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第14話 夕やけ 5月16日 金曜日
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翌日の5月16日、金曜日。
俺は校舎の廊下を一人で歩いていた。時間は夕方18時だ。窓の外はかなり日が沈んでいるのか薄暗くなっていた。
普段ならまだ、部活動をしている生徒たちの元気な声が響いている時間だが、来週の月曜日から中間テストが始まるため、今日は部活が禁止になっていた。
そのため、校内にはすでに人の気配はない。みんな今頃はおとなしく自宅や図書館などで勉強しているのだろう。
俺がなぜ一人で校内を歩いているかというと、教科書やノートを全て置いてきてしまったからだ。もちろん、忘れたわけじゃない。
5時間目の授業中にS級モンスターの討伐依頼が入ったため、俺はいつものように保健室に行くふりをして屋上から飛び立ち、現場に向かった。
練馬区の依頼だからすぐに戻れると思っていたのだが、その後、立て続けに7件も依頼が入ってしまい、帰ってくるのが遅くなってしまった。
まだ、東京都内だけだったらここまで遅くはならないのだが、任務のうち二つは新潟県と山形県からのヘルプ依頼だったため、戻ってくるのが少し遅くなってしまったのだ。
誰もいない廊下を進んでいき教室に入ると、窓から夕やけが見えた。水色から黄色、オレンジ色、ピンク色と空の色がグラデーションになっていた。
その光景が美しすぎて、俺は圧倒されてしまう。ところどころ浮かんでいる雲も夕日を受けてオレンジ色に輝いていた。
ゆっくり中へ入っていくとなんとなく自分の席に座った。机の上に上半身を倒し、項垂れながら窓の外を見る。
息を飲むような絶景を前に、俺はしばらくの間見惚れていた。遠くに細く見える飛行機雲や送電線の鉄塔ですらすごく美しく見える。
(綺麗だな……)
美しい景色を見ているとなぜだか藤野さんの顔が頭に浮かぶ。今日も、早退するまでは授業中にこそこそ話したりしてとても幸せだった。
藤野さんとは少しずつ仲良く慣れているような気はする。冗談だったとしても間接キスを勧めてくるぐらいだし、告白したらもしかしたら付き合ってくれるかもと思う瞬間は今までも何度かあった。
少なくともクラスの男子の中では俺が一番仲良いとは思う。授業中もこっそり話すし、ふざけ合ったりもする。
でも、藤野さんに好かれている確証は全くなかった。彼女は誰に対しても優しいし、仲良くできるタイプだ。俺だけが特別じゃないのかもしれない。それに俺に恋愛の経験が今までに無さすぎて、まったくわからなかった。
この前、宗玄には近いうちに告白するといったが、振られるのが怖くてなかなか踏ん切りがつかなかった。
断られた時のことを考えると、席替えをした後の方が良いのかとか、むしろクラス替えをした後の方が良いのかとか、弱気な考えが浮かんでしまう。
(情けないな。妖魔が相手だったらいくらでも無双できるのに……)
夕日が美しすぎる。俺は視線を夕日から隣の机に写した。藤野さんが微笑みかけてくる映像が頭の中で浮かんだ。
「好きだなぁ。藤野さん……」
「えっ!?」
突然最後で聞こえてきた女子の声に俺は戦慄した。恐る恐る振り返ると藤野さんが立っていた。
「えっ、ええぇぇぇーー、ふ、藤野さん!? どうしてここに?」
俺は気が動転してしまう。1番聞かれちゃ行けない人に聞かれてしまったかもしれない。心臓の鼓動が破裂しそうなほど早い
「駅前で友達と勉強してたんだけどさ、お弁当箱忘れちゃったから取りに。それよりも、今の言葉、ほんと?」
「い、いまの言葉って……」
「ほら、伊庭くんが、私のこと……」
藤野さんは少し照れたような顔をしている。だめだ、完全に聞かれてる。
「あ、ああ」
俺は頭をかきながら覚悟を決める。こうなったら仕方がない。
「うん。好きなんだ。藤野さんのこと。ごめん。なんか変な感じで……」
言ってしまった。ムードも何もない状況で……。とてつもない量の不安が胸の内から込み上げてくる。俺は、判決を待つ被疑者のような心持ちで藤野さんの言葉を待った。
「ううん。ありがとう。すっごく嬉しいよ!」
すると、藤野さんは弾けるような笑顔を浮かべた。顔を真っ赤にしながら照れている。なんだか凄く嬉しそうな表情に見えた。
(嬉しいって言ったぞ。これはもしかして、いけるのか? やばい!)
「あの、できれば付き合ってほしいんだけど……。だめかな?」
「だめじゃないよ! でも少し話したいことがあるから、今日この後時間もらってもいいかな?」
「この後……? う、うん。もちろん大丈夫だよ!」
「ありがとう! ちょっと待っててすぐに戻って来るから!!」
藤野さんはそう言い残すと満面の笑みを浮かべながら教室を出ていった。ずっとそばで見てきたからわかるが、あの顔は本当に嬉しい時の顔だ。間違いなく演技じゃないだろう。
(だめじゃないよって、普通に考えたらOKってことだよな……? えっ、付き合えるってこと? 今の状況はなんなんだ? この状況で藤野さんどこへ行ったんだ?)
