婚約解消されたネコミミ悪役令息はなぜか王子に溺愛される

日色

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第2話 

「この恥知らずが! 婚約解消などされてよくもおめおめと帰ってこられたな。荷物をまとめてさっさと出ていけ!」
 
 父親に怒鳴り散らされ頭がクラクラする。
 王子との婚約が解消となり、思った通りお父様とお母様はすぐに僕を切り捨てた。彼らにとって王家との婚約をダメにした僕は、もはやお荷物でしかない。うちには優秀な兄が二人もいて、王子の婚約者、という価値しかなかった僕はもう必要ないのだろう。

「今日から侯爵家とお前は一切関わりはないものと思え。その迷惑な力が暴走しないよう魔力封印の呪いを受け、平民として生きていけ」

(役立たずはお役御免というわけか)
 
 その日のうちに引きずるように教会につれていかれ、問答無用で呪いを受けさせられた。
 
 ──魔力封印の呪い。

 それは罪人の魔力を封じるためにかけられるもので、この呪いを受けると罪人にふさわしい姿になる、と神官から説明を受けた。
 神殿の大広間に描かれた大きな魔法陣の真ん中に、一人ちょこんと座らされる。何やら神々しく光る神官の手のひらが、僕の頭にかざされる。怖い……。

『痛いぃ! 痛い痛い痛い。許して! うぁああぁああああ』
 
 となるはずだったのに、あれ? と首を傾げる。
 呪いを受ける時、頭の天辺に焼鏝やきごてを当てられたような、壮絶な痛みを感じるのだと事前に聞いていたのに、不思議と痛みがなかったから。
 でも魔力が封じられたのは本当のようだ。手のひらから魔力を放出しようとしても、何も起こらない。
 もう魔法は使えない。
 恐ろしさのあまり、涙と鼻水とで顔はぐちゃぐちゃに、ズボンにもシミができていた。
 魔法陣の外で見物していた元家族は、そんな僕を見てさぞかし満足してるのだろう。と思ったら皆心配そうな顔つきをしているような?(やつらが僕の心配なんてするわけないのにおかしいな)
 儀式が終わった後も、ショックのあまり魔法陣の上にうずくまったまま動けず、はぁ、はぁ、と荒い呼吸を繰り返していた。あまりにも無様な格好だった。
 絶望的な気分で頭を触ると、何かある。これが僕の罪の証。罪人にふさわしい姿。
 こんなものが生えて、一体これからどうやって生きていけばいいのだろう。
 もともとあまり頭も良くなかったし、これといった取り柄もない僕だが、魔法だけは得意だった。生まれつき豊富な魔力を持っていて、どんな魔法もわりと早く習得できた。それだけが僕の自慢だった。それも今、呪いにより封印されてしまった。もう絶望しかない。

(獣の耳が生えるなんてなんて最悪だ!)
 
 そう思いながらも、無意識に頭をさわさわと触ってしまう。
 ふさふさふさ……。

(ん? この触り心地、なんか懐かしいような……。実家の飼い猫、チュチュによく似たピンと立ったネコミミ……)

 そこまで考えた時、頭の中に大量の記憶が流れ込んできた。

「あ、なに……これ。僕……。ぁああああああ」

 聖なる鏡(神殿の超巨大鏡)に映った自分を見て、僕は確信した。
 サラサラの黒髪に大きな紫色の瞳。透き通るように白い肌に紅い唇。見た目だけは儚げ美人な青年、これは。
 
 ──大好きだったBLゲーム『ネコ精霊と愛の指輪』の世界に転生している? しかも主人公でもモブでもなく、よりにもよってあの極悪非道の愚かな悪役令息、ルジア=アンセルに!
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