【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

文字の大きさ
31 / 149
万年寒鉄を求めて

ボスを倒すタイプのJK

しおりを挟む
「お待たせ!」

 ステータスの分配を済ませて元の場所に戻ると、既にヨイニが居た。

「いいや、俺も今来た所だよ。アニーは何のスキル取ったの?」

「え、スキルは取ってないよ。カオスルーラーの種族特典でちょっと肺の形変えただけ」

「へ?」

 編集中に確認していたけど、一応ステータスを確認する。
 うん、酸欠は解除されているし……何ならHPの自動回復量が上昇していた。

「逆に、ヨイニはどうやって解決したの?」

「俺は普通に、冒険者ジョブのジョブポイントで高地適応をとった」

「あーそっかーその手もあったね」

「肺を改造しようって発想が出てくる方が異常だからね?」

「まぁまぁ、とりあえずこれで山は登れる訳だし」

「それもそうだね、じゃあ行こっか」

 という訳で再び山道を登る。
 道中でまた性格の悪いゴブリン攻撃はあったけど、途中からそれもパタリと止まった。
 雪の降り積もる山頂付近、不自然に開けた場所へ出る。
 ヨイニが盾を構え、周囲を警戒しながら口を開く。

「そろそろかな?」

「うーん、そうだよねー」

 さっき戦った、戦った? 中ボスのパターンを踏襲とうしゅうしているなら来るはずだ。

「上だ!!」

 ヨイニが驚いて空を指差す。
 見上げると奇怪な生き物が大きな翼を広げて滑空していた。

「あっヨイニ走って」

 奇怪きっかいな生物は私たちを見つけると急降下して私たちを襲ってくる。

「うおぉぉおおおおお!!」

 ヨイニはゴリゴリのSTR型に有用な魔法スキル分のINTを最低限だけ割くビルドだ。
 当然AGIにリソースを割く余裕は無い。

「がんばえー」

 それでもかなり早いタイミングで走り出したのが幸いしたのか、謎生物の急降下攻撃をなんとかダイビングジャンプで避ける。
 私? ヨイニに避けられるなら当たる方が難しいよ。

「変なモンスター」

 ライオンの体に蛇の尻尾、鷹の翼が生えている。

「ああ、これはヌエって奴じゃ無いか?」

「知ってるの?」

「このゲームでは初めてみたけど、まあ……ファンタジーゲームなら割とお決まりのモンスターだな」

「ふむふむ……ヨイニが知らないって事は、割とレアドロップを期待しても良さそうだね」

 じゅるり。

「来るぞ!」

 ヌエが咆哮を上げて前足の鋭い爪で殴りかかってくる。
 ヨイニがそれを豪華で重厚な大盾で防ぎ、もう片方の手に持った大槍を突き出す。

「ギュエ!」

 ヨイニの大槍がヌエのガラ空きになった胴体へ浅く刺さった。
 彼は直ぐに槍を引き、再び大盾を全面へ構える。

「グギュァァアア!」

 ヌエの尻尾が奇怪な鳴き声を雪山へ響かせる。

「アンチライトニング!」

 空気の感じや肌の感覚から何となく行動を読んだ私はヨイニの前へ飛び出した。
 直後、蛇の尻尾から放たれた雷撃がより近くにいる私へ直撃する。

「アバババッ、そぉれどーん!」

 うぐぐ、地面が近すぎるから漏電ろうでんして結構ダメージを受けてしまった。

「ギャゥ!」

 私の投げ返した雷撃がヌエへ直撃する。
 放電してしまった分、威力は落ちてそうだけどスタン効果は発生した。

「ヨイニ!」

「おう!」

 後にいたヨイニが私の事を盾で大きく前へ押し出す。

「パイルバンカァァ!」

「グギャァァァアアアア!!」

 ヌエの脇腹に魔力の釘が深々と突き刺さる。

「スタンボール!」

 怯んだヌエへヨイニが電気属性の怯み攻撃を放つ。
 ヌエが怯む事を前提にしていないとできないタイミングだ。

「キヒヒッパイルバンカー!」

 怯んでのけぞっているヌエへかち上げる様にパイルバンカーを打ち込む。

「ギュァアアアア!!」

 尻尾の蛇が頭をブンブンと振り回す。

「わわっそれはマズイ!」

 周囲に炎の玉が形成されて次々と襲いかかってくる。

「アニー! 俺の後ろに!」

「ひえー!」

 ヨイニが大盾を構え、私はその後ろに隠れて丸くなる。
 彼の大盾にいくつもの炎の玉が命中するけど、HPの減り方は微々たる物だ。

「凡人種は火耐性が優秀だからな」

 私はスッと大槍を預かるとヨイニはアイテムボックスから水筒を取り出し一気に飲み干す。
 HP回復効果のあるドリンクでHPが回復していった。
 あっ大槍返すね。

「アトラクトボール!」

 最後の火球が終わるタイミングに合わせて前に飛び出して私の方へノックバックするスキルを放つ。
 サイズの関係もあってすっ飛んでくるって事は無いけどヌエは私たちの方に引っ張られた。

「エンペラーチャージ!」

 ヨイニが大槍を脇で固定しながら突撃する。
 彼の全身から集中線の様な特殊エフェクトがほとばしった。

「パイルバンカー!」

 私もそれに追いつき、パイルバンカーを打ち込む。

「ぎゅぅぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 ヌエが絶叫を上げて横たわった。

「素材ドロップかー」

 ヌエの鱗とか翼とかをゲットした。装備とかに使うんだろうけどよく分からない。
 食材はちょっと嬉しい。
 後で調理法を研究しよう。

「アニー、あっちに洞窟があるぞ!」

 ヨイニがヌエの降り立った場所の後方へ指を刺す。
 半分ぐらい氷で埋まっている入り口があった。

「むむ、お宝の匂い!!」

 ヨイニと2人、洞窟の奥へと進む。

「あれ、行き止まり?」

「いや、あそこ」

 ヨイニが指差した先は、一見するとただの行き止まりに見えるけどよく見たらそれは氷の壁だ。
 その奥はすりガラスの様になっていてよく分からない。
 
「とりあえず、壊してみる?」

「そうだな」
 
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...