俺は今の状況がよくわからずひたすらそわそわしながら藤野さんを待つしかなかった。
「お待たせ!! それじゃ行こうか!! 着いてきて!!」
数分後、教室に戻ってきた藤野さんはそう口にした。
「あ、ああ」
俺はすぐに教科書をカバンに入れ、藤野さんの後をついて行った。
どこに行くのか気になったが、すごく嬉しそうに隣を歩く藤野さんを見て、尋ねるのはやめておいた。
俺は校舎の廊下を一人で歩いていた。時間は夕方18時だ。窓の外はかなり日が沈んでいるのか薄暗くなっていた。
普段ならまだ、部活動をしている生徒たちの元気な声が響いている時間だが、来週の月曜日から中間テストが始まるため、今日は部活が禁止になっていた。
そのため、校内にはすでに人の気配はない。みんな今頃はおとなしく自宅や図書館などで勉強しているのだろう。
俺がなぜ一人で校内を歩いているかというと、教科書やノートを全て置いてきてしまったからだ。もちろん、忘れたわけじゃない。
5時間目の授業中にS級モンスターの討伐依頼が入ったため、俺はいつものように保健室に行くふりをして屋上から飛び立ち、現場に向かった。
練馬区の依頼だからすぐに戻れると思っていたのだが、その後、立て続けに7件も依頼が入ってしまい、帰ってくるのが遅くなってしまった。
まだ、東京都内だけだったらここまで遅くはならないのだが、任務のうち二つは新潟県と山形県からのヘルプ依頼だったため、戻ってくるのが少し遅くなってしまったのだ。
誰もいない廊下を進んでいき教室に入ると、窓から夕やけが見えた。水色から黄色、オレンジ色、ピンク色と空の色がグラデーションになっていた。
その光景が美しすぎて、俺は圧倒されてしまう。ところどころ浮かんでいる雲も夕日を受けてオレンジ色に輝いていた。
ゆっくり中へ入っていくとなんとなく自分の席に座った。机の上に上半身を倒し、項垂れながら窓の外を見る。
息を飲むような絶景を前に、俺はしばらくの間見惚れていた。遠くに細く見える飛行機雲や送電線の鉄塔ですらすごく美しく見える。
(綺麗だな……)
美しい景色を見ているとなぜだか藤野さんの顔が頭に浮かぶ。今日も、早退するまでは授業中にこそこそ話したりしてとても幸せだった。
藤野さんとは少しずつ仲良く慣れているような気はする。冗談だったとしても間接キスを勧めてくるぐらいだし、告白したらもしかしたら付き合ってくれるかもと思う瞬間は今までも何度かあった。
少なくともクラスの男子の中では俺が一番仲良いとは思う。授業中もこっそり話すし、ふざけ合ったりもする。
でも、藤野さんに好かれている確証は全くなかった。彼女は誰に対しても優しいし、仲良くできるタイプだ。俺だけが特別じゃないのかもしれない。それに俺に恋愛の経験が今までに無さすぎて、まったくわからなかった。
この前、宗玄には近いうちに告白するといったが、振られるのが怖くてなかなか踏ん切りがつかなかった。
断られた時のことを考えると、席替えをした後の方が良いのかとか、むしろクラス替えをした後の方が良いのかとか、弱気な考えが浮かんでしまう。
(情けないな。妖魔が相手だったらいくらでも無双できるのに……)
夕日が美しすぎる。俺は視線を夕日から隣の机に写した。藤野さんが微笑みかけてくる映像が頭の中で浮かんだ。
「好きだなぁ。藤野さん……」
「えっ!?」
突然最後で聞こえてきた女子の声に俺は戦慄した。恐る恐る振り返ると藤野さんが立っていた。
「えっ、ええぇぇぇーー、ふ、藤野さん!? どうしてここに?」
俺は気が動転してしまう。1番聞かれちゃ行けない人に聞かれてしまったかもしれない。心臓の鼓動が破裂しそうなほど早い
「駅前で友達と勉強してたんだけどさ、お弁当箱忘れちゃったから取りに。それよりも、今の言葉、ほんと?」
「い、いまの言葉って……」
「ほら、伊庭くんが、私のこと……」
藤野さんは少し照れたような顔をしている。だめだ、完全に聞かれてる。
「あ、ああ」
俺は頭をかきながら覚悟を決める。こうなったら仕方がない。
「うん。好きなんだ。藤野さんのこと。ごめん。なんか変な感じで……」
言ってしまった。ムードも何もない状況で……。とてつもない量の不安が胸の内から込み上げてくる。俺は、判決を待つ被疑者のような心持ちで藤野さんの言葉を待った。
「ううん。ありがとう。すっごく嬉しいよ!」
すると、藤野さんは弾けるような笑顔を浮かべた。顔を真っ赤にしながら照れている。なんだか凄く嬉しそうな表情に見えた。
(嬉しいって言ったぞ。これはもしかして、いけるのか? やばい!)
「あの、できれば付き合ってほしいんだけど……。だめかな?」
「だめじゃないよ! でも少し話したいことがあるから、今日この後時間もらってもいいかな?」
「この後……? う、うん。もちろん大丈夫だよ!」
「ありがとう! ちょっと待っててすぐに戻って来るから!!」
藤野さんはそう言い残すと満面の笑みを浮かべながら教室を出ていった。ずっとそばで見てきたからわかるが、あの顔は本当に嬉しい時の顔だ。間違いなく演技じゃないだろう。
(だめじゃないよって、普通に考えたらOKってことだよな……? えっ、付き合えるってこと? 今の状況はなんなんだ? この状況で藤野さんどこへ行ったんだ?)
俺は今の状況がよくわからずひたすらそわそわしながら藤野さんを待つしかなかった。
「お待たせ!! それじゃ行こうか!! 着いてきて!!」
数分後、教室に戻ってきた藤野さんはそう口にした。
「あ、ああ」
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