発情監禁ルーム - 発熱オメガはスパダリ隊長の番にされる -

雪兎

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第2話 理性と本能の狭間で

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レイは目の前に立つカイルを睨みつけた。

「……冗談、だろ……」

声はかすれていた。咳き込むような吐息の中に、甘い香りが混じる。自分の身体が発する匂いだと、嫌でも分かる。

フェロモンが止まらない。抑制剤は完全に切れていた。

「冗談に聞こえるか?」

カイルはゆっくりと歩み寄ってくる。いつもの無駄のない動作、冷静沈着な雰囲気のまま。だが、その目の奥に滲む何かが違っていた。

飢え――いや、執着。

「来るなッ」

レイは咄嗟に壁際の金属製の椅子を引き寄せ、盾のように構える。だが、身体はもう、思うように動かない。

足元に力が入らない。熱が、下腹部から全身へと広がり、脳まで溶かしていく。

「……抵抗する気力があるうちは、まだ理性がある証拠だな」

カイルは椅子に目もくれず、すぐ目の前まで来てレイの顎に指を添えた。

「触るな……っ!」

レイは怒声を上げようとしたが、それよりも先に、身体の奥がビクリと痙攣した。

「……は、ぁ……っ」

思わず漏れた吐息は、あまりにも艶を帯びていた。

「……発情期ってのは、便利なもんだな」

「なに、言って……っあ、ぁっ!」

椅子が音を立てて床に倒れた。レイはそのまま壁際に押しつけられ、カイルの手が制服の上から腰を強く掴む。

「やめ……ろ……!」

必死に拒もうとするが、カイルの手は静かに、しかし執拗にレイの身体のラインをなぞってくる。まだ服越しにもかかわらず、火照った肌が触れられるたびに震えた。

「俺は、お前の上官だ。だが今は、それ以上に……男だ」

囁くように言いながら、カイルはレイの耳朶に唇を這わせる。

ゾクリ、と背筋を這う感覚。理性が、崩れていく。

「ッ……お前が、番に……なったら……!」

「番にならなきゃ、ここからは出られない」

カイルの指が、レイの制服のボタンをひとつずつ外しはじめる。その手は丁寧で、まるで礼儀作法を重んじるように静かだった。

だがその奥に秘められた熱は、明らかに獣のそれだった。

「……やめろ……頼む……ッ」

レイは肩で息をしながら、涙を堪えるように目を閉じる。

「……レイ、お前が本当に嫌がってるなら、俺は無理強いはしない」

ふいに、カイルの動きが止まった。

「だが――」

次の言葉が、耳元にそっと落ちる。

「お前の身体が、俺を欲しがってる」

その瞬間、レイの脚から力が抜けた。

崩れるようにカイルに抱き止められた身体が、そのままベッドへと運ばれていく。

「――やめない、とは言ってない」

そう囁かれて、レイは初めて理解した。

この男は、決して声を荒げない。激情に任せて犯すような男ではない。

けれど、静かに、確実に、自分を蝕んでいく。

――寸止め。じらし。侵食。

発情と本能が溶けあう、終わらない密室の夜が、始まっていた。
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