エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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第二章

9☆

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 文化部フロアにある倉庫から脱出した僕は、急いで職員室へ戻った。
 美波先生のデスクの前で彼女を待っていたが、5時限目が始まりそうな時間になってもやってこない。
 そのうち授業のある先生は職員室から全て出払ってしまった。
 このままでは授業に遅れてしまうと思い、僕は近くにいた中年の男性教諭に聞いてみることにした。

「すみません。美波先生を見ませんでしたか?」
「あー実習生か?」
「はい」
「美波先生、お昼休みはあまり職員室に立ち寄らないからなぁ」
「えっ? そうなんですか! でも、僕、次の時間も授業が有るんです!」
「はぁ……、指示待ち君かぁ。あのね、そういう時は直接教室に行けば良いだろ?」

 えっ! でも、今日は初日だし見知らぬ野郎が勝手に一人で教室入ってたらヤバくないっすか?
 などと、言っても無駄だよな。
 完全に「近頃の若いもんは!」モードに入ってるみたいだし、このオッサン先生。

「ありがとうございました! 教室に向かいます」

 僕は元気よく頭を下げて、職員室を飛び出した。

 流石に廊下を走る訳にも行かないので、スタスタと速足で僕にとって今日最後の授業が行われる2-Eの教室へと急ぐ。
 しかし、教室へたどり着いたのは午後の授業が始まるチャイムが鳴ってから3分ほど後になってしまう。

「すみません! 遅れました!!」

 教室の扉を勢いよく開け放つと、ちょうど黒板に板書をしていた美波先生が振り返って口元を押さえた。

「あっ……そうだったっけ?」

 あれか……、完全に僕の事を忘れてたという奴?
 僕ってそんなに存在感薄いのだろうか?
 いやいや、どう考えてもボケすぎだろ美波先生……。

 一言、すみませんくらい言えばいいのに、僕を見やりながら硬直したままの美波せんせー。
 そんな午後一の教室が変な空気に包まれる中、生徒の一人から声が上がる。

「この人、カレシですかぁ~きらりんせんせー!」
「「「キャハハハハハハハハハハハッ――!!!」」」

 一限目の2-Cよりは可愛げのある嘲笑だけど、やっぱり舐められまくってるよな美波先生。
 なんか涙目で僕のこと睨《にら》んできてるけど、あんたの自業自得だからな!
 さっさと僕の事を紹介してくれないと、授業も先に進まないんじゃないの?

 一限目の時みたいに色々囃し立てられるのかと思いきや、スッと一人の生徒が立ち上がった。



「ほらほら、みんなそれくらいにしてあげて!」
「わかったよー!」「ちょっと茶化しただけだって!」「真尋《まひろ》が言ってんだから、みんな集中集中!」

 太陽のような笑顔まぶしいその女の子の発言から、生徒の皆が落ち着きを取り戻していった。
 なんだろう? 2-Cと違って、朗らかで明るい雰囲気がこの2ーEを包み込んでるようだ。
 その中心は、この真尋ちゃんだかいう明るい髪色のロングヘアと大きな瞳がキラキラ輝くかわいこちゃんから照射されてる、陽オーラとみて間違いなさそう。

「美波先生もそちらの実習生さんを紹介してくださいませんか?」
「あっ……ありがとう、芳川《よしかわ》さん」

 美波先生、祈る様に手を組んで真尋ちゃんを見ているよ。
 なんか、どっちが先生なのやら……。

 無事自己紹介も済んで、美波先生に代わり授業を進めていく。
 真尋ちゃんがまとめ上げてるみたいだし、このクラスは楽勝かなと思われた矢先。

「あのぅ……有栖川《ありすがわ》さん? 有栖川歌乃《ありすがわかのん》さん?」
「ほぇ~?」



 何度呼びかけてもボーっと虚空を見つめているセミロングのハーフツインロリ少女の席まで出向いて僕は声を掛けた。
 焦点の合ってない眠そうな目で僕を一瞥する歌乃《かのん》ちゃん。
 可愛い顔からヨダレをダラダラ垂らしてるけど、目を開けたまま居眠りでもしていたのだろうか?

「あのう……続きを読んで欲しいんだけど……って、それ数Ⅱの教科書っ!」
「ふわぁ~、ど~したの~?」
「今は国語の授業なんだけどね?」
「ふ~ん……ん?」
「どうかした?」
「あんただ~れ~?」
「教育実習生で来ている猪狩雄介というものですけど」
「へぇ~そうなんだぁ~」

 そう答えた後、数Ⅱの教科書を持ったまま虚空を見つめなおす歌乃ちゃん。

「あのっ! 国語の教科書は持ってないのかなっ?!」

 流石の僕でもイライラしてきて、声が大きくなっちゃったけど、それでも我関せずな歌乃さん……。
 ああ! 正に糠に釘状態だと途方に暮れていたところで離れた席にいた真尋ちゃんが駆け寄ってきた。

「ほらほら歌乃! 先生困ってるでしょ? はい、教科書を取り換えようね?」
「あ~芳川ぁ~! おいっすぅ~!!」
「はいはい……お昼を食べすぎたからお眠《ねむ》なのかな?」
「うんっ……い~っぱい喰ったお~!」

