「復讐の相手」

著恋凛

文字の大きさ
8 / 35

8話

しおりを挟む
「夕貴、俺がここを離れてから戻ってくるまで何時間ぐらいかかった?」
「うーん。だいたい19時間ぐらいかしらね。めっちゃ暇だったわ。」
まじか!そんなに意識失ってる時間長ったのか。オーストラリアからペルーまでは約一日。残り5時間ぐらいか。なら、無理に戦闘はしない方がいいな。
「私からも質問なんだけどさ、歩希って変な性癖持ってるの?」
・・・俺の頭を機能を停止した。
「いや、ないない。なんで?」
「だって、エマとハロンに師匠とか呼ばせて変な性癖なのかな?って思ったから。」
やっば、俺が言わせてるって思ってたのか。
「違うわ!なんか2人が言ってるだけだ。てか、ペルーに着いたらどうする?」 
悩む素振りを見せながら、
「まずはご飯食べに行きましょ。あ、でもその先に換金所でドルからソルにしなきゃね。」
今はエマとハロンは寝てしまい、俺らは一応護ってるって感じだ。
「2000万あるって言っても泊まる場所とか確保するなら結構飛んでいきそうだな。それに武器とかも必要だし。」
「そうね。それに仲間も増えればお金もかかるし。何か仕事しなきゃね。」
仕事か・・・・働きたくねぇなぁ。
「てかさ、オーストラリアに戻る?」
「うーん、悩むわね。ま、ペルーに着いてからでいいでしょう。」
「そうだな。」






数時間後、船が止まったのを確認してから逃げるように船から降りる。夕貴の元に戻ってからは犯人とは遭遇してないが、いつ来てもおかしくない。だから、さっさと海から退散する。そしてとりあえず、大通りに来た。
「あ、換金所あるし、行きましょ。」
そして、持っていた2000万中20万をソルに変えた。近くにある飲食店により、1日ぶりぐらいに食事した。
腹ごしらえを終えた俺たちは近くの空港まで来ている。
「で、どうするよ。オーストラリアに戻るか、このままパリで過ごすか。」
俺はそう言うと、みんな悩む。そして数秒後にハロンが口を開く。
「俺は帰りたくない。厳密に言うと、今は帰りたくない。借金取りとの追いかけっこなんて嫌だし。帰るならもう少し俺らがもっと強くなってからの方が俺はいい。ま、俺個人の意見なんだけどな。」
正直、俺と夕貴はどちらでもいい。日本を壊せるのならオーストラリアでもペルーでもどっちでもいいからな。でも、エマとハロンは違う。だから、2人の意見は大事にしたい。
「そうか。でも、エマは辛くないか?一応秘密警察、FOAに入ってるんだし。」
エマは俺たちを見てどこか決意をするようにして言った。
「私はピンチの時に見捨てる人の元より、ピンチの時に救ってくれる人の元にいたいです。だから、私はボスと師匠がどこに行くことにしてついて行きます。」
いやぁ、出逢ってまだ1日も経ってないのにここまでしたって言ってくれる人が仲間にいるなんてね。俺は嬉しいよ。
「あのさぁ、私今気づいたんだけど、」
その後、夕貴が俺たちの頭の端っこにもなかった盲点を突く。
「私たち全員、パスポート持ってないわよ。」
そして結果的に俺たちはパリに留まることになった。空港から出ようとした時、俺の耳に聞きなれた日本語の言葉と知っている人の名前が聞こえた。
「快知のバカー。なんでペルーなんだよ。俺らはオーストラリアに行く予定だったろ。」
「そんなに怒んなって拓斗。ペルーとオーストラリアって似てるでしょ。だから、間違えちゃったの。」
「は?ーしか合ってない上に文字数違いすぎだろ。はぁ、快知にチケットを取らせるんじゃなかった。」
「快知さん馬鹿っすね。マジで何やってんすか。」
「わかった。俺が悪かったのは認めよう。でも、春樹だってその日本刀のせいで荷物検査引っかかってたじゃねぇか。」
俺は声の聞こえた方に向かって走る。そこには確かに快知と拓斗、春樹の姿があった。急に出口とは逆方向に向かった俺に夕貴たちも着いてきている。
そして、あと数メートルという所で快知と目が合った。
「めっちゃ歩希と似てる人いるんですけど、オモロ。キャンユースピークジャパニーズ?」
俺に向かってそう言ってくる快知。
「黒歴史No.59 ある日の公園にて快知はボールをパンチした。そのボールは遠くに飛んでいき、やがて近くの線路へt…」
そこまで言う、
「まてまてまて」
と、止めてくる。
「いや、普通にここパリだから歩希いないと思ってさ。」
春樹と拓斗はスマホを見ていたが、歩希と言う言葉に反応し、こちらに向く。
「歩希!?なんでここに?」
「ブーメラン。と、言いたいけどそりゃそうだよな。俺は昨日までオーストラリアにいたけど色々あってペルーに来た。」
「俺らは歩希と夕貴ちゃんに会おうとな。てか、夕貴ちゃんは?」
そう拓斗が言った時に、ちょうど夕貴たちが到着する。
「ここよ。久しぶりね。3人とも元気にしてた?」
「僕は元気モリモリよ!てか、その人たち誰?」
快知はエマとハロンを見ながらそう訊く。当然の反応だな。
「オーストラリアで出逢った、エマとハロンだ。俺らの仲間だ。ある事をしようとしててな。」
「ある事?」
その質問に俺は少し悩みながら、
「ここじゃ、少し出来ない話だ。後で話すよ。」
「わかった。」
そして、俺はエマとハロンのために快知たちを紹介する。
「左から春樹、拓斗、さるだ。3人とも俺と夕貴の友達だ。」
エマはペコッと頭を下げながら、
「師匠の友達の春樹さん、拓斗さん、さるさんですね。よろしくお願いします。」
「ちょっと待って。僕はさるじゃない。快知!快知だからね。」
必死に訂正する快知を見ると少し笑えてしまう。てか、英語できたんだな。
そんでハロンはぶっきらぼうなままだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...