あのときは泣きたかった。

エピソード54

「野球に恋してる・・。」
「そう言うことですよ、堀さん。」
「まだ、そんなごまかしは、フォアボールを増やすだけですよ。」
「まあ、そんなことは言わず、踊ってみてくれよ。上川君・・。」
「じゃあ、軽いタップと走塁を重視した初夏の踊りを見せましょう・・。それで、フィギャアスケートの場合だと、踊る前に名前を付けることになっていますが・・。」

「そうなんだよな。」
「ええ、難しいんですよ。体重は均一、右投げ、左打ち、ひねりや回転・・融合すれば結果は出ます。・・でも。」
「それには怪我の危険がある・・。でも自信のある足を使いたいなら、足だけで話題が呼べないならば野球にする・・。」
「それベストでしょ。」
　堀は言った。
「あのみなさん、過去の美しい思い出を感じません？踊りの前には拍手というのが、その世界のきまりなんですけど・・。」
「じゃあ、その名もルンルンサムサム。」
　
「どこのイタリア詞ですか？とりあえず、意味を聞かせてください。」
「ルンルン上川、寒む寒む上川。」
　
「・・いいな、それ。」
「今度取りあえず、オフシーズンでも映像見せてあげます。」
「それにしても、初夏に寒む寒むなんて、一生意味合いが通じてしまいそうですね・・。」
　
「雪が降ったり？ほっほっほ。」
　
「ホリーやめとけ、ほっほっほなんて。」
　
「冬が来ちまうじゃないか。」