この異世界は絶対にゆるふわVRMMOなんかじゃない!

もやもや、もやしん

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第一章この章の後半を読んではいけない。

第12話 第一回ツンデレ対戦!?4

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 彼女が持っている武器は基本的に斧なのだがどのタイプの斧を使用して来るか不明である。
 そもそも初期装備の僕には武器や鎧での点において全くと言っていい程に勝ち目が無い。
 もし彼女が武器を持参すれば確実に殺される。

 武器にすると例えば。

 斧と槍を合体させた2~3mほどのハルバード。
 槍の矛先に斧が付いていて性質上はスピードの早い攻撃にも対応が可能。
 僕はクラスやスキルの振り方的にスピードで圧倒するが彼女のガチャ限定装備や課金限定装備などに阻まれ全く歯が立たない。
 そして槍ですぐさま脾腹を貫かれるだろう。しかし、この武器は酷い運営体制で出された色々な武器の一つに過ぎない。
 そもそもこの武器自体が出現時期や持った時の性能などがおかしいので少しだけ腹立たしい。

 他の武器を持ってくる可能性がある。

 例えば、トマホークを持ってこられたらスピードですら互角になってしまう。
 あの装備は50cmくらいでかなり軽いし二つ持って戦ったりも可能だ。
 そして圧倒的な彼女の攻撃力により一瞬で頭部を真っ二つにかち割られるだろう。

しかし、彼女が最も得意とするのは大斧だ。

 大きさは大体2m以上ある。
 スピード系の武器にはとても相性の悪いのがこの武器だが彼女は基本この武器を選ぶ。
 何故なら攻撃は最大の防御と言う通りに彼女の攻撃力が最も生かされる装備だからだ。
 相当課金して時間を積み強化した装備でもチャージ攻撃を食らうと数回攻撃をもろに喰らえば確実に死ぬ。
 僕の体なんてお腹の辺りを両断されるだろう。

 装備だってさっき彼女の姿を見た所、僕みたいに全ての装備が消えた様子は無かった。
 あの装備は僕がちょっと前の狼みたいに本気で殺そうと思ってるのに鎧が全く通さない状態になってしまう。
 そんな奴と戦って死ぬほどボロボロにされる。

 そんなのは絶対に嫌だ。

 もし仮に互角の勝負に持ち込めるとしたら彼女が初期装備で来るぐらいしか無い。
 上手いこと言いくるめて彼女の装備を脱がす事は出来ないのだろうか?

「なにかお悩みですか?」

 ナフィがいきなり後ろから抱きつき耳元でそう囁く。
 その囁きで耳に息がかかりゾクッとした感覚と擽ったさに見舞われる。
 背中の柔らかい感覚は胸なのだろうか、ふにゅっとしてる? と言うか柔らかいというか意識が。

「な、ナフィ!? 何で?何で抱きつくの!?」
「悲痛そうな顔をしているので心配なのですよ」

 ダメだ、感覚が全部奪われそうになる。このギュッと抱き着きたくなる感覚は何なのだろう。
 我慢だ、我慢。落ち着くんだ。頑張れ自分、頑張れ。

「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だから。それよりさっきからむ」

 胸が当たっている事を指摘しようとするがその前にナフィが口を挟んだ。

「そんな事言わずにナフィを頼ってくださいな。こういう時って誰かに甘えたくなりませんか?」

 なるけど。

「・・・・・・なりません」

 正直に言ったらどうなるのだろう。

「本当ですか? 甘えたい時は甘えていいんですよ」

 心の底ではなんて甘い言葉なんだそう思っている。
 本当なら抱きつきたい。
 でも甘えてしまったら僕の理性が保てないのは明白だしそうなってしまうとナフィが困るだろ。しかも、こんな人の通る場所で。

「そんな大したことじゃないじゃん、ちょっとキツく言われただけなのに」
「でもマスター甘える事を否定してる割に顔真っ赤ですよ、もしかして本心はもっと甘えたいとか」

 トウリは図星をつかれて焦ってナフィを振りほどいた。

「そっ、そんな事思って無いよ!」
「いやいや、マスターはうぶなのでバレバレですよ。確かにいくら容姿がちっちゃくても年頃ですからねぇ」
「ちっちゃい言うな!」
「ナフィは色々な物に耐性がないマスターが心配なのです」
「大丈夫だよ、早く行こ」
「またちょっと怒ってますね?」

 流石にちっちゃいと言われてもそんな簡単に怒らない。

「怒ってないよ」
「ちっちゃいって言われたから怒ってるんですね」
「怒ってないってば早く行くよ」
「もっと強気になればいいのに」
「何?」
「そっちは家に帰る道じゃなくて市場への道ですよ」
「・・・・・・」

 トウリは無言で方向転換し顔を俯かせ失敗した事に赤めく顔を隠しながら歩き出した。

「フフフッ、それじゃ行きましょう」

 


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