エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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第一部

第1話 プロローグ☆

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 ことの始まりは日曜午前零時たぶんちょうど。
 
「へぐぅっ?!」

 繁華街のド真ん中で、僕は自分でも奇妙だなと思ううめきと共に歩みを止めざる負えなかった。
 何故なら、いきなり視界がブラックアウトしたかと思うと、間髪入れずにコンピュータープログラムみたいな謎の文字列が視界全体にダーッと流れ出したものだから。

 最終的には、たぶん installation is successfulだとかそんな感じの一行が点滅して。
 で、しばらくすると視界は復活したのだけれど……。

「なんじゃこりゃ?!」
「おい、どうした雄介?」

 先輩が心配して声を掛けてきた。
 そもそも夜の街と縁遠い僕が繁華街のど真ん中に居たのも、サークルの先輩たちに連れられ、呑めや歌えやの乱痴気騒ぎに付き合わされていたからなのだ。
 目の前に広がる信じられない光景に困惑しつつも、慣れない酒ですっかり酩酊状態の僕は、言われるままに説明を試みようと思い立ち口を開いた。

「なんか、視界の隅にゲージが現れて……」
「ゲージ?」
「ほら、アクションゲーとかRPGとかで良くある奴ですよ」

 田中先輩に顔を向けても、そのゲーム画面みたいな奴は視界に固定されたまま残っていた。

「ああ、HPか!」
「そうそうそれそれ!」

 ――ゲシッ!

「何するんすかっ! いきなり叩くこと無いじゃないですかっ!」
「はぁ……。あのなぁ、引きこもりがちな貴様をせっかく外に連れ出してやったのに、酔払って見た幻覚がテレビゲームってか? おまっふざけんじゃねぇよ!」
「家庭用ゲーム機というよりは、スマホゲーっぽいというか……」

 視界の右上には青い横長のゲージが二本あり、これだけなら先輩の言うようにテレビゲームと誤認するのも無理もないのだけれど。
 左上に表示されてる三つの文字列がどう見てもデイリークエストのように思える。

・クエスト1 性的対象を褒めよ。
・クエスト2 性的対象の肌と接触せよ。
・クエスト3 性的対象の膣内に陰茎を挿入せよ。

「何言ってんだ雄介? 童貞をこじらせ過ぎて頭おかしくなったか?」

 僕が文字列の内容を説明すると、馬ずらでぬぼーっとした老け顔の田中先輩がさらに老け込んだような顔になった。

「うわぁ~、ユウくんって実はムッツリスケベさんなんだぁ~!」
「ふぎゃぱっ?!」

 いつの間にか僕の目の前に立ち塞がり、ほわほわした調子で声をかけてきたのは、サークルの紅一点――香澄さん。
 茶髪セミロングに優しそうな大きな瞳と少しポチャ目のマシュマロボディが。
 一目見たら「ママーッ!」と叫びたくなるほど母性に溢れる大学のマドンナ。
 ちなみに香澄は苗字で下の名は京香さんである。

「きゃはっ! 今日のユウくんおもしろぉ~!!」

 見下ろすと、酔って赤味の差した満面の笑みでしゃがみ込んで僕を見上げている香澄パイセン。
 恥ずかしくなって視線をもっと下に反らすと無防備にさらけ出された推定Hカップの胸の谷間が……。

「ささ、雄介の戯言はほっといて次の店行くぞ皆の衆!」

 ちっ……、せっかく酔った勢いでマシュマロおっぱいをガン見してたのに!
 香澄パイパイ様との間に割り込むように入ってきた馬ずらの田中に肩を掴まれ、何次会だか分からない飲み会に引っ張られていく僕であった。

 と、ここで前夜の記憶は途切れていた。
 翌朝、自宅のベッドで起床した事実から、無事帰宅出来たのは判るんだけど……。

「酒、怖っ――!!!」

 と、まずは酒で初めて記憶を失くした二十歳の夜を噛みしめていた。
 じつのところ、もっとトンデモナイ事態に巻き込まれていたと実感するのは更に後になってからだった。

 そう……、僕がわけのわからないデスゲームに巻き込まれていたという事を……。
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