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第2章 テラドラックの怒り
第65話 法槌の音
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最高尋問官が木槌を打ち、短い休廷を宣言する。法廷内の空気は未だ張り詰めたまま、誰もがこの先の展開を予測しきれない状況に陥っていた──。
「すみません、お役に立てず……」
休廷中、キャプテンを始め僕と私服の海将はイルメナの勇敢さを讃えた。
「いえいえ貴女の【魅了】スキルがあったから、傍聴席を味方につけることができました」
「そうよ、本当に助かったわ。ありがとう」
彼女は法廷での姿勢とは打って変わって、憧れの海将からの激励に、今にも泣きそうな顔で頷く。
「……上手くいけばいいのですけれど」
法廷内の休廷が終わり、最高尋問官が厳粛な声で再び裁判の開始を告げる。
「では、これよりリラ中尉に対する国家反逆罪の審理を再開します」
代弁官ユークリッドが立ち上がり、重々しい表情で法廷全体を見渡す。
「私がここで最後に提示するのは、リラ中尉の潔白を証明するための決定的な証拠です。これにより、リラ中尉が犯罪組織に加担していたわけではなく、むしろ国家の利益を守るために危険な任務を遂行していたことが明白になるでしょう」
彼は手元の書類を持ち上げ、法廷に掲示する。その書類は、犯罪組織の幹部とのやり取りを記録した音声と、それを解読した文書だった。
「こちらは海洋騎士団の部隊が独自に収集した犯罪組織内部の記録です。
この魔導通信による音声記録の中で、リラ中尉が犯罪組織の幹部に語った内容が明確に確認できます。内容をご覧ください」
裁判長の指示で書類の一部が朗読される。
音声記録の一部抜粋:
犯罪組織幹部:「本当に信用していいのか? 裏切るようなことがあれば、ただでは済まないぞ」
リラ中尉:「裏切るつもりなどない。私の任務は、あなたたちの計画を成功させることだ。もっとも、それが最終的にどう使われるかは、私の知ったことではない」
この言葉は一見すると犯罪に加担しているように聞こえるが、ユークリッドは続けた。
「ここで注目していただきたいのは、リラ中尉が『計画を成功させる』と言いながら、『それがどう使われるかは知らない』と述べている点です。これは、彼女が組織内での信頼を勝ち取るための演技であり、実際には情報を収集し、犯罪組織を内部から崩壊させる意図であったことを示唆しています」
傍聴席に再びざわめきが広がり、尋問官が立ち上がった。
「興味深い解釈ですね、代弁官。しかし、それが彼女の真意だったとどうして断言できるのですか? リラ中尉自身がそれを証言できない以上、これだけで十分と言えるでしょうか」
「もちろん、これだけでは不十分でしょう。しかし、こちらをご覧ください。」
ユークリッドはさらなる証拠を提示した。それは、犯罪組織から部隊に送られた暗号化された通信記録だった。
リラ中尉がその通信を解読し、影魚に直接送信していた証拠が詳細に記録されている。
「これが何よりの証拠です。リラ中尉は犯罪組織内から国家に有益な情報を送り続けていました。この行動こそ、彼女が国家の利益を最優先していた証です」
◇◇◇◇◇
最高尋問官は全ての証拠を確認し、最終的な判決を下すために静かに口を開いた。
「本法廷は、提示された証拠に基づき、リラ中尉が犯罪組織に加担していたのではなく、その内部に潜入し、国家の利益を守るために行動していたことを認めます。しかし、その手法が極端であり、捜査本部への報告が欠如していたことは重大な問題です」
法槌の音が響く。
「よって、リラ中尉に対して次の判決を言い渡します。
国家反逆罪については執行猶予付きの有罪判決を下します。その代わり、騎士としての身分を即刻剥奪し、今後の軍務からの永久追放を命じます」
