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万年寒鉄を求めて
高高度の低酸素環境に適応するタイプのJK
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「ドラマチックロープ!」
ヨイニが伸ばした手のひらからロープが伸びて山道の岩に引っかかる。
「グエッ」
振り子の原理でそのまま岸壁にベシャリとぶつかる。ヨイニが私の腰に腕を回して姿勢を安定させると、ロープが徐々に短くなって元々居た山道へ登って行く。
「ごめんアニー、助かったよ」
「い、いいよいいよ! それより面白いスキルだね!」
「冒険者のジョブで自動取得のスキルだよ。今の所あまり戦闘に役立つスキルは無いんだけど、ダンジョン攻略では何かと便利なスキルが多いかな」
「今、まさに助かった所だね」
そんなこんなと話をしていると、直ぐに山道へと辿り着いた。周囲を見渡すと、さっきまでうじゃうじゃと居たゴブリン達は跡形もなく居なくなっている。
「あの鉄球でゴブリン達も吹き飛ばされたみたいだな」
「ま、楽に進めるなら何でも良いよ」
そんなこんなでヨイニと2人また山道を登り続けると、ステータス画面に異常が発生した。
「げ、状態異常……酸欠だって」
「あー俺もだな」
山道の中腹、少し開けた位置で立ち止まる。
HPゲージがじわりじわりと減り始めていた。
「うーん、どうしよっか」
HPの減少は微々たるものだけど、これがずっととなると流石に厳しい。
頭を抱えて天を仰ぐ。
はるか上空におそらくモンスターと思われる鳥っぽい何かが悠々自適に飛び回っていた。
「うん、鳥?」
なんとなく眺めていると、その鳥はどんどん大きくなっていく。
翼を畳んで更に速度を増し、空気の壁を破り衝撃波を発生させて迫ってきた。
「うーん」
即座に動こうと思ったけど、ちょっと考える。
「アトラクトボール」
迫り来る鳥のモンスターへ腕を伸ばしてスタンと吹き飛ばし効果のあるスキルを放つ。
「アニー?」
「よっと」
落下予定地点から一歩分、飛び退く。
ズガァァァアアアアン!
工事現場でショベルカーが大きめのコンクリ塊を叩き割る時の様な音と共に大量の土煙が上がった。
「これ、中ボスかな?」
「う、うん……多分……」
煙が晴れた先には、頭から地面にめり込んでジタバタしている二メートルはある鳥の下半身があった。
犬○家の地面ニワトリバージョンだね。
「パイルバンカー」
既にHPの大半を失っていたそれにトドメを刺す。
モンスターはダメージエフェクトと共に光の粒子となって消えていった。
「ヨイニ、ちょっとポイントの分配してきていい?」
「ああ、ちょうど俺も同じこと考えてた」
「じゃ、また30分後に集合しよっか」
「ああ、了解!」
ログイン画面まで戻り、AIに呼びかける。
「AIさーん、種族レベルあげたいでーす!」
「承知しました。何レベルまで上昇させますか?」
「19まで!」
「条件を達成しました。併せて最適化を行いますか?」
「あっ待って! 他に弄りたい所がある!」
「承知しました。変更ポイントは残り50です」
眼前に表示されたキャラクターエディット機能を使って内蔵の造形を可視化して操作する。
「肺に気嚢をつけたいんだよね。試しにこれを猛禽類ベースにしてみて?」
気嚢とは鳥類なんかが備えている呼吸器官だ。
人は息を吸って吐く際に使い終わった空気と新しい空気が構造上入り混じるし、息を吐いている瞬間は酸素を吸収できない。対して気嚢はこれを分離して空気の流れを一方通行にして、息を吸った瞬間も吐いた瞬間にも常に新鮮な空気を肺に送る事ができる。
確かエンジンの機構にも似た様なのあったよね?
「承知しました」
眼前のプレビュー機能で肺が人間の物から猛禽類のそれへ置換される。
「うっわ、気嚢って結構おっきくなっちゃうんだね」
3Dのプレビュー機能で表示された私のミニチュアを指でグリグリと動かす。
「小さくすれば入るだろうけど、吸収できる酸素量が減っちゃうんじゃ意味ないしなぁ」
試しに管を伸ばして無理やり体に詰めてみる。
「うーん、これは流石に勇気がいる……腸取っちゃう? でも食事系のアイテムが使えないのは困るなー」
気嚢の管が肋骨の隙間を通って胸の内側に気嚢を納めてみる。
入ったちゃ入ったけど内蔵が肋骨より外側にあるのって色々問題じゃ無いかな。
胸部付近に攻撃を受けたら気嚢が破けて呼吸困難とか嫌じゃ無い?
