あのときは泣きたかった。

さとなか達也

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エピソード137

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 ・・まったく、おれはいつ山口になっちまったのか・・。
 ホント、国語の文章題で、恋愛の話ばかりに思えるのは、自分だけか・・。
 それとも歴史の話で、土から人間の祖先の話と、文明の発達・・。
 みんながみんな、恋の話しみたいだ・・。
 実際は、家を作るのに苦労したり、お米の栽培だって、どこもかしこも成功などしていない・・。新嘗とか、祭りとか、・・どれも100%の結果が全国で起きていれば、こんな苦労は人間はしないのだ・・。
 やはり、ロマンとは恋である・・。
 
 「128キロ?」
 スピードガンを持つ、コーチも驚く・・。
 
 「・・早すぎるな・・。」
 北し羅監督もその後のピッチングを見て言った・・。
 「野球はスピードよりも実践だ・・。それに伴うのに、投手だけ務めさせるわけにはいかない・・。まだ、中学一年生・・。」
 「山口、最速出たぞ。」
 「じゃあ、2球で上がります。」
 「126キロと、127キロ・・。」
 
 キャッチボールをする山口・・。
 
 「これで回転数などがわかればもっと、可能性やスタミナは上がるが・・。実際、そこまで精密な機械を扱ってるのは、全国のテレビでも、数少ない・・。」

 「一方的な指導にさせないためにも、マスコミに出させてもらうか・・。」

 「監督、就任1年目で大きく出ましたね・・。」

 「一年生の軸を築けさせるのに先輩や地元だけではだめだ・・。」

 「ちょうど、14時から、北海道エアローズの球団関係者が来る・・。」
 「今の映像を見せて、始球式に、彼を登板させよう・・。」
 


 「速いですね。」

 映像を見た、エアローズの関係者、山計は言った。

 「1球目で、右打者の内角に何度も投げている・・どれも100キロ越え・・。」


 「是非、ホエールズの監督に始球式のお願いを・・。」

 「道内のレベルの上昇にも、一役かえるし、若さが選手を引き立てる・・。」
 「今日はいい選手に出逢えました・・。6月の予定に組む形で連絡を入れます。よろしく、お願いいたします。」

 「いえいえ。これからですから、まだ、ボールが球速の上を行っています・・。まだまだ、これから。」


 「北海道のような寒さのある地域の方はよくそう言われますね。」


 「そうか、山口康太君か・・。」

 エアローズの関係者の表情も明るい・・。

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