24 / 108
騎士学校編
第24話 挑発
しおりを挟む
「はい、次!」
入学早々、ボコボコにされていく同級生たち。前世の世界で教師がこんなことをしたら大問題どころか新聞の一面に載ってしまうだろう。
「うっ……ありがとうございました」
嗚咽を抑さえながらもなお、礼儀を忘れぬ彼の姿はまさしく騎士の鑑だ。
「行きたくねえよお」
「こんなの拷問じゃねえか」
他の生徒たちはそれどころではないようで、すっかり萎縮してしまっている。これでは実力を発揮しきれないだろう。
「次、早く来い!」
「まったく。これだからBクラスになんて入りたくなかったのさ」
大口を吐きながら前へ出てきたのは、ナルシスト感溢れる男だった。彼は教師の男を指差すと、まるで証拠を突きつけるかのように叫んだ。
「この教師は無能者だ! そんな男に易々と負けているようでは話にならない。即刻自主退学することをお奨めする」
「ほお……?」
教師の口角が不気味に持ち上がる。
確かにこの人はスキルを使ったような仕草は見せなかった。でも、必ずしもスキルを持っていないとは言い切れないし、本当に持っていな買ったとしてもこれだけ多くのスキル持ちの生徒たちを軽く遇らったのだ。そんなに油断をしていて大丈夫なのだろうか。
「君はゼフィロス・マイストラだね。アーティファクトを商いにしている家柄の君がどうしてここにいるのかな」
「先生には関係な――」
「まさか、鑑定眼が使えないのか」
黙り込むゼフィロス、ニヤニヤと嘲るように笑う教師。この2人の戦いも、すぐに決着がついた。
風魔法を全身に纏ったとこまではよかった。しかし、教師の挑発に負けて飛び込んだのが最後、強烈なカウンターを顎に喰らい2メートルほど吹っ飛ばされて終了。
そこから男女関わらずスキル持ちの生徒たちがのされていくわけだが、僕はというと端っこで教師の弱点が無いかと観察していた。
「あ、あの……君」
どこかで聞いたような、無いような。そんな震える声が背後から聞こえた。
「バルトくん、だよね?」
「あ、イシュクルテさん!」
彼女こそ“神託の儀”の際に僕が一目惚れ……じゃなかった、初めて見た竜人族の少女であり、王国近衛騎士団アラン団長の娘でもある。
「まさか同じクラスだったなんて。もっと早く声をかけてくれれば良かったのに」
「いえ、私はその……友達とか要らない派だし」
何だか恥ずかしそうだ。アランさんとは違って結構人見知りなのだろう。
「あの教師、只者じゃないわ」
「やっぱりそう思う?」
「思う、じゃなくそうなのよ」
イシュクルテは近衛騎士団長の娘。だからこそ内部事情には詳しく、この教師のこともよく知っているらしい。
「まともにやっても勝てっこないわ。でもそうね、バルトなら負けないかもしれないわ」
「本当にそう思う?」
「だから、思うじゃなくそうなのよ」
「まだやっていない者はいないか?」
ここまでBクラスの3分の2を相手に完勝。残るは無能力で入学してきた生徒、そして僕とイシュクルテのみ。
「はい、やります」
先に手を挙げたのはイシュクルテだった。男として情けないが、負けないためのヒントがあるかもしれない。
「近衛騎士団長の娘だからって手加減はしないぞ」
「もちろんです」
彼女は正面突破ではなく、俊敏性を生かした動きで錯乱させる作戦に出た。一瞬で背後を取ったが打撃を当てることはできない。教師は彼女との距離を置き、様子を窺っている。
イシュクルテは再度回り込むふりをして、今度は正面から殴りかかった。
「危ない!」
叫んだが遅かった。
彼女の拳を寸前で避け、そのままの体勢で膝を腹部に入れ込んだ。当然、今回も教師の勝ち。
「さあ、君で最後だよ。確かバルトくんだったか、オームでは大変だったようだね」
妙にムカつく喋り方をする奴だと思いながらも、挑発に乗ってはいけないと深呼吸をする。
「実は警備隊の隊長さんとは昔からの中でね、まあ彼女らしい最期だったとは思うけどね」
「……先生、始めましょう」
「ふふっ、そうだね」
側頭部にある血管が1、2本切れる音が聞こえた。
入学早々、ボコボコにされていく同級生たち。前世の世界で教師がこんなことをしたら大問題どころか新聞の一面に載ってしまうだろう。
「うっ……ありがとうございました」
嗚咽を抑さえながらもなお、礼儀を忘れぬ彼の姿はまさしく騎士の鑑だ。
「行きたくねえよお」
「こんなの拷問じゃねえか」
他の生徒たちはそれどころではないようで、すっかり萎縮してしまっている。これでは実力を発揮しきれないだろう。
「次、早く来い!」
「まったく。これだからBクラスになんて入りたくなかったのさ」
大口を吐きながら前へ出てきたのは、ナルシスト感溢れる男だった。彼は教師の男を指差すと、まるで証拠を突きつけるかのように叫んだ。
