかなにかのぬいぐるみを抱えている。
「キル兄様が魔力風邪だと聞き、お見舞いに伺いました。これ、兄様が好きなジーンとラーズの花束です。あと、兄様が好きなポポの実の蜂蜜漬けと、メフメフのぬいぐるみを持ってきました。これは兄様に似てたからつい買っちゃって……」
「ああ、ありがとう。渡しておく」
「あ、自分で渡すので大丈夫です。キル兄様は僕が看病するので、クライス王子は休んでいてください。ってあっ、何でドア閉めるんですか! 王子!?」
「看病は俺がするからお前は帰れ」
「僕に看病させてくださいっ!」と、しばらくドアを叩く音が聞こえていたが無視した。ユジン……こいつは論外だ。キルナへの重すぎる愛が鬱陶しいことこの上ない。花を花瓶に生けていると、後ろでもぞもぞと動く気配がした。
「ん……ふぁ……」
まだ高い熱がひかないキルナは基本一日中寝ているが、ベルの音とドア前でのユジンとのやりとりで目が覚めたらしい。目をこしこし擦りながらむくりと体を起こした。
「誰か…来てた?」
「ああ、ユジンが見舞いの花束やらぬいぐるみを渡しに来てくれた。もう帰った(帰らせた)が」
「そう……。あ、可愛い。おっきなうさぎのぬいぐるみ……。抱っこさせて」
手を広げる彼にぬいぐるみを渡すともふっと顔を埋めて喜んでいる。
「うさぎじゃなくてメフメフらしいぞ」
と一応伝えておいたが聞いているのか怪しい。それにしても……、
キルナが可愛い可愛いと大きなぬいぐるみを抱く姿は天使すぎる。あの弟のチョイスだということが腹立たしいが、うさぎのルームウェアのキルナとメフメフ……。ルーファスでなくても鼻血が出そうなとんでもない組み合わせだ。
まずい、このままでは悶え死んでしまう……。鼻を押さえて蹲りそうになっていると、彼に呼ばれた。
「はぁ…クライスぅ…熱いよぉ。……こっちきて手伝って」
「ああ。わかった……が、ちょっと待ってくれ」
彼はもぞもぞとズボンとパンツを脱いでシャツだけの状態になり、ちょんとベッドに座って待っている。
(また……あの手伝いか……この視覚の威力と合わせるとすごい忍耐力が必要だ)
目を瞑って自分の意識を性から切り離すことに集中する。
(魔力が多いから出す。その手伝いをするだけ。それだけだ。他のことは考えてはいけない)
もう何度もしているのに、毎回こうして心を奮い立たせて自制心を掻き集めなければならなかった。
俺は招かれるままベッドボードのクッションにもたれかかるように座った。キルナは俺に背中を預けて座ると、真っ白くしなやかな脚を大きく広げ「お願い、触って」と見上げてくる。手に持ったメフメフをきゅうっと抱いたままのおねがいポーズ(しかも射精の手伝いを頼まれている自分という状況)に眩暈がした。
(く…だめだ。無心になれ!)
期待と熱を秘め潤んだ金の瞳に怯みつつ、ピンクのペニスを優しく上下に擦れば、小さな穴がぱくぱくと開きとろとろと先走りが溢れる。くちゅくちゅと卑猥な音がしはじめると、彼も「くぅ~ん」と子犬のように鳴き、快感を味わっていることがわかった。
「ふぁ……ああ……っああ」
「気持ちがいいのか?」
「ん……いぁぅ……いぃ…よぉ…ん…ん…」
素直によがって甘える姿が可愛い。だがもちろん無理はさせられない。落ち着くまで射精させると、服を整えて寝かせてやった。そしておまじないのキス。ぬいぐるみを抱きしめすやすやと眠っている姿を確認すると、そっとベッドから離れた。
シャワー室に入り、限界状態の自分のそれをさっさと処理する。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
キルナの痴態を思い出すだけで何度でもイケる。一人で処理なんて虚しい行為だとも思うが、理性を保てるように体調管理は絶対に欠かせない。
メフメフと天使の寝顔という最強の組み合わせを思い出すと、これからの時間は前以上に危険な気がして、今日はいつもより余分に抜いておいた。
魔力が減ったり増えたりするこの病気。魔力の絶対量が多い人間にとって多少魔力量が上下することは、それほど問題ではない。
しかし元々魔力が少ない人間にとって魔力量の増減は体に大きな影響を与える。減るとすぐに魔力は枯渇し、増えるとすぐに過多になって魔力酔いを起こしてしまう。魔力が20しかない彼は常に魔力枯渇と魔力酔いの脅威に晒され、不安定な状態が続いていた。
さらに、魔力を安定させるための薬が飲めない、というのも問題だった。魔力を放出するのも吸収するのも薬以外の手段に頼らざるを得ない。
ーーそれは想像以上に大変な闘病生活の始まりを意味していた。
学園を2週間休むことに決め、つきっきりで看病をはじめて3日目。あまりの大変さに開始早々身体は悲鳴を上げていた。
