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第三章・我校引線
10話 いつだって、子を思う親はマジ最強 その3
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「…終わった。これで有太は…!」
浅雨父は声を漏らした。自分の息子を救うためだとはいえ、人を自らの手で殺してしまった。俺は一生悔いて生きるだろう。だが、息子が酷い目に遭うくらいなら、全ての人を殺し尽くしても構わない!
「これで…良かった筈、だ!」
その時、自分の背後で音がし、浅雨父は振り返った。しかし、もう遅かった。
「…かっ…」
急激に失われていく意識をなんとなく感じながら浅雨父は深い眠りについた。茂みから姿を現した出水は爆風を受けてヒリヒリとする背中をさすりながら浅雨父を見下ろした。
「やれやれ、凄まじい能力だわ」
出水は自分の能力に心の中で感謝しつつ、自分が死んだ時のことを思い出していた。
爆発で死んだ直後、能力が発動して時間が戻った出水は、苦痛の記憶によって自分の喉から溢れてくる吐瀉物を、必死に飲み込んだ。
「『アイズ』‼︎ゾーンの準備をしろ!」
…ここしかない!というか、ここを逃すと死ぬ。
出水は持っていた麻酔銃以外の武器全てを、上着に急いで包むと、それを思い切り投げた。それが勢いよくボールの一つにぶち当たり、それを2メートルほど向こうに弾いた。
「爆ぜろ!『アイズ』!」
その瞬間、周りのボールが爆発した。
出水は今開けたばかりのボールの壁の隙間に滑り込み、なんとか爆発を免れることができた。
「う、ウォォオオ‼︎」
が、爆風に煽られ、出水の身体は前方に吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる形になってしまった。
そして、出水は、爆風で塵が舞っている中、植物園の茂みに身を隠しなんとか男の背後に回り込んで麻酔銃を発射することに成功したのだった。恐らく、あの時、『アイズ』達は爆発することしか命令されていなかった(一箇所に集まって爆発するということしか制約によってできなかった)ため、先程の銃弾を弾いた時よりもボールを動かしやすかったのだろう。
「ん、こいつ…」
膝から崩れ落ちた拍子に能面が外れており、男の顔が露わになっていた。
「確か…浅雨有太だったか?顔が似ているな」
この顔から推測するに浅雨の血縁とみて間違いなさそうだ。
男の懐を探ってみると、運転免許証の入った財布が見つかった。普通、手慣れた刺客は自分の仕事が失敗した時のことを考えて、身分が割れる物は持っていないものだ。
「浅雨凛太郎。年齢は35歳。職業は…と、それらしい物が書いてある書類は持ってないか」
年齢的に有太の父親と見て間違いなさそうだが、問題はなぜこいつが襲ってきたか、だ。
出水はとりあえず琵琶持に、この浅雨父をふんじばって、事務所に軟禁させようと電話をかけた。
「…?繋がらない」
単純にスマホから目を離してるだけだろうか。いや、それとも…
出水の脳裏に嫌な予感が走った。
浅雨父は声を漏らした。自分の息子を救うためだとはいえ、人を自らの手で殺してしまった。俺は一生悔いて生きるだろう。だが、息子が酷い目に遭うくらいなら、全ての人を殺し尽くしても構わない!
「これで…良かった筈、だ!」
その時、自分の背後で音がし、浅雨父は振り返った。しかし、もう遅かった。
「…かっ…」
急激に失われていく意識をなんとなく感じながら浅雨父は深い眠りについた。茂みから姿を現した出水は爆風を受けてヒリヒリとする背中をさすりながら浅雨父を見下ろした。
「やれやれ、凄まじい能力だわ」
出水は自分の能力に心の中で感謝しつつ、自分が死んだ時のことを思い出していた。
爆発で死んだ直後、能力が発動して時間が戻った出水は、苦痛の記憶によって自分の喉から溢れてくる吐瀉物を、必死に飲み込んだ。
「『アイズ』‼︎ゾーンの準備をしろ!」
…ここしかない!というか、ここを逃すと死ぬ。
出水は持っていた麻酔銃以外の武器全てを、上着に急いで包むと、それを思い切り投げた。それが勢いよくボールの一つにぶち当たり、それを2メートルほど向こうに弾いた。
「爆ぜろ!『アイズ』!」
その瞬間、周りのボールが爆発した。
出水は今開けたばかりのボールの壁の隙間に滑り込み、なんとか爆発を免れることができた。
「う、ウォォオオ‼︎」
が、爆風に煽られ、出水の身体は前方に吹っ飛ばされて地面に叩きつけられる形になってしまった。
そして、出水は、爆風で塵が舞っている中、植物園の茂みに身を隠しなんとか男の背後に回り込んで麻酔銃を発射することに成功したのだった。恐らく、あの時、『アイズ』達は爆発することしか命令されていなかった(一箇所に集まって爆発するということしか制約によってできなかった)ため、先程の銃弾を弾いた時よりもボールを動かしやすかったのだろう。
「ん、こいつ…」
膝から崩れ落ちた拍子に能面が外れており、男の顔が露わになっていた。
「確か…浅雨有太だったか?顔が似ているな」
この顔から推測するに浅雨の血縁とみて間違いなさそうだ。
男の懐を探ってみると、運転免許証の入った財布が見つかった。普通、手慣れた刺客は自分の仕事が失敗した時のことを考えて、身分が割れる物は持っていないものだ。
「浅雨凛太郎。年齢は35歳。職業は…と、それらしい物が書いてある書類は持ってないか」
年齢的に有太の父親と見て間違いなさそうだが、問題はなぜこいつが襲ってきたか、だ。
出水はとりあえず琵琶持に、この浅雨父をふんじばって、事務所に軟禁させようと電話をかけた。
「…?繋がらない」
単純にスマホから目を離してるだけだろうか。いや、それとも…
出水の脳裏に嫌な予感が走った。
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