あのときは泣きたかった。

エピソード68

　内野手で指揮を取るにはそれが一番必要だ..。
「宣誓。私たち６年生は宿泊において、みんなと協力し、友情を深め、学習という理念を学び、仲間の大切さを重視した4日間にしたいと思います。」

　..さすが、遠征までも予測していた..小学生に上がる前の野球を一緒に見ていたとは思えない..。ホリーはこの数年間で十分すぎるほど成長していた..そんなに無理して言わなくても、いいじゃないか..。そこから、中学に上がれば野球の得意で今までの成績が仲間から憧れに変わるのだ..。それなのに..。
　山口は珍しく涙腺が少しゆるくなるのを感じていた。

「さて、野球とも4日間お別れだ。頼むぞ、今週の週末を、上川。」
「..。」
「すまん、寒かった..。」
「山口さん、大丈夫です..。初夏の夏ですから..。」
「やっぱり？」
「さっ、合唱の練習を軽々逃れるようなことはするなよ・・。」
「合唱だって、数日間に一回は休まないと..。」
「山口くん、大丈夫だ。」
「上川、声変わりには気をつけろよ..。合唱というのは皆で合わせて歌うもんだからな..。」