やがて最強に至る弾丸付与術士の成り上がり

彼方

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第13話 檜原ダンジョン

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 紗奈と再会した次の日の午前9時、俺たちは探索者協会桧原支部に来ていた。今は、パーティ登録をするために受付に並んでいるところだ。

 今朝も早朝からお客さんが押し寄せてきて、一日の分の魔法弾が7時半には売り切れてしまった。朝食を食べた後、コーヒーを飲んでゆっくりしているときに紗奈から

「この後暇でしたら、久々に一緒にダンジョンに行きませんか。私と優斗さんで行けば、一日でも結構稼げると思いますよ」

と誘われたのだ。

 俺はすぐに快諾した。ダンジョンを探索すれば、様々なアイテムや食材が手に入り、売れば金を稼げる。それに、以前開発した強化版の魔法弾も試してみたかったからだ。

 ちなみに桧原ダンジョンは桧原村郷土資料館のすぐ裏手に出現したダンジョンで、俺が住んでいる古民家から近いため車で10分ほどで来ることができる。

 俺たちの前には三人の男性パーティが並んでいる。腕に着けているブレスレットの色から、彼らがC級冒険者だとわかった。

 探索者はダンジョン入る際に名前が彫られたブレスレットをつける必要があり、下から順にE級が白、D級が青、C級が緑、B級が紫、A級が赤、S級が金、SS級が虹色となっている。

 俺と紗奈も右腕にそれぞれ、紫と赤のブレスレットをつけている。これが探索者にとっての身分証明書だ。

「ダンジョンに潜るのは久しぶりですか?」

「ああ。追放されてからは一度も来てないよ。だから三か月ぶりかな……」

「私もです。優斗さんがいなくなってから三か月間、日本全国のダンジョンを探し回ってましたから」

「えっ? そんなに探してくれたの?」

「当たり前じゃないですか!! すっごく心配したんですから!! そしたら、東京の桧原にいたんでびっくりしましたよ! 灯台下暗しでした。唯ちゃんに会えれば良かったんですが唯ちゃんがいる病院もわからなかったので……。携帯もつながらないし……」

「そ、そうだったんだ……あ、ありがとう。ごめんな。心配かけて……」

「いえ、もう見つかったので良いです……」

 どうしてこんなにも紗奈は俺を心配してくれるんだろう。そこまで好かれるようなことをした記憶はないのだが……。

 ただ、紗奈の優しさはとてつもなくありがたい。洋輔に裏切られてからというものずっと落ち込んでいたが、凍てついた心に陽がさすようだった。

 やがて前の冒険者たちが居なくなり俺たちの番が来た。

「こんにちは。本日はどのようなご用件でしょう」

 受付の女性は四十代前半に見える。グレーのスーツを着ている。黒縁メガネをしていてキリッとした印象だ。

「ダンジョンに潜りたくて来ました。その前にパーティ登録をお願いします」

「新規パーティの設立ですね。そうしましたら探索者ライセンスを、お渡しください」

 俺たちは腕からブレスレットを外し女性に渡した。女性はそれを機械に通した。するとパソコンの画面に俺たちの情報が表示されてようで、画面を食い入るように見つめていた。

「Aランク探索者の大嶺様と、Bランク探索者の加賀様ですね」

「はい」

「ようこそお越しくださいました。パーティの新規登録ですよね。Aランク探索者とBランク探索者のお二人で結成しますと、パーティランクはB級になりますけどよろしいでしょうか?」