 真尋ちゃん、なんだか幼女をあやすみたいに、歌乃ちゃんの涎まで拭ってあげてるよ……。
 しかも、それをニコニコ顔で受け入れている歌乃ちゃんもどうなんだろう。

「はい、じゃあこっから読むんだよ? いい? わかったかな?」
「ふぁーい! わたしはしかし、このおんなのふぐなにくたいがへんにすきに……」

 真尋ちゃんのおかげで、どうにか授業も元通り進められそうだ。
 ありがとう真尋ちゃん! あんたは僕の聖母さまやぁ! と叫びたいくらいである。
 可愛くてニコニコ明るくて、周りの人への気遣いができるなんて素晴らしい女の子なんだろう!
 しかも、わりにおっぱいも大きくて美味しそうなナイスボディだし!
 こんな良い子をライバルの毒牙にかからせるわけにはいかないぞ!

「はい、そこまでで大丈夫だよ。よく読めたね歌乃ちゃん」
「ふぇっ?!」
「えっ?」

 なんか真尋ちゃんが幼女みたいに歌乃ちゃんを扱ってたから、僕も何も考えずに頭をナデナデしただけなんですけど?
 歌乃ちゃん、なんか怯えたような顔してるし!
 それになんだか、周りの空気が凍り付いてしまったような?!

「あの人、有栖川様の頭撫でてるよ」「すごっ! 怖いもの知らずだねぇ」「明日から来なかったりして」

 なんか僕、不味い事しでかしちゃいましたか?
 慌てて頭の上に置いたままにしていた手をどけて、彼女の顔を恐る恐る覗き見てみた。

「えへへ……」

 あっ、ニコニコしてる! どうやら、大丈夫みたい。

「有栖川様、お怒りにはなってないみたいだよ?」「ホントだ!」「血の惨劇は避けれたようですわ」

 なんか聞き捨てられない言葉がチラホラと……でも、そんなにすごい子なのかこの幼女?

 その後は何事もなく授業は終了、6時間目は職員室に帰ってひとりで実習ノートに取り組んだ。
 まぁ、本物の実習じゃなくて嘘で潜り込んでいるだけなんだけど、一応は指導教諭の美波先生には見て貰わなくちゃなんないし。
 第一、僕本来の学部は文学部でも教育学部でもなくって国際環境情報ユニバーサル政策学部だし。

 しかし、向こうの方では他の実習生が3人で集まりなんか楽しそうにお喋りしてるよ。
 いや、一人のチャラ男が一方的に話して、残りの女子二人がノートに取り組みたいのに苦笑いって感じか?
 なんか顔も良くないし空気読めない感じだから、例えライバルだとしてもそんなに気にしなくても良いだろうか?
 朝もこっち来んなオーラが凄かったし、下手に話しかけるより無視しておこう。
 どうせ、実習生女子はポイント対象外だし。

 6時限目が終わり、他の実習生も引き上げてくる。
 もう一人の老け顔男子実習生がチャラ男と話してるぞ?
 やっぱ、あいつらはライバルじゃないのかな?
 下手に喋って手のうちがバレたらまずいもんな。
 特に僕は妹の存在を知られたら、寝取られる危険があるし。

 美波先生に実習ノートを確認してもらいながら、僕はそんなことを考えていた。

「まぁ、良いんじゃないのかなぁ? それじゃ、部活に行きましょう!」

 適当にパラパラと僕の実習ノートを流し見るだけの美波先生。
 なんだか早く職員室から出ていきたいようにみえる。

 職員室から廊下に出ると、窓の外ではすでに運動部が活動を始めているみたいで、走り込みやキャッチボールなどをしている姿がチラホラ見える。
 妹のテニス部は確かもっと奥の方だったっけか?

 先生の後に続いて階段を登り最上階へ、昼休みに逃げ出した用具倉庫へと続く廊下の途中に目当ての部室があった。

「文芸部かぁ……」

 僕の出身高校にもあったような気もするけど、今一印象に残っていない。
 まぁ、僕が帰宅部であまり他人に関心が無かったってのもあるんだろうけど。
 中に入ると、長い8畳間が二つ縦に繋がっているこの部室。
 先生と二人だけだと、連れ込み旅館にでもやって来たみたいだ。

「さてと、お茶でも入れましょうか?」
「あっ! 僕が入れますよ! ってか、部員はまだ来ていないんですか?」
「あの子たちマイペースだから」

 この先生に言われるくらいのマイペースってどんな子たちなのだろうか?

「それと、水は廊下の水道で汲んできてね」

 と言うなり、上着を投げ出してだらしなく畳に突っ伏す美波先生。
 ほんと、すげぇデカイ太ももとお尻してんなぁ。
 あんだけムチムチしてたら、股の間の隙間なんて無いんだろうな。
 にしても、無防備過ぎないか美波先生。
 このままスカートめくり上げて、寝バックで犯したくなっちゃうよ。

「ん? どうかしたぁ?」
「いえいえ! 水汲んできます!」

 僕は慌てて充血した股間を電気ポットで隠し、廊下へ出ようと扉に手をかけ内側に思いっきり引っ張った。
 
「わわわっ?!」
「えっ?!」

 勢いをつけて開かれた扉の向こうから吸い込まれるように僕に突進してきた人影。
 そのまま追突された僕は、上がり框から畳部屋へと押し倒された。
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