この異世界は絶対にゆるふわVRMMOなんかじゃない!

もやもや、もやしん

文字の大きさ
7 / 19
第一章この章の後半を読んではいけない。

第6話 彼と彼女のオープニング6

しおりを挟む


「色々あるな、何のセットにしようか」

 鍛冶屋の中は人が少なく見やすかったが熱気が凄く余り長居したいとは思わない場所だった。
 カウンターに一人のお姉さんと奥に鉄を熱したり叩いたりしているおっさん達がいた。

「何か買いたいものでもあるかな?」

 お姉さんは愛想よくニッコリと笑顔を僕に向けた。
 こういう時は手っ取り早く攻略情報が見れればいいが電子系の情報は一切遮断されている。
 ナフィは元々の装備があるから良しとして。
 買えるセット装備は4つ。

 1.名前は「トロイ」。防御力の基本値が合計1025の効果やスキル補正なしの鎧。

 2.名前は「疾風」。防御力の基本値がが合計800の効果は疾走。

 疾走が付くと移動速度が3%上げれる。

 3.魔導師の装備なので却下

 4.上と同じ。

 どれも最大値まで強化しても大体で十倍ぐらいの強さにしかならない。
 本来ならこの装備の基本値からスキルの補正を合わせても1000倍くらい防御力が欲しい所だ。冗談抜きで。
 見た目に関しては。

 1.はそのままトロイって感じの基本装備。別にこっちでもいいが。

 2.頭が出ているがは布が多くて動きやすそう。1.よりは布が多くて複雑だからちょっとカッコイイかな。

 確定2.にしよ。

「お姉さん疾風お願いしていいですか?サイズはSで」
「疾風ね、10分くらいはかかるけどいい?」
「その間に刀剣あたり見とくんで大丈夫です」

 剣か、こっちも買えるものは少ないな。
 ナフィとの相性を最優先で考えないとロクに戦えないだろう。
 自分の知識で行くとナフィは完全に遠距離支援型の装備で魔法一択しか使えない。

 少し困った点だ。

 ナフィは魔導師のクラスを所持している為に近接攻撃に適性が殆ど無い。
 そのせいで必然的に防御力が低い僕が前に出て戦う必要がある。
 僕も日本刀あたりが本当は欲しいが買えるのは西洋系の真っ直ぐな剣いわゆる直刀しかない。
 ややこしい事にこの世界には鍛冶屋にすらレベルが合って日本刀を作れるのはかなりの腕が必要でここじゃ無理だ。
 買うならやっぱり初期の直刀かな。
 元々クラスも特殊なクラス使ってたし剣を持たない事にはスキルが使えるかどうか分からない。

「お姉さん、この双剣も下さい」
「全部で4500Gよ」

 まだ普通にお金が余るな。
 アイテムが手に入ったらまた今度強化しなきゃ。
 最初の方は全てナフィに戦闘を任せる予定だ。
 ナフィの装備はもちろんクラスやらスキルやら大分強化したから時間はかかるが60lv位までなら倒せるだろう。

「よいしょっ、これで足ります?」
「足りるわ、毎度あり。これ出来た装備ね」

 お姉さんに装備を渡された。
 やっぱり結構小さく感じる。
 使っていたスキンは身長を大きめに設定していたのてもっと装備は大きかった。しかし、やたらと露出度が高くなってないか?
 こんなにも布っぽかったっけ?

「左の方に着替える個室があるからそこで着替えて」

 お姉さんはカウンターの左側を指して場所を示した。
 僕は指された方に向かい空いている個室に入る。
 その時、すっと当たり前の様にナフィが個室へ入り込んできた。

「・・・・・・ナフィ? 静かにしてると思ったら何で入ってくるの?」
「マスターの体の成長具合を見るのもサポートキャラの務めですから」
「そんな所まで管理しないよ普通! 出てけ!」

 そう言ってナフィを慌てて追い出す。
 一体何が成長具合だよ全然成長の兆しは一切無いんだけど。
 さっさと服を脱ぎ始めたが。

「じー・・・・・・」
「ナフィ! 覗いてるのバレバレだよ!」
「すみませんマスター!」

 
 着替えを済ませたがやっぱり凄いサイズを少し伝えただけでピッタリだ。
 思ったより露出度が高いがまあ気にしなくていいだろう気候もいい感じだ。
 しかし、やっぱり思うんだがこんなに露出度の高い服だったけか?

「マスターって腕にも足にも毛が無いんですね」
「しつこいよナフィ」

 最後まで結局は覗いていたようだ。

「肌も白くて艶があってモチっともしててそこら辺の女の子よりも綺麗くて可愛いですよ」

 褒められているようだが男としては物凄く辛い話だ。
 実際に昔、女の子と間違えられナンパされた事もあったか。
 あの時は本当にヤバかったけど。

「本当ね可愛いわ」
「カウンターのお姉さん!? 何で?」
「暇だからよ。折角だからお化粧もしましょうか」

 そう言ってお姉さんは何と化粧セットを持っていたのだった。

「あっいえ大丈夫です」
「やりましょう! 大賛成ですお姉さん!」
「何でそうなる!?」

 ナフィが盛大に賛成した瞬間ナフィが素早く個室に入り込み僕を羽交い締めにした。

「嘘! ナフィやめろよ!」

 もがいても離してくれない。

「じっとしてくださいマスター」
「さぁ、始めるわよすぐに終わるからね」
「やめて下さい!お願いします。ダメだって!」

 そう、この世界は魔法でフェイスペイントが可能でもちろん、化粧も同じである。
 終わるのは一瞬、そう、終わるのは一瞬なのだ。
 この時ほど魔法の便利さを恨んだ事は無い。
 なんせ一瞬粉を振り掛けるだけでした準備が整い。
 タッチするだけで徐々に化粧が進むのだった。

 「マスター超可愛いじゃないですか!」
 「ホントねこれで立派な女の子よ鏡で見て」

 この時は本当に僕の中で何かが壊れた音がした。
 不覚にも鏡を見た瞬間、自分でも可愛いと思ってしまったからである。

「お姉さんありがとうございます」
「可愛く仕上がって良かったわ」
「それじゃあ行きましょうかマスター」
「ウン」

 ナフィはそう言って放心状態の僕を個室から引っ張り出し鍛冶屋から出ていくのだった。
 出ていった先で僕はいつもよりも素晴らしく輝く噴水を見つけた。
 よく市場や広場の中央にある奴だ。
 そう言えばここにもあったな。

 「うぉおおおお!!」
 「あっ、マスター噴水に飛び込んじゃダメですよ」

 猛ダッシュ、ナフィから手を離し思いっきり噴水に頭を突っ込みそのまま顔を洗った。

「どうナフィ取れただろ?」
「取れませんよ魔法でその化粧が付いてるんで」
「はぁ? じゃあどうやったら取れるの?」
「多分ですね専用の化粧品落としじゃないと取れませんね」

 嘘だ、この顔で1日?

「髪が濡れて寝癖も真っ直ぐになって治ったのでもう女の子にしか見えませんね」

 どうしよう恥ずい。
 恥ずかしすぎて体温が上がり体が痒くなってきた。
 露出度が何故か高かった理由も恐らく女性用の装備だからだろう。

「顔真っ赤ですよマスター」
「恥ずかしいんだよ!」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...