リラ中尉は静かに目を閉じた。その表情は失意と安堵が入り混じったものであった。
傍聴席からは賛否両論の声が上がるが、彼女自身がその決定を受け入れたことが明らかだった。
「すみません、お役に立てず……」
休廷中、キャプテンを始め僕と私服の海将はイルメナの勇敢さを讃えた。
「いえいえ貴女の【魅了】スキルがあったから、傍聴席を味方につけることができました」
「そうよ、本当に助かったわ。ありがとう」
彼女は法廷での姿勢とは打って変わって、憧れの海将からの激励に、今にも泣きそうな顔で頷く。
「……上手くいけばいいのですけれど」
法廷内の休廷が終わり、最高尋問官が厳粛な声で再び裁判の開始を告げる。
「では、これよりリラ中尉に対する国家反逆罪の審理を再開します」
代弁官ユークリッドが立ち上がり、重々しい表情で法廷全体を見渡す。
「私がここで最後に提示するのは、リラ中尉の潔白を証明するための決定的な証拠です。これにより、リラ中尉が犯罪組織に加担していたわけではなく、むしろ国家の利益を守るために危険な任務を遂行していたことが明白になるでしょう」
彼は手元の書類を持ち上げ、法廷に掲示する。その書類は、犯罪組織の幹部とのやり取りを記録した音声と、それを解読した文書だった。
「こちらは海洋騎士団の部隊が独自に収集した犯罪組織内部の記録です。
この魔導通信による音声記録の中で、リラ中尉が犯罪組織の幹部に語った内容が明確に確認できます。内容をご覧ください」
裁判長の指示で書類の一部が朗読される。
音声記録の一部抜粋:
犯罪組織幹部:「本当に信用していいのか? 裏切るようなことがあれば、ただでは済まないぞ」
リラ中尉:「裏切るつもりなどない。私の任務は、あなたたちの計画を成功させることだ。もっとも、それが最終的にどう使われるかは、私の知ったことではない」
この言葉は一見すると犯罪に加担しているように聞こえるが、ユークリッドは続けた。
「ここで注目していただきたいのは、リラ中尉が『計画を成功させる』と言いながら、『それがどう使われるかは知らない』と述べている点です。これは、彼女が組織内での信頼を勝ち取るための演技であり、実際には情報を収集し、犯罪組織を内部から崩壊させる意図であったことを示唆しています」
傍聴席に再びざわめきが広がり、尋問官が立ち上がった。
「興味深い解釈ですね、代弁官。しかし、それが彼女の真意だったとどうして断言できるのですか? リラ中尉自身がそれを証言できない以上、これだけで十分と言えるでしょうか」
「もちろん、これだけでは不十分でしょう。しかし、こちらをご覧ください。」
ユークリッドはさらなる証拠を提示した。それは、犯罪組織から部隊に送られた暗号化された通信記録だった。
リラ中尉がその通信を解読し、影魚に直接送信していた証拠が詳細に記録されている。
「これが何よりの証拠です。リラ中尉は犯罪組織内から国家に有益な情報を送り続けていました。この行動こそ、彼女が国家の利益を最優先していた証です」
◇◇◇◇◇
最高尋問官は全ての証拠を確認し、最終的な判決を下すために静かに口を開いた。
「本法廷は、提示された証拠に基づき、リラ中尉が犯罪組織に加担していたのではなく、その内部に潜入し、国家の利益を守るために行動していたことを認めます。しかし、その手法が極端であり、捜査本部への報告が欠如していたことは重大な問題です」
法槌の音が響く。
「よって、リラ中尉に対して次の判決を言い渡します。
国家反逆罪については執行猶予付きの有罪判決を下します。その代わり、騎士としての身分を即刻剥奪し、今後の軍務からの永久追放を命じます」
リラ中尉は静かに目を閉じた。その表情は失意と安堵が入り混じったものであった。
傍聴席からは賛否両論の声が上がるが、彼女自身がその決定を受け入れたことが明らかだった。
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