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第7章
第358話 ユジンSIDE 繰り返し見る夢
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応急処置をしながら家族に連絡する。手は汗にまみれ、焦ってボタンがうまく押せない。
なんとか状況を伝え、ぐったりとした兄に寄り添う。
いつも学校から帰ると「おかえり」と微笑み迎えてくれた兄。
どんなに駄目だった日も、彼に話を聞いてもらうと元気が湧いてきて、次はもっと頑張れるという気がした。
試合の日には美味しいお弁当を用意してくれて、休みの日には、自分は少ししか食べられないのに僕の大好きなお菓子を作ってくれた。
優しい兄が、大好きだった。
なのに
何もできない自分に絶望した。
赤い鮮血が布団にぽたぽたと落ちていく。白いシーツが赤く染まっていく。
「ーーーー!!!」
「はぁ、はぁ、はぁ……また、あの夢……」
キル兄様を失いかけたあの日から、繰り返し同じ夢を見る。
目の前で兄が血を吐いて死ぬ、そんな夢。
夢の中の僕は一生懸命兄の名を呼び続けている。
「大丈夫が? うなざれでだぞ」
「うるさくしてごめん、クーマ。悪い夢を、見たんだ」
兄を救うことができない愚かで無力な弟の夢。
僕は、キル兄様を失ったりしない。
何があっても兄様を守って見せる。絶対に。
なんとか状況を伝え、ぐったりとした兄に寄り添う。
いつも学校から帰ると「おかえり」と微笑み迎えてくれた兄。
どんなに駄目だった日も、彼に話を聞いてもらうと元気が湧いてきて、次はもっと頑張れるという気がした。
試合の日には美味しいお弁当を用意してくれて、休みの日には、自分は少ししか食べられないのに僕の大好きなお菓子を作ってくれた。
優しい兄が、大好きだった。
なのに
何もできない自分に絶望した。
赤い鮮血が布団にぽたぽたと落ちていく。白いシーツが赤く染まっていく。
「ーーーー!!!」
「はぁ、はぁ、はぁ……また、あの夢……」
キル兄様を失いかけたあの日から、繰り返し同じ夢を見る。
目の前で兄が血を吐いて死ぬ、そんな夢。
夢の中の僕は一生懸命兄の名を呼び続けている。
「大丈夫が? うなざれでだぞ」
「うるさくしてごめん、クーマ。悪い夢を、見たんだ」
兄を救うことができない愚かで無力な弟の夢。
僕は、キル兄様を失ったりしない。
何があっても兄様を守って見せる。絶対に。
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