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第二章・異国騒音
4話 ホテルから下水道へ
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とりあえず出水は、ジャングル方面に行こうとBBに行った。BBを突っ切って行かなければ電気も何もない安全なジャングルには行けない。走っていきたいところだが、もしもホテルから離れた雷獣が、私を怪しいと目をつけたらヤバい。ここは逸る心を抑えて歩くかなければならない。
「あのーすみません。先程私とぶつかった人ですよね?」
心臓をバクバク鳴らしている出水に、突然話しかけたのは昼頃に出水とぶつかった男であった。
「ち…違います」
「いやいや、絶対そうでしょ。その歩き方の癖、身長…絶対にそうですよね?私先程、大事なハンカチをここらで落とした様でして…持っていませんか?ハンカチ」
ちょっと待て、ハンカチ…?もしかして雷獣が言っていたハンカチってのはコイツが落としたハンカチのことを言っているのか?『それを拾ったから私は雷獣に狙われた』のか私は?出水の頭が回り出す。
「『雷獣』とかいう能力者んとこにあるぞ、カストロ」
試しにそうカマをかけて見ると、みるみる内に男の顔に影が差し始めた。男は自らのサングラスと帽子を取ると、歴戦の賞金稼ぎらしい顔つきを出水に見せた。
「お前…『雷獣』討伐の賞金を横取りしにきた賞金稼ぎか?」
「ちげーわ。てめーのハンカチを善意で拾ったばっかりに最低な事に巻きこまれた、哀れな哀れな探偵だ」
「巻き込まれた…?つまり『雷獣』に今追跡されているということか?」
「大正解」
出水のその言葉を聞いた途端、男はだらだらと汗を流し始めた。
「ついてこいッ!雷獣の追跡はすぐそこまで迫っている筈だ‼︎」
男は出水の手を側の路地裏まで、急いで引いていき、その奥にひっそりとあるマンホールの蓋を開けた。
「このマンホールが下水道に繋がってる。…そこらの女みたいに『きゃー汚い』とか言うなよ?」
「安全なら糞の海だって泳いでやるわ」
「…わかった」
男はそう言うと、マンホールの穴についているタラップに足をかけ、どんどん降っていった。俺に続けと言う事だろう。男に続き出水はマンホールの闇の中に入った。
「蓋閉めとけよ」
男にそう言われて出水はすぐに蓋を閉めた。そして出水はタラップにぶら下りながら下を見て、ギョッとした。タラップの高さは、目測でだが、50メートルはあったからだ。
「これ、深すぎじゃない?」
「あぁ深い。もとは旧日本軍がせっせと掘って作った秘密基地でな。なんでも、ミサイルやらナパーム弾に耐えるように作ったらしい。俺が何年か前にここを発見して以来、ずっと使ってたんだ」
「へぇー」
「まぁ兎に角ここまで入れたなら『多分』安全だ」
「多分…?」
出水はそう聞き返したが、男は黙々とタラップを降りているだけで、全く返事はしてくれなかった。
「無視かよ。つーか自己紹介しなさいよ。私は出水露沙。あんたは?」
「さっきお前、俺の名前言ってたじゃないか。どうせ雷獣から聞いたんだろ」
出水はニヤッと笑った。
「あそ、んじゃよろしくカストロ」
「…よろしく出水」
50メートル下に着くと、カストロは側の壁のスイッチを押した。すると下水道内に電気が灯った。
「おいおい大丈夫なんだろうな?」
「『多分』な。表からの電気は使わずにこの下水道内で発電を行ってるから大丈夫だ。早く行くぞ出水」
「多分て…」
出水とカストロは黙々と下水道の迷路を歩き始めた。カストロによると、迷路の一角に自前のアジトがあり、武器とかも用意してあるらしい。
「衛生環境は大丈夫なのここ?めちゃ臭いけど」
「鼻塞いでいけ。アジト内は超清潔だから安心していい」
そんな言葉を交わす内に出水達はアジトの扉の前に着いた。そして、カストロが扉を開けてアジト内の電気をつける。
