「復讐の相手」

著恋凛

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15話

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「んーん。久しぶりに日本料理食べたけど、やっぱり美味しいわね。」
夕貴は満足気な顔をしながら、椅子から立ち上がる。
「そうだな。ホント久しぶりに味噌汁飲んだ。」
俺と夕貴は今日用品を買いにショッピングモールに来ていた。そこで日本料理店を見つけたのでお昼を食べていた。
会計を済ませ、店の外に出る。
「買うもの買ったし、帰るか。」
そして俺らはショッピングモールから出る。
「どう?船の構造理解出来た?」
ペルーからアメリカに行くに当たって必要な物の船は俺が創る事になった。そして快知はアメリカでの拠点を。
あの能力は構造を理解しなけりゃ、創れないので今は船の構造を頭に叩き込んでる。
「もう出来たぜ。試しに小型のを創ってみたけどちゃんと動いたし。これでいつでも準備OKよ。」
船を作るのは難しいと思うが、構造を理解するだけなら、そう難しくない。だから、あっさり覚えることが出来た。
「みんなにもいつでも行けるように荷物をまとめてって言ってあるし、今夜にでも出発しようかしら。」
そう言う夕貴の言葉を聞きながら、俺はある場所を見つめていた。
ある場所とは・・・裏路地だ。日本人っぽい人が血相を変えて逃げるように裏路地に入っていった。完全に何かあると思った俺は夕貴にその事を話し、裏路地に行ってみることにした。



裏路地を覗き見るようにすると、奥の方にさっき見た日本人が壁際に追い詰められていた。そして追い詰めていたのも日本人。そいつの手にはサプレッサーを取り付けた銃が握られており、それを追い詰められている日本人に向けていた。
追い詰めていた日本人が銃のセイフティーを外すと同時に俺は悪魔の能力を使い、走り出す。
追い詰められている日本人までの距離は後3mほどになった時、野球のヘッドスライディングのようにジャンプして追い詰められている日本人を救う。
発砲音はしたものの俺も追い詰められていた日本人も被弾していない。
俺は立ち上がり、銃を持ったそいつを見ながら日本刀を作り出す。
「お前は誰だ?」
俺を睨めつけるようにしてその言葉を放ったそいつは銃口を向けてくる。
サプレッサーが着いているので発砲音が抑えられている。それ故にここで戦闘が起きているなんて誰も思っていないだろう。俺のグロックはサプレッサーをつけていないから使ったら絶対と言っていいほどに混乱が起こる。
「俺は前村歩希。DESTROYERSの一員だ。」
「DESTROYERS?聞いたことないな。一応言っとくが、俺は多良喜智。JERのボス。」
うーん。俺もお前のこと知らん。と言おうとしたがその言葉を飲み込む。
「お前はなんでこの少年を殺そうとした?」
その問いに多良喜と名乗るそいつは答える。
「JERを抜けようとした。それだけだ。こんなやつだがJERナンバーワンスナイパーだ。いなくなってもらっちゃ困るが、組織を抜けると言って、言うことを聞かない。この組織JERは抜ける=死なんだよ。」
「横暴だな。抜けることすら許されない。まるでブラック企業だ。」
「JERは秘密がいっぱいなんだよ。それが警察などに伝わったらめんどくさいからな。」
その言葉と同時にそいつは発砲。迫り来る銃弾を日本刀で防ぐ。
お返しと言わんばかりに俺は距離を詰め、刀を振るが銃で受け止められる。
「ハハッ、何気にやるな。ここで続けてもいいが、そのうち人が来るかもしれんから引かけせてもらうよ。また近いうちに攻撃を仕掛けるよ。じゃぁな。」
そう言うとそいつは消える。転移系の能力を使ったのだろうか?まぁ、どうでもいい。
「手伝った方が良かった?」
その言葉と同時に現れる夕貴。ずっと見ていたのだろう。
「いいや。でも、あいつは思ってた以上に強かった。完全に殺しにいった攻撃をあいつは防いだ。夕貴も聞いてただろ?あいつは近いうちに攻撃を仕掛けてくる。ガチで殺り合ったら無傷じゃ済まないだろうし、今日中にアメリカへと出発しよう。」
そして、俺は後ろを向き、救ったそいつに向かって言う。
「悪かったな、急に押し倒して。俺らはもう帰るから気をつけろよ。」
そして、俺と夕貴は帰路を辿る。




「ただいまー。」
そう言いながら、靴を脱ぎリビングに行く。
「おかー。ってそいつ誰?」
拓斗が俺の後ろを指指すと同時に俺も後ろを振り返る。
そこにはさっき助けたJERの一員がいた。
「ふぁ!?」
驚きのあまり声を出してしまう。ずっとつけていたのか?俺も夕貴も気づかずに。いやいや、そんなのありえない。
「いつから着いてきた?」
「裏路地から出た時からです。」
うーん。流石に気づかないはずがないと思うんだけどな。日常生活でも視線を感じれば、そちらを向く。つけられていると思えば、警戒する。なのに、今日は差程それは無かった。
「んで、なんでついてきた?」
そう言うと、少年はオドオドしながら、されど大きな声で、
「俺をDESTROYERSに入れてください!」
と、言うのだった。
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