あのときは泣きたかった。

さとなか達也

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エピソード135

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   「ナイスピッチ。康太。」
 ホリーも声を掛ける。
 「ありがと。」
 
 よし、一年生の実戦練習終了・・。

 ホエールズの一年、2番目の選手としてグランドを守ることができた・・。

 まさに、城に一人の男・・。そんなはずはないと、チームに証明しなければピッチャーは成り立たない・・。

 一年生でありながら世代であることは間違いない・・。それは明らかだ・・。
 一強ピッチャーには必ず弱点が来る・・。それは試合で現れてくる・・。
 
 例え、120キロまで早い速球と変化球・・。しかし、それは一人ピッチャー相手の逆ホームラン競争ではない・・。

 チームとして野球というべきもののあり方・・。


 それがきっと野球だけではなく人生にも関係してくる・・。

 スポーツを掛け持つ素敵な先輩がいる・・。

 その選手を安全にプレーして走塁をかける・・。当たり前のようで、チームのリーダーとして求められる力だ・・。

 これは、エースには変えられない選手が任される・・。

 いつかは、このエースの向こうで守っているひ弱な野手にはならない・・。
 俺、ホリーはそんな選手ではないのだ・・。
 エースが打たれ、驚かれ、野手が取って、ファーストに投げて驚かれるような選手にはならない・・。
 それが守備・・。
 
 「ホリーも、ナイスね。」
 遠藤は言う。

 「はいっ。」

 「山口、・・落ち着け、この時期、プレー以外でも様々な選手が現れる・・。」

 「ホリー、落ち着け、セカンドでも、そんなことを考えていると丸見えだ。」

 「そう、当たり前だろ、例えば、一塁の前にサード側に顔を少し見せずに投げるあの慣れない守備を理由にした、恥ずかしい、恋心・・。」

 「・・康太、芸能界で頑張っているいとこの関係する作品を見過ぎだ・・。この春に・・。」

 「ただ、思い出集めにしか思えないな・・。野球のためにそれを使うなんて、上手なのは、きっと、誰か、示してくれる・・。」

 「えっ?、だから、その演出の恋の部分で分析した結果、熱いリーダーシップを持った選手が一年生と分かったんだ・・。」

 「チームのために成長している、はは、背番号争いをできてうれしいよ、まだ、一年生なのにね。」

 「恋を野球に持ち込むな・・。」

 「彼女でも、走者だけでもなく、マネージャーでもなく、指導者でもない・・。」

 「答えは、3×2は6Xだ。」

 「また、俺の負けだ。結局、野球を知っているグランドの中では、康太が一番、ピッチャーらしく見える・・。」

 「それが長続きすれば・・。チームは、康太のエースの成績は伸びる・・。俺はそう考えている・・。」
 「長続き・・。」

 「すまん、康太。」

 「ホリー、一塁コーチャーに回ってくれ。」

 北し羅監督は言う。

 「はいっ!」

 「リーリーリー。」

 ホリーも走塁コーチで存在感を出しに、グランドへ出た・・。
 




 足賀田の同年代にもついに春、4月がやってきた・・。3年間一緒だったホリーとは違うクラスになり、山口康太、堀正明は中学生に進学した。
 部活は、陸上部・・。動体視力やスピードは、二人共道内代表並みのレベルだ・・。しかし、中学と言う、ひとつひとつが成績に変わる、その環境に二人は新たな別のクラスということで、小学生より距離が遠のいたのだ・・。まあ、ホリーのことだから、遠藤真広も先輩として陸上部にいればなあなんて思ってるかもしれない・・。



 「それでは、日本史。ページ6ページからだよ、宿題、覚えてきた?」

 入学試験のなかった、普通の公立中学と言えど、成績が関係してくる・・。

 「縄文時代、地球の漢字と、古代人の名前、道具3つ。覚えてきた?」


 歴史を教える先生が授業をまかなう。見たところ、中学生の緊張感のある、宿題を用意している・・。


 まあ、山口は縄目をボールに見立てたり、地球の図を見ながら、古代人に記しを付けたり、道具には歴史の教材で専門的に学んでいる・・。縄文時代は、思想が少ないのが、日本史の最初だ・・。その点、記憶力と地球の惑星の距離感が、学ぶには必要だ。



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