キミの消えたセカイ

XXX

文字の大きさ
上 下
5 / 7
四章

もう一人の「ボク」

しおりを挟む
「―――――っ!?」

言葉を失うというのはこういう状況の事を言うのだろうか

身体が何かに縛られたみたいに硬直して動けなかった。

目の前の光景―いや【人物】
から目が離せなかった。

目の前に居たのは夢で出会い
会話もした『彼』だったのだから。

「な…っ。何で…っ。」
声をふり絞り出てきたのは
こんな言葉だけだった。

『君に会えるのをずっと楽しみにしていたんだよ。』

身体の硬直がだんだん解けてきた僕は彼に問いかけた。

「会えるのを楽しみにしていたってなんだよ!?そもそもキミは誰なんだよ!?」

『忘れたの?夢で言ったじゃないか。もうすぐ《会えるよ》って。だからボクは君に会いに来たんだ。』

「それが解らないって言ってるんだよ!キミは僕と同じ顔じゃないか!」

『当たり前じゃないか。『ボク』は「君」なんだから』

またそれか。
僕の混乱状態の頭が更に
混乱状態に陥った。

「じゃあキミは僕のドッペルゲンガーとでも言うのかよ!?」

『違うよ。ボクはもう一人の「君」だ。』


―――もう一人の『僕』?

しおりを挟む

処理中です...