あのときは泣きたかった。

エピソード57

　北の大地、特に北海道ホエールズJrは、掛け声を出すのにはその先の結果を知って上で、声を掛けるよう指導をしている・・。それはものすごく大変な作業で、練習には厳しいものがある・・。北海道ではそうして直接的でなくても指導をしている様子が伺える。しかし、この北海道ホエールズJrは、そこをあえて練習にしているのだ・・。この勘の鍛え方が、多くの有名選手を生み出す指導力になっているが、それを理由にチームを去る人も多い。もちろん、ウィンタースポーツに富んでいる地方だから、どの道を行ってもしっかり、仲間作りと、その友情さはどのスポーツでも負けてない・・。第２次バスケットボールブームの子供とあって、そのような体育館で年中鍛える人もいれば、南のダンスを覚えている人もいる・・。
　その中でも、どれだけ次の動きで掛け声があってそれをプレーに当てて、勝利に導くか、その数の多さでプロ野球への道は開けていく・・。山口はそう思っていた。これまでチームを去った人のためにも、野球をするときは同じ表情をすると思っている人が多いが、プロはそうじゃない・・。そのため、そこへ近づけるためにはどうするべきか・・。それはセンスや努力の上を行ったものだ。あきらめたものはもうその厳しさを知って、いずれ大人になり、子供も生まれ同じスポーツをやらせたり、見せたりする・・。父の達成できなかった夢を伝えるのはほぼできないし、だからこそ、ここまで野球ブームは起きている。それは夢が諦めれば、そう、教えるのが怖い・・。だから、子供にこうして体を動かして、一緒に色々な夢を追いかける・・。でもそれを教えるのはその経験だけじゃない・・。元々持っていた夢だ・・。それを背負うのは簡単なことじゃない・・。だからこそ、次のことを予測し、得点を入れる、そして勝利に導き、優勝し、そこでしっかり結果を残す・・。プロ野球への道とはそんな夢のよう・・。でもだから、俺が投げていると山口は思っている。