いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

文字の大きさ
184 / 306
第7章

第320話 クライスSIDE 魔力風邪① ※

しおりを挟む
キルナが魔力風邪にかかった。とくに珍しい病気ではないのだが、魔力が極端に少ないキルナにとってはかなり厄介な病だった。

魔力が減ったり増えたりするこの病気。魔力の絶対量が多い人間にとって多少魔力量が上下することは、それほど問題ではない。

しかし元々魔力が少ない人間にとって魔力量の増減は体に大きな影響を与える。減るとすぐに魔力は枯渇し、増えるとすぐに過多になって魔力酔いを起こしてしまう。魔力が20しかない彼は常に魔力枯渇と魔力酔いの脅威に晒され、不安定な状態が続いていた。

さらに、魔力を安定させるための薬が飲めない、というのも問題だった。魔力を放出するのも吸収するのも薬以外の手段に頼らざるを得ない。

ーーそれは想像以上に大変な闘病生活の始まりを意味していた。


学園を2週間休むことに決め、つきっきりで看病をはじめて3日目。あまりの大変さに開始早々身体は悲鳴を上げていた。

今日も朝からロイルとギアが様子を見にきてくれたが、二人は俺を見るなりギョッとした顔をして恐る恐る尋ねてくる。

「クライス様。大丈夫ですか?」
「何がだ」
「いえ、目の下にかなり濃いクマが」
「ああ、大丈夫だ……」
「キルナ様の看病、我々が代りましょうか?」
「いや、いい……」

ずっとついて看病している自分に、彼らのように交代を申し出てくれる者もいたが、全て断った。交代できるはずがない。

(今のキルナは、誰にも見せられない……)


昼休みに部屋のベルが鳴った。出てみれば、ピンクゴールドの派手な髪色に負けないくらい整った顔立ちの男が、大きな花束と、うさぎかなにかのぬいぐるみを抱えている。

「キル兄様が魔力風邪だと聞き、お見舞いに伺いました。これ、兄様が好きなジーンとラーズの花束です。あと、兄様が好きなポポの実の蜂蜜漬けと、メフメフのぬいぐるみを持ってきました。これは兄様に似てたからつい買っちゃって……」

「ああ、ありがとう。渡しておく」

「あ、自分で渡すので大丈夫です。キル兄様は僕が看病するので、クライス王子は休んでいてください。ってあっ、何でドア閉めるんですか! 王子!?」

「看病は俺がするからお前は帰れ」

「僕に看病させてくださいっ!」と、しばらくドアを叩く音が聞こえていたが無視した。ユジン……こいつは論外だ。キルナへの重すぎる愛が鬱陶しいことこの上ない。花を花瓶に生けていると、後ろでもぞもぞと動く気配がした。

「ん……ふぁ……」

まだ高い熱がひかないキルナは基本一日中寝ているが、ベルの音とドア前でのユジンとのやりとりで目が覚めたらしい。目をこしこし擦りながらむくりと体を起こした。

「誰か…来てた?」
「ああ、ユジンが見舞いの花束やらぬいぐるみを渡しに来てくれた。もう帰った(帰らせた)が」
「そう……。あ、可愛い。おっきなうさぎのぬいぐるみ……。抱っこさせて」

手を広げる彼にぬいぐるみを渡すともふっと顔をうずめて喜んでいる。

「うさぎじゃなくてメフメフらしいぞ」

と一応伝えておいたが聞いているのか怪しい。それにしても……、

キルナが可愛い可愛いと大きなぬいぐるみを抱く姿は天使すぎる。あの弟のチョイスだということが腹立たしいが、うさぎのルームウェアのキルナとメフメフ……。ルーファスでなくても鼻血が出そうなとんでもない組み合わせだ。

まずい、このままでは悶え死んでしまう……。鼻を押さえてうずくまりそうになっていると、彼に呼ばれた。

「はぁ…クライスぅ…熱いよぉ。……こっちきて手伝って」
「ああ。わかった……が、ちょっと待ってくれ」


彼はもぞもぞとズボンとパンツを脱いでシャツだけの状態になり、ちょんとベッドに座って待っている。

(また……あの手伝いか……この視覚の威力と合わせるとすごい忍耐力が必要だ)

目を瞑って自分の意識を性から切り離すことに集中する。

(魔力が多いから出す。その手伝いをするだけ。それだけだ。他のことは考えてはいけない)

もう何度もしているのに、毎回こうして心を奮い立たせて自制心を掻き集めなければならなかった。

俺は招かれるままベッドボードのクッションにもたれかかるように座った。キルナは俺に背中を預けて座ると、真っ白くしなやかな脚を大きく広げ「お願い、触って」と見上げてくる。手に持ったメフメフをきゅうっと抱いたままのおねがいポーズ(しかも射精の手伝いを頼まれている自分という状況)に眩暈がした。

(く…だめだ。無心になれ!)

期待と熱を秘め潤んだ金の瞳にひるみつつ、ピンクのペニスを優しく上下にこすれば、小さな穴がぱくぱくと開きとろとろと先走りが溢れる。くちゅくちゅと卑猥な音がしはじめると、彼も「くぅ~ん」と子犬のように鳴き、快感を味わっていることがわかった。

「ふぁ……ああ……っああ」
「気持ちがいいのか?」
「ん……いぁぅ……いぃ…よぉ…ん…ん…」

素直によがって甘える姿が可愛い。だがもちろん無理はさせられない。落ち着くまで射精させると、服を整えて寝かせてやった。そしておまじないのキス。ぬいぐるみを抱きしめすやすやと眠っている姿を確認すると、そっとベッドから離れた。

シャワー室に入り、限界状態の自分のそれをさっさと処理する。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

キルナの痴態を思い出すだけで何度でもイケる。一人で処理なんて虚しい行為だとも思うが、理性を保てるように体調管理は絶対に欠かせない。

メフメフと天使の寝顔という最強の組み合わせを思い出すと、これからの時間は前以上に危険な気がして、今日はいつもより余分に抜いておいた。
しおりを挟む
感想 719

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。