「はい」

 パーティを結成する際はパーティメンバーの平均ランクによってパーティのランクが決定する。

 平均ランクがAとBの中間だった場合は下のランクが適応される決まりだ。あと一人Aランク探索者が加入しなければA級パーティにはなれない。

「そうしましたらパーティリーダーはどちらになさいますか?」

「私で」

「加賀様ですね。承知しました。パーティ名はどうしますか?」

 女性に聞かれ、俺は紗奈を見つめる。ここに来るまでの間に二人で話していた名前があった。

「ルクスでお願いします」

 紗奈が口を開いた。ルクスは紗奈が考えた名前なのだが、意味はよくわからない。音の響きが良いため俺も気に入っていた。

「ルクスですね。承知しました。他に使っているパーティはないので大丈夫です」

 女性は手際よくパソコンに情報を打ち込んでいく。

「登録が完了しました。ライセンスをお返ししますね」

 受付嬢が返してくれたブレスレッドを身につけて行く。

「B級パーティなので、クールタイムは7日間です」

「わかりました」

 クールタイムと言うのは、ダンジョンに再挑戦するときに開けなければいけない期間のことだ。

 ダンジョンはいつでも自由に入れるというものではない。日本全国で80万人の探索者がいるのに対してダンジョンは国内に351個しかないのだ。

 制限をかけなければダンジョン内が毎日探索者たちでごった返してしまうことになるだろう。

 そこで探索者協会が作った制度がクールタイムだ。

 パーティランクによってクールタイミングは差がつけられており、S級パーティが3日、A級パーティが5日、B級パーティが7日、C級より下のパーティは10日とされている。

「さて、加賀様、大嶺様、桧原ダンジョンの探索は初めてですか」

「はい」

「そうしましたらこのダンジョンの特徴をご説明しますね」

「桧原ダンジョンは2年前に出現したダンジョンです。東京にある8つのダンジョンの内では、一番新しいものになります。ダンジョンレベルとしては一番難易度が低いレベルⅠで、最下層が80階のダンジョンになっています。出現する魔物の特徴としては、氷属性モンスターが比較的多いので、耐性のある防具をお持ちすることをお勧めします」

「わかりました」

「また、今期のダンジョンは比較的寒い階層が多くなっているため、防寒具も忘れずにお持ちください」

「なるほど」

 受付嬢が今期のと言ったのは、ダンジョンが一定の期間で自動生成されるものだからだ。全てのダンジョンは一月一日、四月一日、七月一日、十月一日と、三か月に一回内部が作り替わるようになっている。

 これは、日本に存在している351個のダンジョンも世界に存在している約2800個のダンジョンも例外ではない。

「今期のダンジョンは地下30階までの地図が公開されています。お二人の端末に情報を送っておきますのでご確認ください」

「わかりました」

 受付の女性がパソコンを操作すると、スマホに地図が送られてきた。ダンジョン内の地図が探索者協会から送られるようになったのはここ最近だ。

 少しでもダンジョン内での死者を減らすための取り組みらしい。地図を見れるのは下層だけだが、3最短距離で深層に迎えるため手練れの冒険者たちにとってもありがたかった。

 ちなみに現在の序列は加賀様がBランクの129843位で、大嶺様がAランクの79位です。

「けっこう下がったな」

「仕方ないですよ。ダンジョンに行ってなかったんですから」

 全ての探索者はそれぞれのランクの中で序列をつけられていて、ダンジョン内での活躍により序列は上下する。俺は追放された時はBランクの96035位だった。たった三ヶ月で30000位以上も序列が下がってしまったようだ。

 紗奈もAランクの49位から77位に落ちてしまっている。これは間違いなく俺を追ってパーティを抜けたせいだ。かなり責任を感じてしまう。

 それでも、Aランクの序列77位はとんでもなく優秀な数字だ。というのも日本に探索者は約100万人しかいない。その中でA級以上の冒険者は3000人程度しかいないのだ。S級は日本に73人、探索者の最高位であるSS級は18人しかいない。つまり紗奈の上には180人程度しか探索者がいないことになる。

 俺のB級ランクの129843位と言うのも冒険者全体で見れば上位15%には入る数字なのだが、紗奈とか洋輔に比べると遥かに格下だ。

 ちなみに一度ランクが上がったら二度と下のランクに落ちることはない。なので俺もどんなに落ちてもBの150000位だ。

 しかし、やはり紗奈の手前、恥ずかしいので今回の冒険で少しでも序列を上にあげておきたい。

 手続きを終えると俺たちは受付を離れ、ダンジョンに続くゲートへ向かった。





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