「この教師は無能者だ! そんな男に易々と負けているようでは話にならない。即刻自主退学することをお奨めする」
「ほお……?」
教師の口角が不気味に持ち上がる。
確かにこの人はスキルを使ったような仕草は見せなかった。でも、必ずしもスキルを持っていないとは言い切れないし、本当に持っていな買ったとしてもこれだけ多くのスキル持ちの生徒たちを軽く遇らったのだ。そんなに油断をしていて大丈夫なのだろうか。
「君はゼフィロス・マイストラだね。アーティファクトを商いにしている家柄の君がどうしてここにいるのかな」
「先生には関係な――」
「まさか、鑑定眼が使えないのか」
黙り込むゼフィロス、ニヤニヤと嘲るように笑う教師。この2人の戦いも、すぐに決着がついた。
風魔法を全身に纏ったとこまではよかった。しかし、教師の挑発に負けて飛び込んだのが最後、強烈なカウンターを顎に喰らい2メートルほど吹っ飛ばされて終了。
そこから男女関わらずスキル持ちの生徒たちがのされていくわけだが、僕はというと端っこで教師の弱点が無いかと観察していた。
「あ、あの……君」
どこかで聞いたような、無いような。そんな震える声が背後から聞こえた。
「バルトくん、だよね?」
「あ、イシュクルテさん!」
彼女こそ“神託の儀”の際に僕が一目惚れ……じゃなかった、初めて見た竜人族の少女であり、王国近衛騎士団アラン団長の娘でもある。
「まさか同じクラスだったなんて。もっと早く声をかけてくれれば良かったのに」
「いえ、私はその……友達とか要らない派だし」
何だか恥ずかしそうだ。アランさんとは違って結構人見知りなのだろう。
「あの教師、只者じゃないわ」
「やっぱりそう思う?」
「思う、じゃなくそうなのよ」
イシュクルテは近衛騎士団長の娘。だからこそ内部事情には詳しく、この教師のこともよく知っているらしい。
「まともにやっても勝てっこないわ。でもそうね、バルトなら負けないかもしれないわ」
「本当にそう思う?」
「だから、思うじゃなくそうなのよ」
「まだやっていない者はいないか?」
ここまでBクラスの3分の2を相手に完勝。残るは無能力で入学してきた生徒、そして僕とイシュクルテのみ。
「はい、やります」
先に手を挙げたのはイシュクルテだった。男として情けないが、負けないためのヒントがあるかもしれない。
「近衛騎士団長の娘だからって手加減はしないぞ」
「もちろんです」
彼女は正面突破ではなく、俊敏性を生かした動きで錯乱させる作戦に出た。一瞬で背後を取ったが打撃を当てることはできない。教師は彼女との距離を置き、様子を窺っている。
イシュクルテは再度回り込むふりをして、今度は正面から殴りかかった。
「危ない!」
叫んだが遅かった。
彼女の拳を寸前で避け、そのままの体勢で膝を腹部に入れ込んだ。当然、今回も教師の勝ち。
「さあ、君で最後だよ。確かバルトくんだったか、オームでは大変だったようだね」
妙にムカつく喋り方をする奴だと思いながらも、挑発に乗ってはいけないと深呼吸をする。
「実は警備隊の隊長さんとは昔からの中でね、まあ彼女らしい最期だったとは思うけどね」
「……先生、始めましょう」
「ふふっ、そうだね」
側頭部にある血管が1、2本切れる音が聞こえた。
88
あなたにおすすめの小説
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
スキル買います
モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」
ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。
見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。
婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。
レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。
そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。
かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。
彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。
しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在……
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる