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第14話 高性能AI
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受付を済ませると俺たちはロビーの奥にある階段を降りて行った。この先に檜原ダンジョンの入り口があるようだ。
階段を降りると少し広い空間に出た。目の前には空港にあるようなセキュリティゲートが3つだけ置かれており、その左右は高さ2メートルほどの金網で封鎖されていた。
ダンジョンに入るためにはこのゲートを通過しなければならない。これはどこのダンジョンも共通だ。
以前、どこかのダンジョンで無理矢理金網を乗り越えてダンジョン内に入ろうとした探索者がいたらしいが、探索者資格が剥奪された上に、何年かの懲役刑も受けたらしい。
「こんにちは。ダンジョンの探索をご希望ですか?」
俺たちがゲートに近づいていくと紺色の制服を着た30代と思われる男性に声をかけられた。おそらく彼は協会の職員だろう。
「はい」
「ではお二人のライセンスをこちらの機械に近づけてください」
俺たちは言われるがまま職員が持っていた端末にブレスレットを近づけた。すると緑色の文字で名前や探索者情報が表示された。
「B級パーティ『ルクス』の加賀様と大嶺様ですね。ようこそ起こしいただきました。えーっと、お二人とも前回のダンジョン探査から一週間以上経過していますね。これなら中に入ることができます。この先には店などはありませんが、回復薬などの準備はお済ですか?」
「大丈夫です」
「緊急時に使うタミエルは一本までにしてくださいね。二本目からは罰則になってしまいますのでお気を付けください」
「わかりました」
ゲートを潜ろうとすると左の金網の前に掲示板が立っており、そこには檜原ダンジョンの情報が載っていた。
檜原ダンジョン 2027年8月13日出現
難易度 レベル1
階層 80階
累計攻略者 29741人
完全攻略者10人
累計死者数893人
今年度死者数127人
(893人か、まだ少ない方だな……)
俺が前にホームダンジョンにしていた新宿ダンジョンは、三ヶ月前の時点でも累計死者数が5000人は超えていた。
これまでの死者数が893人と聞くと多いように思えるかもしれないがこれはまだマシな数字だった。
2034年現在、探索者という職業は老若男女問わずとても人気な仕事だ。S級以上の冒険者ともなれば余裕で5億以上の年収が得られるし、アイドルのような羨望の目を向けられることになる。
小学生が選ぶ将来なりたい仕事では、男女共に七年連続で一位を獲得している。
しかし、実際に探索者になる人は人口の1%以下と以外と少ない。それは魔法が発現する確率が少ないのと、この掲示板に書かれているように高い死亡率が原因だ。
ダンジョン探索は極めて危険な仕事だ。年間での死亡率は毎年4%を超えており、30人に1人は次の年を迎えられない。そんな厳しい世界に子供を送り出す親は少ないだろう。
しかし、この仕事には他にはない夢がある。俺は子供の頃から探索者になるのがずっと憧れだった。いくら危険な仕事であっても俺にとっては最高の仕事だ。
久しぶりのダンジョンに胸を躍らせながら俺は奥に進んで行った。
♢ ♢ ♢
地下一階は古代ギリシャの遺跡のような建物が並んでいるフロアだった。白い円柱状の柱がいたるところに立っている。しかし、その建物自体は崩れているところが多く、そのほとんどを植物に浸食されていた。
上を見上げると天井は高く、上まで20メートルはあるように見える。ここのフロアはかなり薄暗く、天井は真っ黒にしか見えなかった。
今までメインで活動してきた新宿ダンジョンとは違った景色に、俺は胸を躍らせた。
「なんかすごいな。新宿ダンジョンとまったく違う」
「新宿ダンジョンは洞窟状のフロアが多かったですもんね。私もこういう光景は初めてです」
見慣れない光景に、俺はダンジョン内をくまなく探検したい気持ちになってしまう。しかし、それをやると時間がかかってしまう。それに、ダンジョンのシーズンが切り替わってからもう二か月が経っているため、こんな低層に貴重なアイテムが残されている可能性はゼロに等しいと思い、やめることにした。
俺たちは先ほど受付で入手した地図を見ながら最短ルートを進んで行く。
ダンジョンを歩いていると、どこのフロアにも金色のカブトムシが天井や壁、木や柱などに複数とまっている。大きさは20センチぐらいはあるだろうか。日本に生息しているカブトムシよりもかなり大きい。
「ふふっ」
金色のカブトムシを見てつい笑いが込み上げてきてしまった。5年前、洋輔と2人で初めてダンジョンに潜った日の思い出が脳裏によぎる。
俺と洋輔はダンジョンに入って最初に見つけたあのカブトムシを夢中になって捕まえようとした。その見た目から高く売れそうだったからだ。
結局向こうのほうが素早く、全て逃げられてしまったが、後になり俺たちは自分たちがどんなに無知だったかを知った。
この金色のカブトムシはダンジョン内に生息する生き物ではなく、探索者協会が企業に依頼して開発した機械の昆虫だったのだ。
名前を「ガリレオ」と言って、探索者たちを評価するための機械昆虫だ。ダンジョン内の探索者たちの行動は、このガリレオにモニタリングされる。
ガリレオが撮影した映像は探索者協会が所有しているスーパーコンピュータ「ノイマン」に送られる。映像はわずかな時間で分析され、その結果を元に探索者ラングが変動するのだ。
詳しいことはよく分からないがノイマンには高性能A Iが搭載されているらしく、探索者のランクの評価は全てAIが行っているようだ。
探索者協会が発表している情報によると、戦いにおける戦闘力やサポート力はもちろん、下層への階段やトラップなどを見つける探知力や貴重なアイテムを見つける採集力など、ありとあらゆる評価基準で探索者を評価しているらしい。
評価されたランキングはダンジョンを出る時に自動的に変動する。俺の現在のランキングがB級の129843位だったから、今回の旅でB級の100000位くらいの位置にはなんとか上げたいものだ。
引き続き、やや薄暗いフロアを進んで行くと、高さ10メートルは超える木に、ガリレオがとまっているのが見えた。二つの緑色の眼で俺たちの動きを見ているのだろう。
太い木の幹に、ガリレオがとまっているのを見ると、洋輔と2人で木登りをした映像が思い浮かんできて辛い。
懐かしさの中に確かな痛みが混じっている。あの頃はあんなに楽しかったのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
「どうかしました?」
俺の様子の変化を感じ取ったのか紗奈が声を掛けてきた。
「いや、なんでもない。先を急ごう」
俺は冷静を装いながらそう答えた。
階段を降りると少し広い空間に出た。目の前には空港にあるようなセキュリティゲートが3つだけ置かれており、その左右は高さ2メートルほどの金網で封鎖されていた。
ダンジョンに入るためにはこのゲートを通過しなければならない。これはどこのダンジョンも共通だ。
以前、どこかのダンジョンで無理矢理金網を乗り越えてダンジョン内に入ろうとした探索者がいたらしいが、探索者資格が剥奪された上に、何年かの懲役刑も受けたらしい。
「こんにちは。ダンジョンの探索をご希望ですか?」
俺たちがゲートに近づいていくと紺色の制服を着た30代と思われる男性に声をかけられた。おそらく彼は協会の職員だろう。
「はい」
「ではお二人のライセンスをこちらの機械に近づけてください」
俺たちは言われるがまま職員が持っていた端末にブレスレットを近づけた。すると緑色の文字で名前や探索者情報が表示された。
「B級パーティ『ルクス』の加賀様と大嶺様ですね。ようこそ起こしいただきました。えーっと、お二人とも前回のダンジョン探査から一週間以上経過していますね。これなら中に入ることができます。この先には店などはありませんが、回復薬などの準備はお済ですか?」
「大丈夫です」
「緊急時に使うタミエルは一本までにしてくださいね。二本目からは罰則になってしまいますのでお気を付けください」
「わかりました」
ゲートを潜ろうとすると左の金網の前に掲示板が立っており、そこには檜原ダンジョンの情報が載っていた。
檜原ダンジョン 2027年8月13日出現
難易度 レベル1
階層 80階
累計攻略者 29741人
完全攻略者10人
累計死者数893人
今年度死者数127人
(893人か、まだ少ない方だな……)
俺が前にホームダンジョンにしていた新宿ダンジョンは、三ヶ月前の時点でも累計死者数が5000人は超えていた。
これまでの死者数が893人と聞くと多いように思えるかもしれないがこれはまだマシな数字だった。
2034年現在、探索者という職業は老若男女問わずとても人気な仕事だ。S級以上の冒険者ともなれば余裕で5億以上の年収が得られるし、アイドルのような羨望の目を向けられることになる。
小学生が選ぶ将来なりたい仕事では、男女共に七年連続で一位を獲得している。
しかし、実際に探索者になる人は人口の1%以下と以外と少ない。それは魔法が発現する確率が少ないのと、この掲示板に書かれているように高い死亡率が原因だ。
ダンジョン探索は極めて危険な仕事だ。年間での死亡率は毎年4%を超えており、30人に1人は次の年を迎えられない。そんな厳しい世界に子供を送り出す親は少ないだろう。
しかし、この仕事には他にはない夢がある。俺は子供の頃から探索者になるのがずっと憧れだった。いくら危険な仕事であっても俺にとっては最高の仕事だ。
久しぶりのダンジョンに胸を躍らせながら俺は奥に進んで行った。
♢ ♢ ♢
地下一階は古代ギリシャの遺跡のような建物が並んでいるフロアだった。白い円柱状の柱がいたるところに立っている。しかし、その建物自体は崩れているところが多く、そのほとんどを植物に浸食されていた。
上を見上げると天井は高く、上まで20メートルはあるように見える。ここのフロアはかなり薄暗く、天井は真っ黒にしか見えなかった。
今までメインで活動してきた新宿ダンジョンとは違った景色に、俺は胸を躍らせた。
「なんかすごいな。新宿ダンジョンとまったく違う」
「新宿ダンジョンは洞窟状のフロアが多かったですもんね。私もこういう光景は初めてです」
見慣れない光景に、俺はダンジョン内をくまなく探検したい気持ちになってしまう。しかし、それをやると時間がかかってしまう。それに、ダンジョンのシーズンが切り替わってからもう二か月が経っているため、こんな低層に貴重なアイテムが残されている可能性はゼロに等しいと思い、やめることにした。
俺たちは先ほど受付で入手した地図を見ながら最短ルートを進んで行く。
ダンジョンを歩いていると、どこのフロアにも金色のカブトムシが天井や壁、木や柱などに複数とまっている。大きさは20センチぐらいはあるだろうか。日本に生息しているカブトムシよりもかなり大きい。
「ふふっ」
金色のカブトムシを見てつい笑いが込み上げてきてしまった。5年前、洋輔と2人で初めてダンジョンに潜った日の思い出が脳裏によぎる。
俺と洋輔はダンジョンに入って最初に見つけたあのカブトムシを夢中になって捕まえようとした。その見た目から高く売れそうだったからだ。
結局向こうのほうが素早く、全て逃げられてしまったが、後になり俺たちは自分たちがどんなに無知だったかを知った。
この金色のカブトムシはダンジョン内に生息する生き物ではなく、探索者協会が企業に依頼して開発した機械の昆虫だったのだ。
名前を「ガリレオ」と言って、探索者たちを評価するための機械昆虫だ。ダンジョン内の探索者たちの行動は、このガリレオにモニタリングされる。
ガリレオが撮影した映像は探索者協会が所有しているスーパーコンピュータ「ノイマン」に送られる。映像はわずかな時間で分析され、その結果を元に探索者ラングが変動するのだ。
詳しいことはよく分からないがノイマンには高性能A Iが搭載されているらしく、探索者のランクの評価は全てAIが行っているようだ。
探索者協会が発表している情報によると、戦いにおける戦闘力やサポート力はもちろん、下層への階段やトラップなどを見つける探知力や貴重なアイテムを見つける採集力など、ありとあらゆる評価基準で探索者を評価しているらしい。
評価されたランキングはダンジョンを出る時に自動的に変動する。俺の現在のランキングがB級の129843位だったから、今回の旅でB級の100000位くらいの位置にはなんとか上げたいものだ。
引き続き、やや薄暗いフロアを進んで行くと、高さ10メートルは超える木に、ガリレオがとまっているのが見えた。二つの緑色の眼で俺たちの動きを見ているのだろう。
太い木の幹に、ガリレオがとまっているのを見ると、洋輔と2人で木登りをした映像が思い浮かんできて辛い。
懐かしさの中に確かな痛みが混じっている。あの頃はあんなに楽しかったのに、どうしてこんなことになってしまったんだろう。
「どうかしました?」
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