魔獣使役で魔界生活~転生した先は魔王軍幹部の悪魔族でした~

UMA未確認党

文字の大きさ
21 / 67
第4章 神器防衛編

いざ、神器奪還へ!

しおりを挟む
「マ、マサムネさん…いつの間に?」
ラクサスの背後に立っていたのは黒髪を後ろに縛り、着流しを着た男だった。腰には今日は日本刀は提げていない。
「さすが影武者。足音一つ立てずに近づくのは朝飯前ですわね。」
「お褒めに預かり光栄だが…小生はそのために来たのではない。饗宴の日が来た。」
「饗宴?パーティーでも?」
「何年ぶりだろうかね。陛下が招集をかけて来た…」
そう言ってマサムネは考え込む。饗宴なのに浮かない顔だ。アルフレッドはそれを受けて
「これは何か動くのか?わざわざてめぇを差し向けてきた辺り呑気に城に向かえるほど余裕を持て余してるわけじゃあなさそうだな。」
「その通りだ……今すぐに小生の影の中に入ることを勧める。」
厨二病の彼の言葉を訳すと「魔王様がお呼びだから、早く集まれ。」と言うことである。
そう言うとマサムネは自身の影を巨大化させて広げた。
『影魔術。影の門』
マサムネは詠唱をしてラクサスとアルフレッド、そしてローシァの影に自身の影を繋げた。すると三人の姿が消えた。
(相変わらず気を失うのだけ難点だな。)
そうしてラクサスは目を閉じた。


目が覚めたのは広間の中だった。
「ガハハ!起きたか!マサムネの影魔術は便利だろう!」
「これは……転移魔法ですか?」
ラクサスの問いにアルフレッドは答える。
「そうだな!それでここは魔王城の広間だ。」
ラクサスが周囲を見回すとやはりローシァやマサムネに加えてエリスもいる。
「あら?アンタアルフレッドさんと一緒だったのね。」
そう言ってくるエリスに対してラクサスは
「あぁ。ちょうど成り行きでね…」

そんなことを言っていると相変わらずのロリ魔王がやって来た。
「皆来たな!これから饗宴の儀を始めようぞ!」
(饗宴?)
ラクサスがそう思っていると魔王は続ける。
「この度、我の呼びかけに応じてくれて嬉しく思っている!皆も知っての通り、先に遺跡の神器が盗まれた!」
辺り一面が動揺する。そこにエリスが手を挙げる。
「陛下。それは本当なんですか?アタシは神器なんて伝説上のものだとしか習いませんでしたけど。」
すると魔王は彼女に向かってうなずいて述べる。
「うむ、でも世界を滅ぼすほどの力を持ったものらしいというのは確かだ。それにあれが神器でなくともこちらの遺跡に無断侵入された件に関しては看過は出来ないぞ。」
魔王であるハンナはそう落ち着いた声で言う。するとアルフレッドが挙手する。
「陛下。一つよろしいか?」
「うむ、申してみよ。」
「盗まれた神器はもうあちらに置いて行かれたんでしょう。それをこれから軍を興して取り返しに行くってことか?」
それにはハンナではなく近くに居たドリアが答える。
「それをすれば向こうの帝国と正面から戦争をする羽目になる。下手を打てばこちらが滅ぼされる可能性もあるのだぞ。」
「ならこのまま見過ごせって?そりゃあ納得できねぇなぁ!」
そう言ってアルフレッドは拳を握りしめる。すると…
「クフフ…心配はないぞ。アルフレッド殿。」
そう言ってマサムネが眼帯を手で覆いながら壇上に飛び上がる。
「その神器、魔王軍幹部の小生が取り戻して来よう。クフフ腕がうずくぞ…」
マサムネはド級の厨二病であるため、神器と聞いて血が騒ぐ性分らしい。無論そんなことラクサスにはあまり関係がない。
「マサムネさんは神器の場所が分かっていますの?」
ローシァが扇でマサムネを指し示す。マサムネはローシァに向き直って答える。
「恐らくあの帝国が神器を隠しているのはあそこだろうという予想はある。」
「予想?場所は確実に分からないのか?」
ラクサスはマサムネに問う。マサムネは頷きながら、
「すまないな。小生にも神器の気配を探ることは出来ぬのだ……だが小生が行けばその詳しい気配を辿れるだろう。」
そんなことを言っていると魔王ハンナが手を挙げる。
「では、マサムネよ。そなたに命ずる!帝国に忍び込み神器を奪還して参れ!そして我の前に持って参じよ。」
「了解いたしました。陛下。この命に代えても……」
そう言ってマサムネは頭を下げる。
ラクサスはこのやり取りを聞いて
(へぇ、あの人も頑張ってるんだなぁ。)と考えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

​【マグナギア無双】チー牛の俺、牛丼食ってボドゲしてただけで、国王と女神に崇拝される~神速の指先で戦場を支配し、気づけば英雄でした~

月神世一
ファンタジー
「え、これ戦争? 新作VRゲーじゃなくて?」神速の指先で無自覚に英雄化! ​【あらすじ紹介文】 「三色チーズ牛丼、温玉乗せで」 それが、最強の英雄のエネルギー源だった――。 ​日本での辛い過去(ヤンキー客への恐怖)から逃げ出し、異世界「タロウ国」へ転移した元理髪師の千津牛太(22)。 コミュ障で陰キャな彼が、唯一輝ける場所……それは、大流行中の戦術ボードゲーム『マグナギア』の世界だった! ​元世界ランク1位のFPS技術(動体視力)× 天才理髪師の指先(精密操作)。 この二つが融合した時、ただの量産型人形は「神速の殺戮兵器」へと変貌する! ​「動きが単調ですね。Botですか?」 ​路地裏でヤンキーをボコボコにしていたら、その実力を国王に見初められ、軍事用巨大兵器『メガ・ギア』のテストパイロットに!? 本人は「ただのリアルな新作ゲーム」だと思い込んでいるが、彼がコントローラーを握るたび、敵国の騎士団は壊滅し、魔王軍は震え上がり、貧乏アイドルは救われる! ​見た目はチー牛、中身は魔王級。 勘違いから始まる、痛快ロボット無双ファンタジー、開幕!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

処理中です...