あのときは泣きたかった。

エピソード100

　「走り切ったら休息が一番なのに・・、特に陸上競技は？」
　「まあ、フィギャアと同じ、点数が出てるんだから、遠藤さんからすれば、華をもらっているような感覚なんだろうな・・。」
　「全く、来年一緒にプレーするつもりなのに・・何考えてんだかな、ホリーさんは。」
　「全く、謎だらけだ・・。」
　「・・先輩答えになってないっす・・。」
　「・・すまん。」
　「堀。」
　「はい。監督。」
　「今年はJrの全国大会出るぞ。再来年は、道内で開催だ・・。今年は、絶対に出るぞ。」
　「はい。」
　堀は力強く答えた。陸上競技場のすぐ裏手で言われるとは、不思議だ・・。でも、何かが繋がっている気がした・・。それが堀には何か・・なの・・か。わからなかった・・。そう、わからないものなのだ・・。わからない・・そんなものなのだ。違う競技を見るなんて、実際にやってみなければ、自分の気持ちだけが、競技結果に反映される・・。
　だから、スポーツなのだと思った。でも、こうして、全国でもトップの記録を見に行くなんて、やはり、今年の監督は、少なからず、全国に近づけたいと必死なのだろう。
　何しろ、俺は、背番号６番、ショートの、ホリーなのだから・・。
　少し、恥ずかしかったり、誇りがあったり、混ざり合ってるからホリーだと言われる・・。
　どんな形でも、それを崩すような、触れ合いはしない・・。
　今は、進路で悩む時期ではない・・。結果で悩む時期だ。
　全国大会予選を迎えようとして、堀は気持ちを改めて、強く思った・・。・・強く、強く。