「いっそのこと呼吸口を別の所に……あーそれだと喋れなくなっちゃうかー」
散々悩みまくった結果……最終的に肺の裏側やや下、尻尾と翼の付け根が合流している位置に気嚢を押し込む事に成功した。ちょーっと前気嚢の関係で肺の位置がギリギリな感じはするけど、ゲーム的には一応機能している。
「フォルムも変わってないし、運動能力にも弊害なし……尻尾と翼の付け根に弱点部位ができちゃったけど、胸部よりはだいぶマシだしよし、よしかな? 良しってことにしよう。ブラキオサウルスだって首元に第二の脳があったらしいし、同じ様な物だよね」
あれは脳っていうかどちらかと言うと増幅器って感じな気もするけど、まぁいっか。
決定ボタンを押して変更を確定させる。
「残りの変更ポイントは10です」
「残りポイントは全部最適化に回してー」
「承知しました。最適化を行います。最適化が完了しました」
詳しいことは分からないけど、ちょっと配置とはサイズのバランスが調整された。
次はLv20だし装備部位増えそうだね。
「さぁて、攻略に戻らないとね!」
ヨイニが伸ばした手のひらからロープが伸びて山道の岩に引っかかる。
「グエッ」
振り子の原理でそのまま岸壁にベシャリとぶつかる。ヨイニが私の腰に腕を回して姿勢を安定させると、ロープが徐々に短くなって元々居た山道へ登って行く。
「ごめんアニー、助かったよ」
「い、いいよいいよ! それより面白いスキルだね!」
「冒険者のジョブで自動取得のスキルだよ。今の所あまり戦闘に役立つスキルは無いんだけど、ダンジョン攻略では何かと便利なスキルが多いかな」
「今、まさに助かった所だね」
そんなこんなと話をしていると、直ぐに山道へと辿り着いた。周囲を見渡すと、さっきまでうじゃうじゃと居たゴブリン達は跡形もなく居なくなっている。
「あの鉄球でゴブリン達も吹き飛ばされたみたいだな」
「ま、楽に進めるなら何でも良いよ」
そんなこんなでヨイニと2人また山道を登り続けると、ステータス画面に異常が発生した。
「げ、状態異常……酸欠だって」
「あー俺もだな」
山道の中腹、少し開けた位置で立ち止まる。
HPゲージがじわりじわりと減り始めていた。
「うーん、どうしよっか」
HPの減少は微々たるものだけど、これがずっととなると流石に厳しい。
頭を抱えて天を仰ぐ。
はるか上空におそらくモンスターと思われる鳥っぽい何かが悠々自適に飛び回っていた。
「うん、鳥?」
なんとなく眺めていると、その鳥はどんどん大きくなっていく。
翼を畳んで更に速度を増し、空気の壁を破り衝撃波を発生させて迫ってきた。
「うーん」
即座に動こうと思ったけど、ちょっと考える。
「アトラクトボール」
迫り来る鳥のモンスターへ腕を伸ばしてスタンと吹き飛ばし効果のあるスキルを放つ。
「アニー?」
「よっと」
落下予定地点から一歩分、飛び退く。
ズガァァァアアアアン!
工事現場でショベルカーが大きめのコンクリ塊を叩き割る時の様な音と共に大量の土煙が上がった。
「これ、中ボスかな?」
「う、うん……多分……」
煙が晴れた先には、頭から地面にめり込んでジタバタしている二メートルはある鳥の下半身があった。
犬○家の地面ニワトリバージョンだね。
「パイルバンカー」
既にHPの大半を失っていたそれにトドメを刺す。
モンスターはダメージエフェクトと共に光の粒子となって消えていった。
「ヨイニ、ちょっとポイントの分配してきていい?」
「ああ、ちょうど俺も同じこと考えてた」
「じゃ、また30分後に集合しよっか」
「ああ、了解!」
ログイン画面まで戻り、AIに呼びかける。
「AIさーん、種族レベルあげたいでーす!」
「承知しました。何レベルまで上昇させますか?」
「19まで!」
「条件を達成しました。併せて最適化を行いますか?」
「あっ待って! 他に弄りたい所がある!」
「承知しました。変更ポイントは残り50です」
眼前に表示されたキャラクターエディット機能を使って内蔵の造形を可視化して操作する。
「肺に気嚢をつけたいんだよね。試しにこれを猛禽類ベースにしてみて?」
気嚢とは鳥類なんかが備えている呼吸器官だ。
人は息を吸って吐く際に使い終わった空気と新しい空気が構造上入り混じるし、息を吐いている瞬間は酸素を吸収できない。対して気嚢はこれを分離して空気の流れを一方通行にして、息を吸った瞬間も吐いた瞬間にも常に新鮮な空気を肺に送る事ができる。
確かエンジンの機構にも似た様なのあったよね?
「承知しました」
眼前のプレビュー機能で肺が人間の物から猛禽類のそれへ置換される。
「うっわ、気嚢って結構おっきくなっちゃうんだね」
3Dのプレビュー機能で表示された私のミニチュアを指でグリグリと動かす。
「小さくすれば入るだろうけど、吸収できる酸素量が減っちゃうんじゃ意味ないしなぁ」
試しに管を伸ばして無理やり体に詰めてみる。
「うーん、これは流石に勇気がいる……腸取っちゃう? でも食事系のアイテムが使えないのは困るなー」
気嚢の管が肋骨の隙間を通って胸の内側に気嚢を納めてみる。
入ったちゃ入ったけど内蔵が肋骨より外側にあるのって色々問題じゃ無いかな。
胸部付近に攻撃を受けたら気嚢が破けて呼吸困難とか嫌じゃ無い?
「いっそのこと呼吸口を別の所に……あーそれだと喋れなくなっちゃうかー」
散々悩みまくった結果……最終的に肺の裏側やや下、尻尾と翼の付け根が合流している位置に気嚢を押し込む事に成功した。ちょーっと前気嚢の関係で肺の位置がギリギリな感じはするけど、ゲーム的には一応機能している。
「フォルムも変わってないし、運動能力にも弊害なし……尻尾と翼の付け根に弱点部位ができちゃったけど、胸部よりはだいぶマシだしよし、よしかな? 良しってことにしよう。ブラキオサウルスだって首元に第二の脳があったらしいし、同じ様な物だよね」
あれは脳っていうかどちらかと言うと増幅器って感じな気もするけど、まぁいっか。
決定ボタンを押して変更を確定させる。
「残りの変更ポイントは10です」
「残りポイントは全部最適化に回してー」
「承知しました。最適化を行います。最適化が完了しました」
詳しいことは分からないけど、ちょっと配置とはサイズのバランスが調整された。
次はLv20だし装備部位増えそうだね。
「さぁて、攻略に戻らないとね!」
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