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第7章
第325話 サプライズ誕生日パーティー③
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「素敵……こんなお洒落な部屋になるなんて! さすがリリーとテア、センス良すぎ!こんな大人な雰囲気になるなんて思ってなかった!」
お菓子作りで手一杯だった僕は、部屋の飾り付けを買い物から帰ってきた二人にお願いした。
僕がイメージしてたのは、折り紙の輪っかをつなげて壁を飾ったり、風船膨らませたり、派手なステッカーを貼ったり、という子どもが喜ぶようなものだったのだけど、出来上がったものは全然違っていた。
光沢のあるアイスブルーのテーブルクロスに、ゴールドのラインが入ったシャンパングラス、中にお花やフルーツが入ったアロマキャンドル、そしてテーブルの中央を彩るフラワーガーランド。白いジーンや紫のラーズの花で作られていて、華やかながら落ち着いた配色になっている。
全体が大人っぽくシックなかんじで纏められ、まるで結婚式のテーブルみたい。
「ほんとに綺麗……」
そう呟くと、リリーがちょっと照れたように笑った。
「気に入ってくれてよかった。この部屋、花がいっぱいあったから使わせてもらったんだよ」
お見舞いにもらった花束をいい感じにアレンジしてくれたらしい。
「僕、片付けは苦手だけど飾るのは得意だからね」
「テアもキラキラした空間がだ~いすきだから飾り付け楽しかったぁ。こんなにロマンチックなお部屋になったし、王子様といちゃいちゃし放題だね~」
キャンドルや食器の位置を微調整しながら、テアが小悪魔チックな笑みを浮かべる。
「い、いちゃいちゃ!?」
無事お菓子の方も焼き上がり、ラッピングして渡すと二人とも大喜びしてくれた。
「ありがと~マフィン多めでうれしい! 部屋に戻ってから食べるね~」
「クッキーこれだけあればもう夜ご飯いらないかも。あ、でも今日は料理当番だから僕が作る日か。めんどくさ。明日も休みだけど、メガネは多分遊べないだろうし……。また学校でね」
「今日はほんとに助かったよ。クライス喜ぶといいのだけど、またね」
みんなが帰ると途端に部屋が静かになった。もう夕方。そろそろ起きるかな? とベッドに近づき、クライスの顔を覗き込んだ。寝息を立ててまだ寝ている。
(顔色も良くなってクマも消えてる……。よかった)
「そうだ、今のうちにセントラに出された宿題しておこう」
(お、ここの問題はセントラに注意されたとこ……。難しいけど……ん、出来た!!)
「ふぁあ、疲れたぁ」
魔力風邪で寝込んでいたものの特訓の成果は出ているらしく、(僕にしては)順調に問題が解けた。かなりの量の課題をこなし、外が暗くなってきた頃「んっう……」と小さな声がした。
振り向くと、ベッドの上で体を起こしたクライスとぱちっと目が合った。
「あ…クライス……おは…よ」
「おはよう。外が暗いな、もう夜か。寝過ぎたな」
「僕の看病で疲れてたんだよ。あの……病気の間ずっと付いててくれて、ありがと」
「ああ。元気になったようでよかった」
(よかった…ってそれだけ? あんなに破茶滅茶に迷惑をかけたのに何も言わないなんて。やっぱりクライスは優しすぎる)
ドキドキドキ
なんだろう、これ。緊張する。ただいつものように会話をしてるだけなのに、どうしてだろう。
病気の間恥ずかしいことをしてしまったから?
これからポケットに入れたプレゼントを渡すから?
それとも、
僕がクライスに恋してしまってるから?
わからない。でもわかることが一つだけある。
「ねぇ、おはようのキスしてもいい?」
ーー僕は今クライスに、キスがしたい。
お菓子作りで手一杯だった僕は、部屋の飾り付けを買い物から帰ってきた二人にお願いした。
僕がイメージしてたのは、折り紙の輪っかをつなげて壁を飾ったり、風船膨らませたり、派手なステッカーを貼ったり、という子どもが喜ぶようなものだったのだけど、出来上がったものは全然違っていた。
光沢のあるアイスブルーのテーブルクロスに、ゴールドのラインが入ったシャンパングラス、中にお花やフルーツが入ったアロマキャンドル、そしてテーブルの中央を彩るフラワーガーランド。白いジーンや紫のラーズの花で作られていて、華やかながら落ち着いた配色になっている。
全体が大人っぽくシックなかんじで纏められ、まるで結婚式のテーブルみたい。
「ほんとに綺麗……」
そう呟くと、リリーがちょっと照れたように笑った。
「気に入ってくれてよかった。この部屋、花がいっぱいあったから使わせてもらったんだよ」
お見舞いにもらった花束をいい感じにアレンジしてくれたらしい。
「僕、片付けは苦手だけど飾るのは得意だからね」
「テアもキラキラした空間がだ~いすきだから飾り付け楽しかったぁ。こんなにロマンチックなお部屋になったし、王子様といちゃいちゃし放題だね~」
キャンドルや食器の位置を微調整しながら、テアが小悪魔チックな笑みを浮かべる。
「い、いちゃいちゃ!?」
無事お菓子の方も焼き上がり、ラッピングして渡すと二人とも大喜びしてくれた。
「ありがと~マフィン多めでうれしい! 部屋に戻ってから食べるね~」
「クッキーこれだけあればもう夜ご飯いらないかも。あ、でも今日は料理当番だから僕が作る日か。めんどくさ。明日も休みだけど、メガネは多分遊べないだろうし……。また学校でね」
「今日はほんとに助かったよ。クライス喜ぶといいのだけど、またね」
みんなが帰ると途端に部屋が静かになった。もう夕方。そろそろ起きるかな? とベッドに近づき、クライスの顔を覗き込んだ。寝息を立ててまだ寝ている。
(顔色も良くなってクマも消えてる……。よかった)
「そうだ、今のうちにセントラに出された宿題しておこう」
(お、ここの問題はセントラに注意されたとこ……。難しいけど……ん、出来た!!)
「ふぁあ、疲れたぁ」
魔力風邪で寝込んでいたものの特訓の成果は出ているらしく、(僕にしては)順調に問題が解けた。かなりの量の課題をこなし、外が暗くなってきた頃「んっう……」と小さな声がした。
振り向くと、ベッドの上で体を起こしたクライスとぱちっと目が合った。
「あ…クライス……おは…よ」
「おはよう。外が暗いな、もう夜か。寝過ぎたな」
「僕の看病で疲れてたんだよ。あの……病気の間ずっと付いててくれて、ありがと」
「ああ。元気になったようでよかった」
(よかった…ってそれだけ? あんなに破茶滅茶に迷惑をかけたのに何も言わないなんて。やっぱりクライスは優しすぎる)
ドキドキドキ
なんだろう、これ。緊張する。ただいつものように会話をしてるだけなのに、どうしてだろう。
病気の間恥ずかしいことをしてしまったから?
これからポケットに入れたプレゼントを渡すから?
それとも、
僕がクライスに恋してしまってるから?
わからない。でもわかることが一つだけある。
「ねぇ、おはようのキスしてもいい?」
ーー僕は今クライスに、キスがしたい。
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