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EPISODE28

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「ゴールデンウィークだァァァァァ!」
「よっしゃああああああああぁぁぁ!」
親父に続いて実莉まで叫びだす。
「旅行行くぞー!」
「行くぞー!」
待って、旅行は聞いてないよ。
「え?どこに行くの?」
「今回は沖縄だぁー!」
沖縄か行ったことはないな。
「明後日から3泊4日で行くからな。準備しとけよ。」
「うぃ。」
俺はそう言い、部屋に戻る。
ベッドにダイブする。
「ねぇ、修って勉強出来る?」
「結構得意だぞ。」
「そうなんだ。」
「・・・・・って、なんで実莉がいるのぉー?」
ここ俺の部屋だよね?うん。俺の部屋だ。
「折り入って頼みがあってね。」
そういえばこいつテストの手紙配られた時、妙にガクブルしてたな。
「紗菜のテスト勉強手伝って。」
「は?」
予想外の言葉に俺は戸惑う。どうせ実莉の勉強手伝えって言われると思ってたのに。
「紗菜ってね。あー見えて実はすっごくバカなの。私たちと同じ学校に入れたのも入試の過去問から何が出るか予測して何とか受かったから。」
は?過去問から予測とか最強かよ。いや、マジで。
「今回もそれやんの?辛くね?」 
「無理ね。入試みたく過去問がいっぱいある訳でもないし、それに紗菜のためにも勉強して点を取って欲しいから。」
何気に実莉っていい姉なのかもな。
「そうか。それで、紗菜ちゃんの学力はどんぐらいなんだ?」
「中学1年ぐらい?」
俺はそれを聞いて絶望しかなかった。
「でも、大丈夫。歴史だけだから。」
その言葉が唯一の救いだった。
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