あのときは泣きたかった。

さとなか達也

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エピソード5

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    「日直さん。」
 「・・では、学級委員長から席替えの発表があります。」

 堀が貫録ある感じで立ち上がる。
 「・・席替えです。」

 「しみじみ言うなよ。」

 康太が言う。今日の席替え、やはり楽しみにしていた。3時間目での席替えで心をリセットするには一時間は長いが、席替えでまた新たな環境で、勉強できる・・。とりあえず、部活で忙しくなる高校までは勉強しなければ・・。特にやることもないからトレーニング・・だけでは・・小学生、中学生は渡っていけないのだ。所属する野球チーム、北海道ホエールズの先輩も、高校に行けば勉強なんかできなくなる・・。メジャーは英語さ。なんて話しているから。トレーニングと、学習は俺にとって、5対6なのだ。・・あれ、もしかして、計算違ってる?割合でも防御率が、0,1の表記があるからそう考えてしまうのだ。もしかして、ちょっと、春先でも頭がが固いかな。


「やった、中央から2番目。」
ホリーが言う。

「・・なんだ、6月はお隣さんか。」
「えっ康太?」

「小説でも書くか・・お隣さんは中央2列目のお隣り野球ばか。」

「そんな、馬鹿がつくほど、クラスでがんばっている人の隣だなんて。」

「席替えが終わっても、意外に冷静だな。」

「ああ、康太が2列目なら今月は問題ない。十分、俺とも距離が離れている。」

「隣なのに?」

「友情何て踏み込めないから美しいのさ。」

「えっ、要するに、次の学級委員長の候補二人組で実は争っているって感じじゃないの?」

「いやいや・・。」
結局、狭い環境がいやなのだ。隣の野球を知っている奴がいる、だから、嬉しい。でも、問題はない、と表現したくなるのだ。別によくても、問題になることは、大人になればわかることだが、席替えができるなんて、小中高生の学生限定だ。今じゃ、携帯電話、スマホの学割なんて言うけど、それを聞くたび、なぜか、どきどきした席替えを思い出すのだ・・。ああ、違う、ホリーの隣だからどきどきしているわけじゃない。席替えをしてからの体育の授業が楽しみでどきどきしているのだ。

まあ、誰でもスポーツの得意な人はスポーツが好きな人が多い。それが小学生には少し半端なくらいがちょうどいい、中学生になって夢中になって、高校では甲子園・・。

康太の夢はもうすでにここから始まっているのだ。

「キンコンカンコーン。」

また、鐘が鳴る。
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