今日も朝からロイルとギアが様子を見にきてくれたが、二人は俺を見るなりギョッとした顔をして恐る恐る尋ねてくる。
「クライス様。大丈夫ですか?」
「何がだ」
「いえ、目の下にかなり濃いクマが」
「ああ、大丈夫だ……」
「キルナ様の看病、我々が代りましょうか?」
「いや、いい……」
ずっとついて看病している自分に、彼らのように交代を申し出てくれる者もいたが、全て断った。交代できるはずがない。
(今のキルナは、誰にも見せられない……)
昼休みに部屋のベルが鳴った。出てみれば、ピンクゴールドの派手な髪色に負けないくらい整った顔立ちの男が、大きな花束と、うさぎかなにかのぬいぐるみを抱えている。
「キル兄様が魔力風邪だと聞き、お見舞いに伺いました。これ、兄様が好きなジーンとラーズの花束です。あと、兄様が好きなポポの実の蜂蜜漬けと、メフメフのぬいぐるみを持ってきました。これは兄様に似てたからつい買っちゃって……」
「ああ、ありがとう。渡しておく」
「あ、自分で渡すので大丈夫です。キル兄様は僕が看病するので、クライス王子は休んでいてください。ってあっ、何でドア閉めるんですか! 王子!?」
「看病は俺がするからお前は帰れ」
「僕に看病させてくださいっ!」と、しばらくドアを叩く音が聞こえていたが無視した。ユジン……こいつは論外だ。キルナへの重すぎる愛が鬱陶しいことこの上ない。花を花瓶に生けていると、後ろでもぞもぞと動く気配がした。
「ん……ふぁ……」
まだ高い熱がひかないキルナは基本一日中寝ているが、ベルの音とドア前でのユジンとのやりとりで目が覚めたらしい。目をこしこし擦りながらむくりと体を起こした。
「誰か…来てた?」
「ああ、ユジンが見舞いの花束やらぬいぐるみを渡しに来てくれた。もう帰った(帰らせた)が」
「そう……。あ、可愛い。おっきなうさぎのぬいぐるみ……。抱っこさせて」
手を広げる彼にぬいぐるみを渡すともふっと顔を埋めて喜んでいる。
「うさぎじゃなくてメフメフらしいぞ」
と一応伝えておいたが聞いているのか怪しい。それにしても……、
キルナが可愛い可愛いと大きなぬいぐるみを抱く姿は天使すぎる。あの弟のチョイスだということが腹立たしいが、うさぎのルームウェアのキルナとメフメフ……。ルーファスでなくても鼻血が出そうなとんでもない組み合わせだ。
まずい、このままでは悶え死んでしまう……。鼻を押さえて蹲りそうになっていると、彼に呼ばれた。
「はぁ…クライスぅ…熱いよぉ。……こっちきて手伝って」
「ああ。わかった……が、ちょっと待ってくれ」
彼はもぞもぞとズボンとパンツを脱いでシャツだけの状態になり、ちょんとベッドに座って待っている。
(また……あの手伝いか……この視覚の威力と合わせるとすごい忍耐力が必要だ)
目を瞑って自分の意識を性から切り離すことに集中する。
(魔力が多いから出す。その手伝いをするだけ。それだけだ。他のことは考えてはいけない)
もう何度もしているのに、毎回こうして心を奮い立たせて自制心を掻き集めなければならなかった。
俺は招かれるままベッドボードのクッションにもたれかかるように座った。キルナは俺に背中を預けて座ると、真っ白くしなやかな脚を大きく広げ「お願い、触って」と見上げてくる。手に持ったメフメフをきゅうっと抱いたままのおねがいポーズ(しかも射精の手伝いを頼まれている自分という状況)に眩暈がした。
(く…だめだ。無心になれ!)
期待と熱を秘め潤んだ金の瞳に怯みつつ、ピンクのペニスを優しく上下に擦れば、小さな穴がぱくぱくと開きとろとろと先走りが溢れる。くちゅくちゅと卑猥な音がしはじめると、彼も「くぅ~ん」と子犬のように鳴き、快感を味わっていることがわかった。
「ふぁ……ああ……っああ」
「気持ちがいいのか?」
「ん……いぁぅ……いぃ…よぉ…ん…ん…」
素直によがって甘える姿が可愛い。だがもちろん無理はさせられない。落ち着くまで射精させると、服を整えて寝かせてやった。そしておまじないのキス。ぬいぐるみを抱きしめすやすやと眠っている姿を確認すると、そっとベッドから離れた。
シャワー室に入り、限界状態の自分のそれをさっさと処理する。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
キルナの痴態を思い出すだけで何度でもイケる。一人で処理なんて虚しい行為だとも思うが、理性を保てるように体調管理は絶対に欠かせない。
メフメフと天使の寝顔という最強の組み合わせを思い出すと、これからの時間は前以上に危険な気がして、今日はいつもより余分に抜いておいた。
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