「復讐の相手」

著恋凛

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32話

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前村歩希と言う人間はとても優しく、仲間思いな人間だ。
悪魔の能力を手にした時から殺し合いでも手加減してしまう・・・・敵の強さに合わせてしまう。本来であれば圧倒できる敵でも接戦になるように戦う。
前村歩希はほとんど死が確定した仲間のために戦場に戻り、最後まで仲間を見捨てない。それほどの仲間思いなのだ。
そんな彼が、ただの汚名返上という自己満足なためのだけに仲間が誘拐されたら、怒るのは当たり前。その怒りで彼は一時的に優しさまで無くしてしまった。




瞬間移動を使って、ケロッグの背後に移動して首の骨を折る。
倒れたケロッグを放置し、近くに落ちていた石に、滝の能力、強化の能力をコピーして思いっきり蹴る。
悪魔の能力は既に使っている。そんでもって本気で蹴ったので時速600キロは余裕出てる。
轟音を森の中に轟かせながら進む石は俺から約500メートル離れた所にいたスナイパーの心臓を貫き、やがて地平線の彼方へと飛んでいく。



俺は走る。敵を・・・888部隊を壊滅させるために。そして少し開けた所に出た。
そこにはあの時戦った双子とゴツイ男、それと手にナイフを持った男と西洋剣を腰にたずさえた男の5人がいた。
俺はそいつらを見下すように見ながら、前髪を右手でかきあげて、
「邪魔だ。だから、死ね」
と、言った。
突如、5人が一斉に動き出す。
日本刀を抜き、片っ端から攻撃を捌く。
短機関銃から放たれた銃弾を避け、ゴツイ男の心臓に日本刀を突き刺す。すぐに日本刀をゴツイ男の心臓から抜き、後ろから攻撃してきたナイフを持った男の首を斬る。
油断していた・・・横から迫り来る西洋剣。それを避ける方法はない。
肉を裂き、肝臓に突き刺さる西洋剣。とてつもない痛みだが、即死する程度ではない。
2式を使い、回復してすぐに西洋剣を避け、間合いを詰める。左ストレートを腹に叩き込み、鈍い音を響かせながら木に激突する西洋剣男。肋を粉砕骨折させ、内蔵も数個破壊した。そこから西洋剣男は動くことは無かった。
ジリジリと迫り来る長剣を弾き、後ろ回し蹴りを双子の妹の頭に食らわせる。数メートル吹っ飛んで行ったその双子の妹に俺はコピーで氷の矢を作り、心臓部分へと操る。氷の矢は正確に双子の妹の心臓に突き刺さる。
残るはあと一人、双子の姉だ。そちらを向くと恐怖に怯えた表情を浮かべていた。グロックを取り出し、発砲。双子の姉の肩に被弾する。一気に距離を詰め、持っていた短機関銃を真っ二つに斬る。双子の姉はその場に座り込み、肩を押さえながら、「やめて・・・殺さないで。ごめん・・・なさい。ゆる・・して」懇願するかのように小さな声量で呟く。目からは涙を流して恐怖で染った表情のその娘に俺は日本刀を突き刺した。




「お前相手にはオーバーオールとオーバースモールの併用は必須だな・・・・カノッシュ」
「前村歩希、話を訊け」
そんな言葉を無視し、地面がえぐれるほどの勢いでカノッシュとの距離を詰める。振り下ろすようにして大振りの一撃を叩き込むが、やはりと言うべきか・・・・鍔迫り合いになる。
「いいから、話を訊け!」
「うるさい!俺はお前らを全員殺す!」
鮮やかに叩き込まれる連撃。これ以上ないほどに多い手数をカノッシュは全て捌ききる。
「話を訊けって!」
「黙れ!」
カノッシュに攻撃しようとした瞬間、俺の左腕が「ボタッ」と言う音を立てながら地面に落ちた。とめどなく流れる自分の血液を無視しつつ右手で懐からナイフを取りだし、カノッシュに斬りつけようとするが、「こんなのおかしい」カノッシュが放った一言で俺は攻撃をやめた。
「なぜ、自分たちの力不足で負けた相手に逆恨みをして誘拐までする?そんなのおかしい。だろ?前村歩希」
俺は徐々に正気に戻っていき、頭が冴えてくる。それと同時に左腕からの激痛が来る。
思わずしゃがみ込んで左腕を押さえながら叫びにならない叫びをあげる。
「お前の能力ならまだくっつけれるだろ!」
そう言い、左腕をカノッシュが切断面に押し付けてくるので2式を使う。
くっついた感覚はある。痛みも無くなり、落ち着くために大きく深呼吸した。
「前村歩希・・・お願いだ。888部隊を壊滅させろ。この部隊は名声から異様にプライドが高くなってしまった。それと同時に狂ってもいった。一度負けただけで犯罪をする程度にはな」
「え?ちょ?なんで仲間であるお前が壊滅させろなんて・・・・」
カノッシュが言った言葉を頭で再確認し、やはりおかしいと思ってしまう。大事な仲間を壊滅させろなんて言うとは・・・・
「もう終わりなんだよ!お前が来なかったら俺が壊滅させていた、この部隊をな。それとお前らDESTROYERSも」
DESTROYERSも、ってのは多分仲間が連れ去られたのにほったらかしにしていたからだろう。
「どうせもう残っているのは俺とファッサだけだろ?俺は888部隊を抜ける。後はファッサだけだ。お前が・・・・お前がファッサを殺せ」
さっきまでの堂々とした感じの様子はなく、お願いするかのように言うカノッシュ。俺は暫し悩んでから質問する。
「なんで自分でファッサを殺そうとしない?」
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