出水は思ったよりアジトの中が広いことに驚いた。内装は、下水道の壁と同じく打ちっぱなしのコンクリートで、殺伐とした雰囲気が漂っている。というか、ダンボールしか無いので、殺伐を通り越して虚無すら感じる部屋となっている。
「あのーすみません。先程私とぶつかった人ですよね?」
心臓をバクバク鳴らしている出水に、突然話しかけたのは昼頃に出水とぶつかった男であった。
「ち…違います」
「いやいや、絶対そうでしょ。その歩き方の癖、身長…絶対にそうですよね?私先程、大事なハンカチをここらで落とした様でして…持っていませんか?ハンカチ」
ちょっと待て、ハンカチ…?もしかして雷獣が言っていたハンカチってのはコイツが落としたハンカチのことを言っているのか?『それを拾ったから私は雷獣に狙われた』のか私は?出水の頭が回り出す。
「『雷獣』とかいう能力者んとこにあるぞ、カストロ」
試しにそうカマをかけて見ると、みるみる内に男の顔に影が差し始めた。男は自らのサングラスと帽子を取ると、歴戦の賞金稼ぎらしい顔つきを出水に見せた。
「お前…『雷獣』討伐の賞金を横取りしにきた賞金稼ぎか?」
「ちげーわ。てめーのハンカチを善意で拾ったばっかりに最低な事に巻きこまれた、哀れな哀れな探偵だ」
「巻き込まれた…?つまり『雷獣』に今追跡されているということか?」
「大正解」
出水のその言葉を聞いた途端、男はだらだらと汗を流し始めた。
「ついてこいッ!雷獣の追跡はすぐそこまで迫っている筈だ‼︎」
男は出水の手を側の路地裏まで、急いで引いていき、その奥にひっそりとあるマンホールの蓋を開けた。
「このマンホールが下水道に繋がってる。…そこらの女みたいに『きゃー汚い』とか言うなよ?」
「安全なら糞の海だって泳いでやるわ」
「…わかった」
男はそう言うと、マンホールの穴についているタラップに足をかけ、どんどん降っていった。俺に続けと言う事だろう。男に続き出水はマンホールの闇の中に入った。
「蓋閉めとけよ」
男にそう言われて出水はすぐに蓋を閉めた。そして出水はタラップにぶら下りながら下を見て、ギョッとした。タラップの高さは、目測でだが、50メートルはあったからだ。
「これ、深すぎじゃない?」
「あぁ深い。もとは旧日本軍がせっせと掘って作った秘密基地でな。なんでも、ミサイルやらナパーム弾に耐えるように作ったらしい。俺が何年か前にここを発見して以来、ずっと使ってたんだ」
「へぇー」
「まぁ兎に角ここまで入れたなら『多分』安全だ」
「多分…?」
出水はそう聞き返したが、男は黙々とタラップを降りているだけで、全く返事はしてくれなかった。
「無視かよ。つーか自己紹介しなさいよ。私は出水露沙。あんたは?」
「さっきお前、俺の名前言ってたじゃないか。どうせ雷獣から聞いたんだろ」
出水はニヤッと笑った。
「あそ、んじゃよろしくカストロ」
「…よろしく出水」
50メートル下に着くと、カストロは側の壁のスイッチを押した。すると下水道内に電気が灯った。
「おいおい大丈夫なんだろうな?」
「『多分』な。表からの電気は使わずにこの下水道内で発電を行ってるから大丈夫だ。早く行くぞ出水」
「多分て…」
出水とカストロは黙々と下水道の迷路を歩き始めた。カストロによると、迷路の一角に自前のアジトがあり、武器とかも用意してあるらしい。
「衛生環境は大丈夫なのここ?めちゃ臭いけど」
「鼻塞いでいけ。アジト内は超清潔だから安心していい」
そんな言葉を交わす内に出水達はアジトの扉の前に着いた。そして、カストロが扉を開けてアジト内の電気をつける。
出水は思ったよりアジトの中が広いことに驚いた。内装は、下水道の壁と同じく打ちっぱなしのコンクリートで、殺伐とした雰囲気が漂っている。というか、ダンボールしか無いので、殺伐を通り越して虚無すら感じる部屋となっている。
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